2019年10月11日発売
恋に落ち、愛し合い、そして別れた。 十代の破れた夢が、今ふたたび……。 夫を亡くし、2歳の息子を女手一つで育てるジョージアは、 クリスマスを前に車で実家に帰る途中、吹雪で立ち往生していた。 渋滞を避けて入った脇道で、目の前に古い屋敷がかすんで見える。 あれは、十代のころ恋人のセバスチャンとよく忍び込んだ空き家。 生涯を誓い合ったのに、彼は二十歳を過ぎると人が変わったように 我が事ばかりに夢中になり、彼女は寂しさから別れを告げたのだった。 9年後の今、富豪となった彼は屋敷を買い取り、住み始めたと聞いている。 ずっと疎遠にしていたけれど、このままでは息子が凍死してしまう! ジョージアはすがる思いで車の外に飛び出し、助けを求めたーー 思い出の屋敷から向けられるであろう、冷たい視線に怯えながら。 C・アンダーソン史上、特に出色の出来と編集者が太鼓判を押す自信作です! 長らく別々の道を歩んできた二人。二十歳のセバスチャンの身に起きた知られざる真実、そして彼が命を燃やすように立身を目指した理由とは……? 感動必至のラブストーリーをどうぞ。
切なさや悲しみはこらえてきた。 でも、こらえきれない涙もある……。 領主館に勤めるスザンナは、敷地内の小さな家におばと暮らしていた。 だが最愛のおばが亡くなったとたん、くびを宣告されたうえに、 半月のあいだに家も明け渡すように言われてしまう。 かつて孤児となったスザンナを、おばは快く引き取ってくれた。 以来、ここは唯一安心できる我が家だったのに……。 退去までにすべきことを、スザンナが紙に書き出していると、 目の前に、おばの最期を看取った外科医のガイが現れた。 初対面では冷たい印象だった彼も、今は気遣う表情を見せている。 その瞬間、懸命にこらえていたはずの悲しみが、 大粒の涙となって、スザンナの青白い頬を流れ落ちたーー 不遇ながらも一生懸命に生きる主人公を数々描いたB・ニールズですが、中でも本作のヒロインは屈指のいじらしさ。交通遺児となり、大学に行く夢が叶わなかった切なさを抱えていても、けっして顔には出さないスザンナが、なぜかガイに対しては感情を隠せず……。
美しくも辛辣な若き富豪が、 無垢な乙女を相手に火花を散らすーー 「そんなに莫大な遺産を、この私に? 冗談でしょう?」 学費を貯めるためウエイトレスとして働く苦学生のグレーシーは、 亡くなった老友ハリーの遺言を聞いて、心臓が止まるほど驚いた。 かつて向かいの建物に住んでいた彼が、世を忍ぶ大富豪だったなんて! 全財産を世のため人のために使ってほしいとグレーシーに託したらしい。 そうとなれば、彼の崇高な遺志に従うしかないわ。 生前、身内の話をいっさいしなかったハリーだが、 じつのところ、ハリソン・セージ三世という名の有能な息子がいた。 青い瞳と黒髪を持つ美貌の彼に会うなり、グレーシーは目を奪われるが、 ハリソンの放った言葉が刃のように彼女に襲いかかった。 「金目当ての女の手練手管か。このままで済ませるつもりはないからな」 翻訳家や編集者にもファンの多い、愛される作家E・ベヴァリーのキュートでホットな恋物語をお贈りします。亡き友人ハリーに身内がいたとわかってから、彼らに意地悪をされるのではないかというグレーシーの不安が的中。純真無垢な彼女と大富豪の恋の運命は?
