2018年発売
誰も救えぬ温情よりも、何かを救う非情をー!壮絶なる長篠の合戦で二人の兄を失い、真田家を嗣ぐこととなった昌幸。しかし武田家の滅亡を食い止めることができず、信長から秀吉へと天下の趨勢も大きく移り変わっていく。昌幸は戦国乱世という荒波の中で真田家を守るため、次々と非情な采配を下していくのだが、そこに徳川家康からの理不尽な要求が突きつけられてきた…。果たして昌幸の決断とは。
われらは死花に非ず!-沼田城を北條に譲り渡せ、という家康の理不尽な要求を拒否した昌幸。上田城に攻め寄せる徳川の大軍に、果たしてどう立ち向かうのか。そして時代は関ヶ原へ。三成に付くことを決断した昌幸の上田城に、再び徳川の大軍が迫る…。「表裏比興の者」と呼ばれながらも、戦国の世において智略をもって真田家を守り抜き、矜恃を貫いた男の生涯を、圧倒的迫力で描く歴史巨編、完結。
澤登志夫、69歳。文芸編集者としてエネルギーに満ちた時代を送った。激しい恋愛の果てに妻子と別れ、痛恨の思いも皮肉に笑い飛ばして生きてきたー彼を崇拝する26歳の宮島樹里の存在が、澤の過去と現在を映し出す。プライド高く生きてきた男が余命を知って辿り着いた、荘厳な企み。この尊厳死は罪かー現代をゆさぶる傑作長編。
「お金と幸せの答えを教えてあげよう」。宝くじで三億円を当てた図書館司書の一男は、大富豪となった親友・九十九のもとを訪ねる。だがその直後、九十九が三億円と共に失踪。ソクラテス、ドストエフスキー、福沢諭吉、ビル・ゲイツ。数々の偉人たちの言葉をくぐり抜け、一男のお金をめぐる三十日間の冒険が始まる。
息子のかつての同級生の母親から連絡を受けた大友鉄。娘が通う中学の保護者が何者かに襲われたと言う。やがて別の父兄も被害に遭い、捜査に加わるも容疑者は二転三転。はたして犯人の動機はー。最愛の妻を亡くし、捜査一課から刑事総務課に異動して息子の優斗を育てるイクメン刑事シリーズ、ついに完結!
「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。さまざまな手段で人気と知名度を上げるが、ある出来事がグループの存続を危うくする。恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル…“アイドル”を取り巻く様々な言葉や現象から、現代を生きる人々の心の形を描き表した長編小説。
かつて中学の校長だった東昇平はある日、同窓会に辿り着けず、自宅に戻ってくる。認知症だと診断された彼は、迷い込んだ遊園地で出会った幼い姉妹の相手をしたり、入れ歯を次々と失くしたり。妻と3人の娘を予測不能なアクシデントに巻き込みながら、病気は少しずつ進行していく。あたたかくて切ない、家族の物語。中央公論文芸賞、日本医療小説大賞、W受賞作。
紅雲町では山車蔵の移転問題が持ち上がり、お草が営む小蔵屋の敷地が第一候補に。話し合いが必要だが、お草は母の言いつけで「うなぎの小川」とは絶縁状態で、話し合いができない。かつては親友だった女将と亡母の間に、なにがあったのか。紅雲町を歩き回るうち、お草は町全体に関わる重い事実にたどり着く。シリーズ第5弾。
バブル期の日本を離れ、東ドイツに音楽留学したピアニストの眞山。個性溢れる才能たちの中、自分の音を求めてあがく眞山は、ある時、教会で啓示のようなバッハに出会う。演奏者は美貌のオルガン奏者。彼女は国家保安省の監視対象だった…。冷戦下のドイツを舞台に青年音楽家の成長を描く歴史エンターテイメント。大藪春彦賞受賞作!
文政三年冬。小藤次とおりょうは、うづと太郎吉の仲人を務め終えると、水戸藩に新たな竹細工を伝授するため旅立った。だが案内役の小姓頭・太田静太郎と街道筋を進むと、葵の御紋が入った藩主の状箱が強奪されるという事件と遭遇する。誰が何の目的でそんなことをしたのかー。新たに終章を書き下ろし、シリーズ堂々の完結!
