2018年発売
武王率いる周軍は、軍師・太公望のもと様々な仙人や道士の力を得て、攻め寄せる強大な殷の軍勢に反撃を開始する。いっぽう、無実の罪で母を失い、仙界で修行をしていた紂王の王子、殷郊と殷洪が、父を討つために地上に降りる。だが天命に逆らう申公豹に惑わされ、逆に周軍に戦いを挑み…。国の興亡を懸けて繰り広げられる壮絶な戦いの行方は!?空前絶後の伝奇ロマン、読みやすい抄訳決定版。
京と吉野に二人の帝が存在した、南北朝の時代。南朝の帝の妹宮・透子は、北朝に寝返った武士・楠木正儀を連れ戻すべく、乳母と二人きり、吉野から京へと乗り込む。京についたとたん人買いに攫われてしまった二人を救ってくれたのは、猿楽師の美少年・世阿弥と、透子たちの宿敵である足利義満で…。世間知らずの姫君が混迷する時代の中で見たものは。瑞々しい筆致で描く書き下ろし時代小説。
大手都市銀行「あおぞら銀行」巣鴨支店長の野崎修平は、支店の閉鎖に伴い監査役就任を命じられた。ときは1998年、バブル経済崩壊を受けて金融業界もまた混迷を極めていた。不可解な高額融資、役員の派閥争い、政治家との癒着疑惑。様々な抵抗や嫌がらせを受けながらも、野崎は銀行内にはびこる不正や経営問題にメスを入れるべく奔走する。自らの正義を信じ、人々のため懸命に働く男を描いた企業小説。
そこ「単一国」では「守護局」の監視のもと、「時間律令板」によって人々の行動は画一化され、生殖行為も「薔薇色のクーポン券」によって統制されている。自然の力は「緑の壁」によってさえぎられ、建物はガラス張り。人々に名前はなく、ナンバー制だ。そして頂点に君臨する「慈愛の人」に逆らう者は、「機械」によって抹消される。-1920年代初頭にロシアで書かれたディストピア小説の先駆的名著。
クリスマスシーズンのオスロで、街頭コンサート中の救世軍のメンバーが射殺された。オスロ警察警部のハリーはこの件の捜査に当たるが、衆人環視のなかの事件なのに目撃証言がまったく得られないことに疑問を抱く。一方、暗殺の実行犯は、すぐにオスロから脱出しようとするが、降雪で航空便が欠航になり、一晩滞在せざるを得なくなる。翌朝、新聞を目にした彼は…。傑作北欧ミステリー。
救世軍メンバー射殺事件の捜査チームは、犯人を特定し、クロアチア人の男を指名手配する。その男は、契約を全うするため、厳寒のオスロで過酷な逃避行を続けながら、本当のターゲットを繰り返し狙う。だが、名前が割れ、パスポートやクレジットカードが使えなくなり、手持ちの現金も底をつく。さらに、銃弾を使い果たしたために…。CWAインターナショナル・ダガー賞候補の傑作!
時は明治。浅草の人気芝居小屋「大北座」では男装の女優・橋本玉緒の舞台が大当たり。一方、裏浅草には生神を自称する祈祷師が現れる。祈祷師の顔は、玉緒に瓜二つで…!?「大北座」の摂取り息子・由之助と、“浄天眼”という魔訶不思議な力をもつ戯作者・魚目亭燕石、その友人で二人を引き合わせた相良警部補が、怪しくも美しい謎ときに挑む。百花繚乱のレトロ浪漫ミステリー。
「あなたお名前は?」記憶喪失から自分を取り戻すことはできるのか。取り戻したとしてそれは本当に自分なのか。エーコの赤裸々な妄想と姿態が晒される衝撃の超・小説。戦中戦後のイタリア文化史を回顧するかのように図版を満載した異色の本であり、また、著者初めてといえる自伝的語りと展開は幾通りにも読み解きをうながし、読む者は謎に絡め取られる。エーコ畢生の神秘の技法、ここに大団円を迎える!
記憶は人間にとって最高の解決策というべきもので、時間は人間に対して流れ、流れた時間が過去になる。ぼくははじまりというものの驚異を堪能したー。記憶喪失のヤンボにあらゆる断片がまとわりつく…霧、霧、霧、コーヒー、あのメロディ、本、そして麗しのシビッラ!霧に隠されてしまった「流れた時間」を奪取すべく、彼は子ども時代を過ごした田舎の家の屋根裏に潜入する。驚嘆すべき女王ロアーナとの邂逅、ヤンボは帰還できるのか?
すべてはここから始まったー動き出す「GEAR計画」と、「フレデリック」の死。そして「あの男」との宿命。想いと陰謀が交錯する、「GUILTY GEAR」完全公式ストーリー!
「二〇××年○月△日一九時頃、夏の宵闇垂れ込めるS市K町四丁目の通りで多数の住民が暗色の奔流を目撃した」三年前、会社から帰宅途中の吉田大輔氏(三十代、妻と男児ひとり)は、電車を降りて自宅に向かうあいだで一瞬にして一九三二九人となったー第七回創元SF短編賞を受賞した「吉田同名」をはじめ、ある日突然、縦に半分になった家で、平然と暮らし続ける一家とその観察に没頭する人々を描く表題作、全住民が白と黒のチームに分かれ、三〇〇年もの間ゲームを続ける奇妙な町を舞台にした「白黒ダービー小史」など全四編。突飛なアイデアと語りの魔術が描き出す、まったく新しい小説世界。
私鉄と銀行のシステムが次々にダウン。不審に思った竜崎はいち早く署員を向かわせるが、警視庁生安部長から横槍が入る。さらに、管内で殺人事件が発生。だが、伊丹から異動の噂があると聞かされた竜崎はこれまでになく動揺していたー。
互いを思いやりながらも、藩政に翻弄される男たちの葛藤と覚悟。富商の娘を娶り、藩内で出世を遂げる三浦圭吾。しかしその陰には彼を慈しみ、遠島を引き受けてまで守ろうとした剣の達人・樋口六郎兵衛の献身があった。十年を経て罪を赦された六郎兵衛は静かな暮しを望むが、親政を目論む藩主の企てにより圭吾に敵対するよう仕立てられていくー。
アフリカ大陸で今も受け継がれる「呪術」。多くは快癒や商売繁盛のための呪いだが、中には呪いで相手を死に至らしめる呪術師もいるというー。仕事でモロッコを訪れていたツアーコンダクターの麻衣は、突如テロに巻き込まれる。ピンチをくぐり抜けた後、偶然救うことになったのは、呪術師に追われるアルビノの少女・ケイコだった。その肉体は、呪術の最高の材料だというのだ。麻衣はケイコを連れ日本に渡るが、待ち受けていたのはさらなる危機。不穏な動きを察知した警視庁公安部の「落伍者」園部と共に、「敵」を迎え撃つ計画を練るがー。
ぼくは幼い時から言葉の英才教育を受けてきたが、見事に落ちこぼれた。一方、妹は詩の新人賞を受賞し一躍脚光を浴びる。二十五歳で家を出て会社も辞めると、ひょんな事から、男女四人のカメラ愛好家で作る“チーム300”に入ることになった。そして言葉の世界とは違う写真の魅力に魅せられ、これまでの選択の許されない人生から自分の道を歩き始めるが…。書き下ろし青春現像小説。