この結婚は相続のためで、 愛はまったく存在しないはず……。 マリーサはリニューアル・オープンした高級ホテルで働いている。 母は病気で動くこともままならず、弟も事故で障害を負い、 マリーサが一家の大黒柱とならざるを得ない境遇だ。 そんな彼女の職場に、青く鋭い目の長身の男性客が現れた。 彼は無理難題とも言えるような要求を次々にしてきたが、 マリーサは一生懸命そのすべてに応えてみせた。 すると、マリーサは彼に呼ばれ、驚愕の事実を明かされる。 この人が偽名でホテルの偵察に来たオーナー一族の御曹司、キャメロン? 彼に見こまれたマリーサは、さらなる驚きに襲われる。 “遺産相続のため、1年だけ妻になってくれないか”と言われたから。 マリーサは家族への手厚い医療支援も申し出てくれたキャメロンの優しさに感動しながらも、契約ずくめの結婚にためらいをおぼえます。婚約者に捨てられた過去を持つマリーサ。すでに彼を好きになり始めていた彼女には、1年後の別離に耐える自信などなく……。
ララは共同経営者に店の金を持ち逃げされ、借金苦に陥っていた。万策尽き、最後の頼みの綱として継父に助けを求めた矢先、不幸にも両親が事故死したと、継父の息子ウルフから知らされる。深い悲しみの中でも返済期限は迫り、ララは思い余ってウルフに相談した。すると、跡継ぎをもうけるために彼と便宜結婚するなら、借金を肩代わりしてもいいと言われ、言葉を失う。十代の頃、ララはウルフに夢中だった。たとえ冷たくされても。愛にもとづかない結婚はむなしいけれど、ほかにあてもなかった。けれども、夜ごと枕を重ねるにつれ、ララの中で、夫に心から愛されたいという思いが募ってゆきー
同僚たちが舞踏会に興じる中、事務員リリーは独り、残業に追われていた。慣れない仕事で人一倍時間がかかるのだ。そこへイタリアのプリンスの称号を持つCEO、アレッサンドロが現れ、舞踏会に同伴しろと言う。そして誘われるまま、彼の別荘で夢のような一夜を過ごしたのち、彼女を待っていたのはー突然の解雇通告だった(『シンデレラが見た夢』)。クロエは父の会社を救うため、ギリシア系大富豪アリストンと政略結婚をした。名ばかりの妻でも、彼女は夫を愛した。だが夫が離婚届を準備していると知ったとき、クロエは別れ話をされる前に自ら終止符を打った。2年後、元夫に再び会社の救済を乞うと、彼は言った。「子供を産んでほしい。但し、妊娠するまでは単なる愛人だ」(『結婚という名の契約』)。
アンは国内有数の若き実業家マットの個人秘書に採用された。 前職で性的ないやがらせを受けた心の傷がまだ癒えない彼女は、 プレイボーイと悪名高いマットの前では地味な服装に徹している。 初日から「僕に恋をするのはルール違反だ」などと言う傲慢な彼は、 きっと女性はみな自分に夢中になるとでも思っているのだろう。 がむしゃらに働くアンは、すぐにマットからの信頼を勝ち得、 二人は息の合った仕事ぶりで次々とプロジェクトを成功させていった。 ある夜、アンはマットから高価な真珠のチョーカーを贈られた。 彼は「感謝の印だ」と言うが、その目には激しい欲望の炎が見える。 男性的な情熱におののいたアンは、思わず逃げ出してしまい……。 富も権力もほしいまま、パワフルかつセクシーなヒーローを描く人気作家エマ・ダーシー。アンを失うことを恐れたマットは自分の欲望を封印します。いっぽう、一度は真珠も誘惑も拒んだアンでしたが、やがてマットを愛してしまったことに気づくのです。
結婚して4年。ミランダは夫のダンテと幼い息子を心から愛していた。それが、こんなことになるなんて…。あの晩の記憶はない。なぜかミランダは裸で気を失っていて、帰ってきた夫にいきなり不貞をなじられたのだ。なんという濡れ衣。ダンテは幼い息子とミランダを強引にコモ湖畔に連れていき、そこでミランダは初めて夫の素性と華麗な出自を知る。ダンテはただの実業家ではなく、伯爵の称号も持つ資産家だった。彼はなぜ身分を偽っていたの?なぜわたしの浮気など疑うの?ミランダは、身分でなく彼自身を愛してほしいという夫の思いを知るが、彼女に向けられた嫌疑は晴れないままで…。
陰日向になって支えてくれる彼は、 少女だった私の心を奪った人……。 アマンダの人生は、大実業家ジョシュ・ローソンに掌握されていた。 亡き父が遺した会社も、現状は彼が支配している。 アマンダが引き継ぐには、25歳になるか、結婚することが条件だから。 今も、父親を失って傷ついた心を癒やすためにと ローソン家の別荘へ強引に連れてこられ、胸に切なさがよみがえった。 ここは15歳の頃、ジョシュと恋人の睦み合いを見てしまった場所……。 そのときから、年上の彼への憧れを胸の中でひっそりと育ててきた。 二人きりになるたび、アマンダはずっと夢みてきた瞬間を期待したが、 距離が縮まるとなぜか、ジョシュは頑なに一線を引いた。 「純潔は、夫となる男に捧げるべきだ」と言って。 押しも押されもせぬ大スター作家ダイアナ・パーマーの貴重な未邦訳長編をお届けします。1992年にスーザン・カイル名義で書かれた本作は、無垢な乙女が経験豊富な年上の大富豪に導かれ、大人の階段を昇る姿が瑞々しく描かれます。ときめき止まらぬロマンス!
ふわふわの新雪、輝くショーウインドウー美しい冬のNYで、恋人もいないエヴァは仕事づけの毎日。イベント企画に携わる彼女への今日の依頼は、著名作家である大富豪の自宅にサプライズを仕掛けるというものだ。豪奢なペントハウスにエヴァが圧倒されていると、突然後ろから羽交い締めにされる。不在のはずの家主ルーカスに、泥棒と間違われたのだ。ハンサムな顔を不機嫌そうにゆがめる彼にエヴァはひるむが、一方のルーカスは、彼女を見て創作意欲がわき、しばらくそばに置こうと思い立つ。1カ月限りの同居生活の行方は…?
