2019年11月20日発売
八ヶ岳南麓の高原で暮らす都会からの移住者たち。ある朝、蛇口から流れる水が薄茶色に変じていた。それをきっかけに、当たり前だった日常が徐々に崩壊していくー。その日、彼らの生活から水が消えた。自然の中で生き続けて20年の著者だからこそ描けた、パニック・エンタテインメント×骨太の社会派小説!
築二十五年の三階建て一軒家を購入し、一階部分を店舗用に改築。美容師の美保理にとって、これから夫の譲と暮らすこの家は、夢としあわせの象徴だった。朝、店先を通りかかった女性に「ここが『不幸の家』って呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われるまではー。わたしが不幸かどうかを決めるのは、家でも他人でもない。『不幸の家』で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族をふっくらと描く、傑作連作小説。
日暮れどき、ダートムアの荒野で、スコットランド・ヤードの敏腕刑事ブレンドンは、絶世の美女とすれ違った。それから数日後、ブレンドンはその女性から助けを請う手紙を受けとる。夫が、彼女の叔父のロバート・レドメインに殺されたらしいという…。美しい万華鏡のように変化しつづける、奇怪な事件の真相やいかに?江戸川乱歩が激賞した名作が、満を持して新訳版で登場!
ヴァイオリン職人のジャンニが講師を務めるヴァイオリン製作学校で、かつての教え子であるノルウェー人リカルドが講演を行ったが、その夜、殺害されてしまう。そして彼が持っていた楽器、ハルダンゲル・フィドルが消えていた。犯人はなぜ、さしたる値打ちもない楽器を奪ったのか?ジャンニは葬儀のためノルウェーへと旅立つが、新たな殺人が…。人気シリーズ、待望の新作!
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方の太平洋岸を中心に未曾有の被害をもたらした。理不尽な死に見舞われた無辜の人々と、残された者たちー彼岸と此岸、死者と生者の幽暗なあわいに思いを凝らす作家たちの手で、新時代の怪談文芸が澎湃と生み出されてゆく。平成の時代に誕生した極めつきの名作佳品を全三巻に収録する、至高の怪奇小説アンソロジー最終巻。
“勘”のおかげで27歳の若造ながら捜査一課に配属になった刑事の亮太。指名手配犯の捜査中、その“勘”があやしいとつげたのはある実業家のお屋敷。そこで飼われている大きな子猫に懐かれてしまった亮太は、世話をしながらその屋敷に常駐することに。妖しい魅力にあふれる主の獅堂や可愛らしい五歳の双子など、たくさんの気になる存在がいて戸惑う亮太だったが、ある秘密を知ってしまいー!?
どうしてオメガに生まれたんだろうー。上流貴族のハーレムにオメガを派遣することで繁栄したミュラー家。そんなミュラー家に生まれたオメガのジルは自分の運命を受け入れられずにいた。オメガらしく振舞えず、家族からも見放されて育ったジルは、追い出されるように幼馴染の獣人貴族のアルファ・アルバートのもとに嫁ぐことが決まる。オメガという運命は変えられなくても、優しいアルバートに嫁ぐことが幸せなのだと自分に言い聞かせ過ごす毎日。そんな時、ひとりの獣人がミュラー家を訪れる。国一番の名門貴族ジークフリード家の三男ディエゴだった。ミュラー家の異端児・ジルをハーレムに迎えると勝手に決めてしまう傲慢なディエゴに反発するジルだったがー。
「部長職を解き調査役を命ずる」という四月一日付の辞令を受けた主人公は、その日から机の配置も変わり部下のいない社員、いわゆる窓際族になった。しかし社内の権力闘争から再び表舞台へ上がるが…。権力闘争に巻き込まれるも同僚への思い遣りの心を大切にし、「義を見て為ざるは勇無きなり」と義わ貫く主人公の生き方は、聖書の言葉「日は昇り、日は沈みあえぎ戻り、また昇る」のごとく転変を繰り返す。本作品は、組織の掟と、義や情の間に揺れ動き翻弄されながらも、「人間としてやるべきことは何か」を貫いた一人の男の再生の物語だが、定年後の人生をどう生きるかーという、誰もが抱える後半生の大きなテーマに光を当てた物語でもある。