2018年発売
妻と5歳になる一人娘とともに平凡な毎日を過ごしていた、なんの変哲もない会社員、前川大吉。35歳の誕生日の前夜、ご先祖を名乗る老人が突如自室に現れ、前川家の嫡男は35歳を迎えた際に今後どのように生きていくか3つの選択ができると告げる。悩んだ末に大吉が選んだのは、異世界に18歳の青年として転生し、魔法やスキルのある世界で生きていくという道だった。
函館から津軽海峡をフェリーで渡る67歳の野原ゆかりは、元ムード歌謡の歌手。借金返済のため、営業の旅に復帰したのだ。その船内で知り合った12歳の家出少女森川縁が、なぜかゆかりの後をついて来る。旅先で起きるトラブルや55歳の歳の差を乗り越えて、いつしかふたりは固い絆で結ばれていく。そしてたどり着いた最後の会場、東京。そこにはゆかりの悲しい過去が刻まれていた…。
諏訪野良太は、純正会医科大学附属病院の研修医。初期臨床研修中で、内科、外科、小児科、産婦人科など、様々な科を回っている。ある夜、睡眠薬を大量にのんだ女性が救急搬送されてきた。その腕には、別れた夫の名前が火傷で刻まれていた。離婚して以来、睡眠薬の過剰摂取を繰り返しているという。しかし良太は、女性の態度に違和感を覚える。彼女はなぜ、毎月5日に退院できるよう入院するのか…。(「彼女が瞳を閉じる理由」)初期の胃がんの内視鏡手術を拒否する老人、循環器内科に入院中の我が侭な女優…。驚くほど個性に満ちた患者たちとその心の謎を、新米医師、良太はどう解き明かすのか。ふと気づけば泣いていた。連作医療ミステリ。
心惹かれていた同級生との死別により、幼くして死への想いに取り憑かれ、一方で、性的マイノリティとして、内なる疎外感に苛まれていた迎梅。女子高での密やかな恋、そして運命を暗転させる「災難」の果てに、日本に半ば逃亡のような気持ちで渡った彼女の葛藤と孤独を描く、若き台湾人作家の鮮烈なデビュー作。第60回群像新人文学賞優秀作。
思い起こされる幼年時代、患者の最期を看取る医療と作家業の両立の無理からの発病…その日その日を生きのびるために、畔を歩き、四股を踏む。たぶん、答えはあらかじめからだのなかに用意されていたのだろう。南木物語の終章。信州の総合病院を定年退職した。同時代の男たちとイワナをつかみ獲り、小屋を造って集い、語り、そして燃す。生死のあわいをおだやかに見つめる連作短篇集ー医師として生死を誠実に見守りつづけた著者にしか描きえぬ、幽明境を異にした者たちとの饗宴。充実の最新作品集。
インカ文明を専門とする考古学者ヘンリーはペルーの発掘地で発見された古いミイラを大学のラボに持ち込んだ。ミイラの首には黄金の十字架。宣教師のミイラなのか?不審に思ったヘンリーはミイラをCTにかけるのだがー。その頃、発掘現場で新たな発見があった。神殿の地下に隠された扉が見つかったのだ。ヘンリーの甥サムとチームのメンバーはその秘密部屋の調査を進めるが、神殿が崩落して閉じ込められてしまう。そして地下から脱出すべく奮闘するサムたちの前に驚くべき事実が姿を見せる。
サムとメンバーたちは秘密部屋の奥に洞窟の入口を発見する。奥へ奥へと探索を進める彼らはやがて巨大なネクロポリスの只中にいた。誰がこんなものを?なんのために?背後には奇っ怪な生き物の影が迫る。一方、法医学者ジョーンの協力を得たヘンリーは、ミイラに神秘的な能力を持つ未知の物質を発見する。そしてこの物質を狙う謎の集団がヘンリーたちを襲う!この物質はいったい?集団の目的は?インカは何を隠し持っているのか?大胆な想像力が歴史と戯れるアドベンチャー巨編!
ロサンゼルス空港で全世界の人口半数以上が死に至る謎のウイルスが発見された。瞬く間にパンデミックと化し、人々が混乱と狂気に陥るさなか、人気作家のマックスと恋人のラナは疫病の蔓延するニューヨークを脱出。途中で知り合った生存者たちと力を合わせて安住の地を求める。仲間になった者には一見なんの共通点もなかったが、実はあの大規模なパンデミック以降、それぞれ不思議な念力を手に入れていた。ロマンスの女王がディストピアを舞台に描く、震撼のラブサスペンス&ファンタジー!
マックスとラナは生存者たちが身を寄せ合う街「ニュー・ホープ」へと辿り着き、久々の安息を手に入れる。新たな命を授かったふたりは静かな幸福を噛みしめるものの、心の奥には、弟のエリックが仲間を殺め、裏切りとともに姿を消した記憶が暗くわだかまっていた。ある日、平和な日々を取り戻すべく街のリーダーとなったマックスのもとへ、犯罪集団が大規模な奇襲を仕掛けてくる。彼らの狙いがラナだと知ったマックスは命を賭けて闘うのだが…。恋人たちの想いが胸を打つ衝撃のラスト!