茨城県日立市の象徴である「大煙突」は、いかにして誕生したか。外国人技師との出会いをきっかけに、煙害撲滅を粘り強く訴えた若者と、世界一高い煙突を建てて、住民との共存を目指した企業の決断。足尾や別子の悲劇を日立鉱山では繰り返さないー今日のCSR(企業の社会的責任)の原点を描いた力作。
六百年に及ぶ栄華を誇る古代中国商(殷)王朝の王子に生れた箕子は、甥・紂王の宰相として、傾きゆく王家のため死力を尽す。炮烙の刑、酒池肉林といった悪名高い故事、紂王を惑わす妖姫・妲己、敵対勢力・周の文王、太公望など多彩な登場人物を通し、権力の興亡と人間の運命を描き切った作家のデビュー作品。文字の大きな新装版。
村山由佳、坂井希久子、千早茜、大崎梢、額賀澪、阿川佐和子、嶋津輝、森絵都ー当代きっての人気女性作家8人が「女ともだち」をテーマに豪華競作!「彼女」は敵か味方か…微妙であやうい女性同士の関係を、小説の名手たちが描きだす逸品ぞろいの短編小説集。コワくてせつなくて愛しい物語の世界をぜひご堪能ください。
ドイツ軍の電撃的侵攻の前に敗走を重ね、機能不全に陥ったフランス軍。危険だがもはや無益な偵察飛行任務を命じられた「私」は、路上に溢れる避難民を眼下に目撃し、高空での肉体的苦痛や対空砲火に晒されるうち、人間と文明への“信条”を抱くに至る。著者の実体験に基づく小説。
偽アスランの「命令」で、木々の精霊は倒され、“もの言う馬”たちは奴隷のように働かされている。その光景を見たティリアン王は激怒し、剣を抜くが…。カロールメン国の大軍や邪神タシュまでがナルニアに到達する絶体絶命の状況で、物語は思わぬ方向へと動き出す!衝撃の最終巻!
浅草御蔵前で、亡き先代伊勢亀に代わる札差の新筆頭行司がなかなか決まらない。父の跡を継いでの就任を固辞する伊勢亀の当代半右衛門の元に、不可解な企てとも取れる文が届き、幹次郎は危ぶむ。巨額の富と莫大な権力を手にする筆頭行司の座を巡り、長い秋雨にけぶる吉原の町にも陰謀が蠢き始め、狙われる西河岸の桜季、そしてついにー。大人気シリーズ第三弾。
一九三〇年一月、日米英など五大海軍国によるロンドン海軍軍縮会議が始まろうとしている。随員を命じられた外務省情報部長・雑賀潤は、首席全権の若槻礼次郎らと日本を旅立った。だが、各国の利害が対立する外交交渉は難航の連続。その上、海軍軍令部は自らの主張に固執し、妥協案に対して拒絶の姿勢を崩さない。熾烈を極める状況の先に、雑賀は光明を見出せるか!?
ロンドンでの雑交渉を終え、全権団は帰国した。しかし、条約の内容を受け入れられない軍令部は、統帥権の独立を楯に批准に反抗。輿論は二分し、議会での論戦も混迷の一途を辿るばかり。土壇場での条約破棄を阻止するため、雑賀ら政府の面々は、軍人、枢密院、そして輿論に対して瀬戸際の攻防で対峙するー。史実の中に浮かぶドラマを、精緻かつ情熱的に描ききった傑作!
アルバイトスタッフリーダーの田中を正社員にしたい。過去二回の打診を、田中は丁重に断ってきた。彼の仕事ぶりは申し分なく、アルバイトのままだと、よそに引き抜かれてしまうかもしれない。何度も断るのは、何か事情があるのか。他のスタッフの意見も聞いてみようか。まずは誰に聞いてみるかな…。(「夜の鶴」)。七つの“ことば”から生まれた奇妙な物語。