2019年10月発売
「日本資本主義の父」、渋沢栄一。武蔵国血洗島村の農家に生まれた栄一は、幕末には過激な尊王攘夷青年となっていた。平岡円四郎との出会いが彼の運命を変える。一橋慶喜の家臣となり、その本質を捉えたぶれない判断力と交渉力でめきめきと頭角を現していく。パリで学び帰国した後は士魂商才を掲げ、「論語とソロバン」の精神で五百を超える事業に関わる。現代に通じる経済の礎となった男の生涯。
入院中の父に中華そばを出前したい二人の子どもと、変わり者の大人たちが起こした奇跡(「四分間出前大作戦」)。マズメシ母に悩まされる女子高生と、おむすび屋の女性店主の愛情(「おむすび狂詩曲」)。底なし大食い男の葛藤と、デカ盛り定食を作り続ける頑固親父の秘めた過去(「闘え!マンプク食堂」)。熱々の美味しい料理と、それを取り巻く人間ドラマに食欲も涙腺も刺激される、5つの極上の物語。
天涯孤独で無職の三井は、放火に遭い家が全焼。途方に暮れていたところ、“捜し物屋”を営む間山和樹に助けられる。和樹は喋れないイケメンの弟・白雄と一緒に、客の失くし物を「占い」で捜す仕事をしているらしい。彼らの知り合いの弁護士・徳広の力も借りて生活を立て直す三井だったが、偶然、放火犯らしき男を見かけ…。ちょっと不思議で怖くて愉快。四人(と一匹)のドタバタ事件簿!
顔も知らない父親に、事故死した幼い娘に、片思いしていたあの人に、もしも会えるなら。一生に一度だけの死者との再会を叶える使者「ツナグ」。長年に亘って務めを果たした最愛の祖母から歩美は使者としての役目を引き継いだ。7年経ち、会社員として働きながら依頼を受ける彼の元に、亡き人との面会を望む人々が訪れる。依頼者たちは、誰にも言えぬ想いを胸に秘めていてー。
不貞の濡れ衣により婚家を追われ、芽吹長屋で縁結び屋を名乗る、おえん。旧友と二枚目戯作者の仲を調え、安堵した折に驚きの報せが。十年も行方知れずの息子・友松が帰ってきたのだ。若者へと成長した友松には、目印の珍しいホクロが確かにあった。が、おえんにはこの子が友松と思い切れぬ何かがありー。粋に描き出す江戸の人間模様。人情時代小説決定版!
北尾実加、27歳。公私ともに超多忙!大好きな姉に続いて母も亡くし、父は別の家庭へ。それでも強く歩んできた実加が直面する、危険な恋、会社の一大プロジェクト、そして初めて会う“妹”。懐かしい声が、悩み多き実加に語りかけるー大切な毎日に気づかせてくれる愛しい物語。永遠の名作『ふたり』感動の続編!
生まれたときから父親はいない。絵画修復家の母と、母の年上の友人・ユキさんに育てられた。幼い日のわたしは、三人が家族だと知っていた。わたしは、三人のしあわせな日々がいつまでも続くと信じて疑わなかった。あの日がくるまではー。少女・斎藤いつかの出会いと別れを切なくも瑞々しく描く、心ふるえる長篇小説。
大型特殊詐欺犯罪の捜査資料が流出し、資料に記された逃亡中の詐欺犯たちが次々と変死する事件が起きた。警察内部からの情報漏洩を疑う人事一課監察係の佐良は同僚の皆口菜子とともに、マルタイ(対象者)の刑事を行確するが、突如何者かに銃撃を受け…これは捜査妨害か脅迫か。組織内の熾烈な暗闘も見え隠れするが、本当の悪者はどこに潜んでいるのか!?
人間と離れひっそりと暮らす“湖の善き魔女”である少女、ロゼ。彼女のもとに依頼にきたのは、ロゼが4年間秘かに片思いをしていた王宮騎士ハリージュだった!「惚れ薬を作って欲しい」-そして、ロゼは失恋した。せめて一緒にいられる期間を引き延ばそうと、ハリージュに材料の調達を頼むロゼだったが、彼は魔女の体調を心配したのか、文句を言いつつ毎日関係のない食べ物も運んでくるようになり…?引きこもり魔女と、生真面目で上から目線な騎士の、惚れ薬から始まる恋のおはなし。小説家になろう発の大人気作が書き下ろし番外編付きで登場。
会社社長の架山は琵琶湖の遭難事故で、大切な娘を失う。娘の遺体は七年経っても上がってこない。死を受け入れられない架山は、それを「生と死」の間に存在する“もがり”の期間と捉え、心の中で娘との対話を始める。ある日、娘とともに死んだ青年の父親・大三浦に誘われ、琵琶湖近くの古寺で十一面観音に出会う。「観音が人間の悩みや苦しみを救うことを己に課している修行中の仏様である」と聞いた架山は、十一面観音の虜となり、湖畔の十一面観音を巡り始める。そんな中、ヒマラヤでの観月旅行に誘われ、娘と二人だけの対話を持つために、ヒマラヤ行きを決心する。月光を受け、神々しく輝く雪山に「永劫」を感じた架山はー。娘の死を「運命」と受け止め、悲しみを乗り越えようとする架山と、死者の霊を祀り「鎮魂」するためにひたすら手を合わせる大三浦。二人の父親を通して、「愛する者の弔い方」を丹念に描き切った感動の長編小説。
職を失い、年老いた母を抱えて途方に暮れる男。一世を風靡しながら、転落した元アイドル。道ならぬ恋に落ちた、教師と元教え子。そして、極北の地で突如消息を絶った郵便配達員。彼らが逃げた先に、安住の地はあるのか。人生の断面を切り取る4つの物語。数多の賞を受賞する著者がライフワークとして挑む、傑作小説集第2弾。
フェリクスを倒した功績を認められ、騎士団への入団を推薦されたエリックとティナは王都へと向かう。騎士団の寮生活が始まるなか、ふたりは新たな出会いを重ねていく。騎士団の中でもその実力を認められていくエリックとティナ。特にエリックは、騎士団最強とも謳われる副団長にすら、その実力を認められるほどだった。そして騎士団での生活に馴染みはじめるなか、エリックが心の底から願う出会いー前世での親友クリストとの再会が思いも寄らない形で成就する。だが、親友との再会を喜ぶのも束の間、さらに驚く再会が待っていた。
学園からリズが消えたー。エルフ連続失踪事件との関連性から彼女の行方を探るテオドール。そんな彼の周囲をつきまとう謎めいたエルフの少女。ビアナと名乗るその少女は、軍学校の入学試験を楽々突破したテオドールに憧れを抱いたのだという。魔族とは真逆なビアナの純真さに興味を覚えるテオドール。だが、事態は急変する。エルフの国の女王が、ミルディアナの街に極秘裏に来訪することになったのだ。女王の身に何かあれば、帝国とエルフの同盟関係は崩壊する。学長の依頼から事件解決に乗り出すテオドール。すべては一時の余興のためにー!