森のコテージで大切に育てられ、いまや美しく成長した孤児のアリー。ある日後見人スターリング卿に呼ばれ馬車で城に向かったアリーは、覆面をした黒ずくめの男に襲われる。最近世間を賑わせている、富豪から金品を盗んでは貧しい民衆に与えるという追いはぎだ。だが男は、恐怖に震えながらも果敢に立ち向かうアリーを面白がり、しかもなぜかアリーの名前を聞くとすんなりと彼女を解放した。謎めいた男のことが頭から離れないアリーだが、動揺に追い打ちをかけるように城に着いてまもなく、自分に婚約者がいることを聞かされ…。
クレオは大手金融機関の頭取ジュードの個人秘書として働き、冷徹で気難しいと評判のボスから厚い信頼をよせられていた。だが、そんなクレオに卑劣な罠が突然襲いかかる。元ボーイフレンドが執拗につきまとい、彼女の弱みにつけこんで、大金を差し出すよう恐喝してきたのだ。心臓に持病のある叔父には、絶対に心労をかけられない。かといって亡父の遺産にはある条件がつけられているため、容易に手は出せない。せめて、あの条件さえ満たせれば…。悩んだ末、クレオはボスに訴えた。「私と結婚してほしいんです」
看護師のジョアンヌとその弟は交通事故で両親を失って以来、心やさしい叔父から経済的援助を受けている。だが叔父の死により、それも打ち切られることとなった。弟にはなんとかするとうけあったものの、自分だけの稼ぎでは、彼の学費をとても捻出できそうもない。途方に暮れるジョアンヌは手術中もミスを重ねてしまう。見かねた形成外科医のダニエルは彼女に理由を問いただし、事情を知るや結婚を条件に融資を申し出ると冷たく告げたー君との取り引きは全くのビジネスだ。1年も続かないだろう、と。
202X年6月、最新鋭ステルス機F-35Bを載せた海自護衛艦「かが」は、沖縄・宮古島に向かっていた。進出予定地点に達する前、「かが」のレーダーが高速で飛来する不審な対空目標を捉える。尖閣沖で海上保安庁の巡視艇の護衛にあたっていた汎用護衛艦「すずつき」が、1カ月の激務を終えて那覇に帰港。休養を終えた後、「かが」と共に宮古島で任務につく予定であったが非常呼集により急遽、宮古島へ向かう…。対空戦闘用意!-「すずつき」の哨戒長が、自艦に接近するミサイルへの迎撃指令を発した!
地球規模の環境問題が深刻化する現在、 進展めざましい 「エコクリティシズム」に、 環大西洋的(トランスアトランティック)交流の視点を導入。 エコロジー思想の源泉のひとつ、 イギリス・ロマン主義と アメリカのロマン主義(アメリカン・ルネサンス)の 環境文学・環境思想の相互作用、浸透を分析。 20世紀以降の自然保護運動や 環境意識に与えた影響、現代の環境批評に繋がる観点を捉える。 第1部 環大西洋の言語空間──自然・精神・歴史 第1章 「見えざる世界の証明」 ──スヴェーデンボリ、ブレイク、エマソン (鈴木雅之/京都大学名誉教授・宮城学院女子大学学芸学部特命教授) 第2章 「歴史」の解体 ──エマソンの自然像と環大西洋思想の文脈 (成田雅彦/専修大学経営学部教授) 第3章 トランスアトランティックな遡行とエコロジカルな再生 ──メルヴィルの小説におけるアメリカ独立革命 (竹内勝徳/鹿児島大学法文学部教授) 第2部 物語る自然のトランスアトランティックな共鳴 第4章 ミルトン、コウルリッジ、ソロー ──レテの川から難破の浜辺へ (伊藤詔子/広島大学名誉教授) 第5章 ワーズワスからソローへ ──「躍動する物質」のロマン主義的系譜 (小口一郎/大阪大学大学院言語文化研究科教授) 第6章 破局のエコノミー ──クレアとソローの自然史 (金津和美/同志社大学文学部教授) 第7章 メルヴィルとマテリアル・エコクリティシズム ──トランスアトランティックに捉えるその創造性 (藤江啓子/愛媛大学名誉教授) 第3部 自然と人の持続可能な関係性に向けて 第8章 環大西洋の田園共和主義と北方の原野 ──ウルストンクラフトの環境意識 (川津雅江) 第9章 鯨のエコロジー ──『白鯨』のテクノロジーとエコノミー (植月惠一郎/日本大学芸術学部教授) 第10章 楽しむ心を持つすべての人に ──風景観光・歩行の詩学・自然保護 (吉川朗子) コーダ 経験主義、情報管理、環境人文学 (スコット・スロヴィック/ アイダホ大学教授、ASLE機関誌ISLE編集長 【大野美砂(東京海洋大学学術研究院准教授)訳】)