2019年11月発売
詐欺師の“魔術師”ベリサリウスは、遺伝子操作により驚異の量子解析力をもつホモ・クアントゥスの一人。その彼が依頼されたのは厳重に警備された“世界軸”ワームホール・ネットに宇宙船、それも艦隊まるごとをひそかに通すことだった!ベリサリウスは一癖も二癖もある仲間を集めて、手始めに陽動作戦を展開。量子もつれを用いて世界軸を支配する巨大国家を煙に巻く世紀のコンゲームに挑むー傑作宇宙アクションSF。
黄昏の東京ー。鞠谷雛子は、周防馨は、電柱の陰の、交差点の向こうの、ふとした廃墟の様相に“死者”を見る。東京の街で“死者”が増殖し始めたのは、CRISISのヴォーカリストにして両性具有と噂された、美しくも妖しいチェシャが自殺してからのこと。“死者”たちが引き起こす恐怖は臨界へと達し、やがて世界はあまりにも絶望的な相貌を見せ始めるー前世紀末、読書界を震撼させた津原泰水の更始作、ついに復刊。
それは人間の進歩を証明する、栄光に満ちたミッションのはずだったー。新しい時代の有人月探査「オリオン計画」で、月面のシャクルトン・クレーターに降り立った宇宙飛行士が吐血して急死する。死因は正体不明のウィルスへの感染…!?生き残ったクルーは地球への帰還を懸命に試みるが、残酷な運命に翻弄されて日本列島へ墜落するー致死性のウィルスと共に…。空前絶後の墜落事故!そして未曾有のバイオハザード!極限状況の中で、人間は人間自身を救い希望を見出すことができるのか。クリスティー賞史上、最大のスケールで描かれる超災害ミステリ。
遠い未来、銀河辺境の恒星系は人工的な楕円軌道を描いていたが、そこに生命の姿はなかった。星系儀製作者(オーラリメイカー)と名付けられた所在不明の種族を、調査員のイーサーはひとり探索する。銀河の多様な生命体を通し知性の本質に迫る宇宙ハードSF。受賞作の他1篇を収録。
片山たちは目の前で起きた一家心中から浜中美咲という少女を助け出すも、美咲は姿をくらませてしまう。美咲の父は“B食品”に勤めていたが、会社の不正を告発した結果、裏切り者として報復を受けていた。その頃、美咲の父を追い込んだ元上司・室田雄作の不倫相手が死体となって発見され、雄作は逃亡を始める。さらに女優の刈谷京香は記憶を失ったという美咲と出会うのだが…。片山とホームズが辿り着く真実とは!?国民的シリーズ第53弾!
島で発見された死体には、両目がなく、かわりに赤い穴があいていた! 濃密なスリルとサスペンスの傑作長編!! 2022年、雪と氷に閉ざされた北方領土の離島オロボ島、和名春勇留(はるゆり)島では、日中露の三カ国の合弁会社がレアアースを採掘していた。島の海岸で無残な日本人技術者の死体が発見される。警視庁組織犯罪対策第二課の石上が、ロシア語と中国語が堪能だというだけの理由で、捜査権なし、武器なしで島に潜入捜査に入る。閉鎖された孤島にたったひとりで、石上はどうやって事件に立ち向かうのか? 生きて島を出られるのか!?
多額の借金を抱える看護師の小河恵。キャバクラでも働くなど返済のため奔走していたが、同僚の看護師・鹿沼好江に誘われて“社長”のホームパーティーに行き、“社長”に借金の肩代わりをしてもらい、イラン人・トニーから求愛され、好江たちと豪華な海外旅行を繰り返すなど生活が一変。恵は、好江がマレーシア=成田間で“荷物”を運ぶバイトをしていることを知り、好江の不在時に彼女の息子・純の面倒をみるようになるがー。東北の小さな町出身の日本人女性が、アメリカ同時多発テロ以降の国際犯罪組織に巻き込まれ、異国で死刑判決を受けたのはなぜか?!骨太社会派エンタテイメント小説の誕生!
バー“森へ抜ける道”に集う、マスターの島、工藤、山内のヤクドシトリオには、実は秘密がある。今夜、隠され続けていた謎が、ついに明らかになる!?店の近くで起こった未解決の宝石盗難事件の真相をめぐる酩酊推理談義の果て、桜川さんが辿り着いた真相とは?粋で軽やかなバーミステリー、堂々のシリーズ完結!
八ヶ岳南麓の高原で暮らす都会からの移住者たち。ある朝、蛇口から流れる水が薄茶色に変じていた。それをきっかけに、当たり前だった日常が徐々に崩壊していくー。その日、彼らの生活から水が消えた。自然の中で生き続けて20年の著者だからこそ描けた、パニック・エンタテインメント×骨太の社会派小説!
祝 『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)で2021年本屋大賞受賞 温かい読後感と優しい余韻に包まれる 一軒の家にまつわる五つの家族の物語 本屋大賞受賞作家、町田そのこが描く傑作家族小説! 築21年の三階建て一軒家を購入し、一階部分を店舗用に改築。美容師の美保理にとって、これから夫の譲と暮らすこの家は、夢としあわせの象徴だった。朝、店先を通りかかった女性に「ここが『不幸の家』だって呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われるまではーー。わたしが不幸かどうかを決めるのは、他人ではない。『不幸の家』で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族をふっくらと描く、傑作連作小説。
六月半ばの日暮れどき、ダートムアの採石場で、スコットランド・ヤードの敏腕刑事ブレンドンは、絶世の美女とすれ違った。それから数日後、ブレンドンはその女性から助けを請う手紙を受けとる。夫が、彼女の叔父のロバート・レドメインに殺されたらしいというのだ……。レドメイン家をめぐる奇怪な事件は、美しい万華鏡のようにその姿を変化させつづけ、やがて驚愕の真相へーー。江戸川乱歩が激賞した名作が満を持して新訳で登場!
ヴァイオリン職人のジャンニが講師を務めるヴァイオリン製作学校で、かつての教え子であるノルウェー人リカルドが講演を行ったが、その夜、殺害されてしまう。そして彼が持っていた楽器、ハルダンゲル・フィドルが消えていた。犯人はなぜ、さしたる値打ちもない楽器を奪ったのか?ジャンニは葬儀のためノルウェーへと旅立つが、新たな殺人が…。人気シリーズ、待望の新作!
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方の太平洋岸を中心に未曾有の被害をもたらした。理不尽な死に見舞われた無辜の人々と、残された者たちー彼岸と此岸、死者と生者の幽暗なあわいに思いを凝らす作家たちの手で、新時代の怪談文芸が澎湃と生み出されてゆく。平成の時代に誕生した極めつきの名作佳品を全三巻に収録する、至高の怪奇小説アンソロジー最終巻。