2019年11月27日発売
ミシュランの星を獲ることを夢見る早見倫子は、パリの三つ星レストラン『ランブロワジー』の採用面接に挑んでいた。調理テスト直前、謎の男から絶対に合格できるレシピを教わったものの、倫子は自身の得意料理を作り不採用に。嘆く倫子だが、再会した男から「二人で世界一のグランメゾンを作ろう」と持ち掛けられる。この男こそ、かつて三つ星に最も近いと称されながら、ある事件で失脚した型破りのシェフ・尾花夏樹だった。
都会でひとり暮らしをしている恋に臆病なイズミ。臆病なのは、誰にも明かしていない心と身体の傷があったから。そんな彼女をいつも見つめているボク。言葉を交わしたことはないが、イズミへの思いは誰よりも強い。もどかしい関係の「ふたり」の間に、新たな男性の存在が。果たしてイズミの凍った心を溶かす恋は始まるのか…。最高のハートウォーミング小説!
幕末、仙台藩は鳥羽伏見の戦いにより朝敵となった会津藩への出兵を迫られていた。大義を取るか、それとも我が身を取るかー。苦渋の選択を強いられるなか、浅葱色の陣羽織をまといし一人の若侍が立ち上がる!実在した仙台藩士・若生文十郎景祐ら、奥羽越列藩同盟を導いた誇り高き東北人達の暗闇と、あなたの知らない、もうひとつの戊辰戦争を描破する、著者新境地の感動巨編!
修士論文のデッドラインが迫るなか、「動物になること」と「女性になること」の線上で煩悶する大学院生の「僕」。高校以来の親友との夜のドライブ、家族への愛情とわだかまり、東西思想の淵を渡る恩師と若き学徒たる友人たち、そして、闇の中を回遊する魚のような男たちとの行きずりの出会いー。21世紀初めの東京を舞台にかけがえのない日々を描く話題沸騰のデビュー作。第41回野間文芸新人賞受賞、気鋭の哲学者の初小説。
生に無頓着なのに、死と隣り合わせだったあの頃。あなたと優しい幽霊、古い一軒家、アトリエ、そして玉川上水のほとりの並木道…。あまりにも完璧な、けれどもどこか曖昧な環境での、歪でつかみどころのないストレスに塗れた記憶がよみがえる連作短篇集。
有夢と瑤子と海は幼馴染みの仲良し三人組。中学の合格祝いに買ってもらった自転車もお揃い、大好きなミュージシャンも同じリンド・リンディ。川沿いの街でずっと同じ風景を見ていくはずだった。だけどー。傷ついて、裏切って、追い詰められて…。大人には見えない、少女たちの孤独な魂にそっと寄り添う物語。
老夫婦が夏のヴァカンスから自宅に戻ると、留守宅が何者かに荒らされていた。家具は倒され、あらゆるものが散乱し、猫が姿を消している。困惑する夫が目にしたのは、40年前、夫が家を出たことをなじる妻からの手紙の束。決して癒えることのなかった過去の傷跡が、次第に浮き彫りにされてゆく。家族はどこへ向かうのかー。ジュンパ・ラヒリによって英訳され、「ニューヨーク・タイムズ」2017年“注目の本”に選ばれた話題沸騰のイタリア小説。
「結婚式をやらないか」と突然言い出したケリーに、ジャスミンとダイアナはパニック状態。ジンジャーのためという説明に一旦騒ぎは鎮静化するも、無駄に顔の広い大型怪獣夫婦の披露宴に集まる面々が、当然のごとく普通の客であるはずもなく…。さらに後日。ケリーは連れ添ってもうすぐ金婚式になろうかという愛妻(!)に「結婚式の後は新婚旅行だよな」と言い出した。ケリーのらしからぬ爆弾発言という事件は、さらに本当の“事件”にまで二人を導く。怪獣夫婦プラス一隻の新たなる冒険とはー。
幕末期、ほとんどの藩が財政赤字に喘ぐ中、大野藩も例外ではなかった。藩主・土井利忠は、様々な藩政改革を断行し、多額の借金を抱える藩財政を立て直そうとする。その執行役として白羽の矢が立てられたのが、わずか八十石の内山家の長男である七郎右衛門。四歳年下の殿の人柄と才覚に惚れきった七郎右衛門は、己の命と生涯を懸けて利忠と向き合い、時には反発しながらも、大野藩の再生に奔走する。痛快新感覚歴史小説!
新銅山の開掘、面扶持の断行、藩校の開設、類を見ない大型船の造船…。七郎右衛門は、幾度も窮地に陥りながらも、利忠の期待に応え続ける。だが、家柄もなく、殿の信頼を一身に集め、旧態依然とした大野藩の改革を続ける七郎右衛門には、見えざる敵の悪意が向けられていた。そんな中、黒船の襲来により、日本中に激震が走る。時代は移り変わろうとしていたー。新時代を生き抜くヒントがここにある!
人類は変態する、ニンゲンを脱ぎ捨てろ。ポピ原人、ポーポー様、秘祭モドリ、海のもんと山のもん、エロコミ天国、遺伝子退行手術etc.歴史は書き換えられ、世界は塗り替えられ、魂は入れ替えられていくー演劇界の鬼才・松井周と練り上げた千久世島ワールドを舞台に、村田沙耶香が圧倒的イマジネーションで紡ぐ新たな人類のための異形の“創世記”ここに誕生!「早稲田文学増刊女性号」で話題の中編「満潮」を併録。