三重県立伊賀野高校の放送部に所属する伊賀ももと上野あおは大のミステリ好き。ある日、部活動で訪れた伊賀の里ミステリーツアーで事件に巻き込まれる。探偵に憧れる二人はこれ幸いと、ももの直感力とあおの論理力を活かし事件を解決していくが…?(「伊賀の里殺人事件」)。見立て殺人?お堀幽霊の謎?合宿中にも殺人事件…。勝てばホームズ。負ければワトソン。この世界に名探偵は二人も、いらない。女子高生探偵・ももとあおの絶対に負けられない推理勝負、開幕!
所轄署から田舎の駐在所に異動となった日岡秀一は、穏やかな毎日に虚しさを感じていた。そんななか、懇意のヤクザから建設会社の社長だと紹介された男が、敵対する組長を暗殺して指名手配中の国光寛郎だと確信する。彼の身柄を拘束すれば、刑事として現場に戻れるかもしれない。日岡が目論むなか、国光は自分が手配犯であることを認め「もう少し時間がほしい」と直訴した。男気あふれる国光と接するにつれて、日岡のなかに思いもよらない考えが浮かんでいく…。警察VSヤクザの意地と誇りを賭けた、狂熱の物語。日本推理作家協会賞『孤狼の血』シリーズ最新刊!
効率的かつ公平な取り調べを目的とする“特殊取調対策班”。この部署に所属する新米刑事・新妻友紀と天才数学者・御子柴岳人は、連続放火事件への捜査協力を依頼される。これまでに7件の放火事件が発生し、最初の火災で住民が焼死、3件目では消防士が殉職していた。御子柴は7つの事件現場の情報を解析し、容疑者の特定を目指すがー。「サークル仮説ですぐ解ける!さっさと資料を寄越せ!」毒舌なイケメン天才数学者が連続放火事件の真相に迫る!取り調べエンタテインメント最新作!
およそ十年に一度、遙か彼方の新大陸を目指し、海を渡る古龍達。「古龍渡り」と呼ばれる、この奇妙な現象を解明するため、ギルドは「新大陸古龍調査団」を結成し、数度に渡り新大陸へと調査団を派遣した。そして五回目の派遣である今回。第五期調査団は過去最大の規模を誇ると言われていた。そんな第五期調査団に一般採用枠の、それも補欠として参加することになった若きハンター、セアック。やる気だけはどのハンターにも劣らない彼が、未知なる新大陸で繰り広げる狩猟と冒険の日々を描く『モンスターハンター:ワールド』公式小説、ついに登場!
あらゆるものがダンジョンモンスターからドロップされる世界に転移した佐藤亮太。レベルは1だが全てのドロップステータスがSというユニークスキルを使い、魔法使い・セレストや謎のバニー・イヴ、モンスター遣い・アリスらの仲間とともにダンジョンモンスターを倒し稼ぐ日々を送っていた。しかしある日、住んでいる街・シクロにあるダンジョンからドロップアイテムが消えてしまう。理由を探してほしいという頼みで調べた亮太が発見したのはー!?小説家になろう日間・週間・月間・四半期1位獲得、コミカライズも決定のシリーズ第3巻!
真夜中、解体されゆく家へ入りこんだわたしに、女たちの失われた時がやってくる。三月の死、愛おしい生のきらめき、ほんとうの名前、めぐりあう記憶。人生のエピファニーを鮮やかに掬いあげる著者の最高傑作。
ふきのとう。ヒヒ。彼岸花。どじょう。鶴。葦。おたまじゃくし。ままならない日々を生きる人間のすぐそばで、虫や草花や動物たちが織り成す、息をのむような不可思議な世界。暮らしの中にある輝きと不条理を鮮やかに捉え、風景が静かに決定的に姿を変える瞬間を克明に描き出す、15の物語。芥川賞作家、待望の初短篇集。
絶対に残業しないと決めている会社員の結衣。個性豊かな同僚たちに揉まれながら働く彼女の前に、無茶な仕事を振って部下を潰すというブラック上司が現れてー。新時代を告げるお仕事小説、ここに誕生!
10代から60代まで、10歳ずつ年の違う男たちを主人公に、彼らの父母、祖父母までさかのぼるそれぞれの人生を、戦前から平成の終わりへと向かう日本の軌跡のなかに描きだす。敗戦、高度経済成長、オイルショック、昭和の終焉、バブル崩壊、二つの大震災。みな懸命に生きながらも親と子はつねに断絶を抱え、夫婦はしばしば離婚する。人生はつねに、思い描いたことの外にあるーごくふつうのリアルな日本人の心の100年を描いて、読者をさまざまな記憶でつよく揺さぶりながら、戦後日本の行き着いた先としての現代のありようを根底から問い返す、橋本治、畢生の長篇小説。作家デビュー40周年記念作品。