2019年11月発売
美貌の青年・藍沢結人は、ひとつの街ではひとつの恋しかしないと決めていた。 なぜなら、恋をした相手の首に縄をかけ吊るすことを最大の愛情表現だと考えているから。 このあかつき町でも、ひとりの劇団員の女性を自殺にみせかけて吊るしたので、別の街へ移ろうと考えていた。 だが、殺人現場に財布を落としてしまったことに気付いてしまった。 一方、劇作家の青年・化野夕真は、朝目が覚めると見知らぬ財布を持っていた事を疑問に思い、交番に持って行こうとしたが、途中で藍沢結人と出会う。 ふたりは次第に親しくなっていくのだが……? 連続殺人者と犯罪被害者家族たちが入り乱れ、誰もが傷つけ、傷つけられる復讐の因果が回り始める。
願いが叶えば叶うほど、2人のキョリは遠くなるーー。 キュンとせつない、泣ける恋物語。 高1のひまりは、片想い中の陸斗に告白することに。 けれど、事故にあった陸斗は、約束の時間にあらわれなかった。 その日、ひまりは不思議なお店に迷いこむ。“思い出とひきかえに願いを1つ叶えてくれる"という。 陸斗を助けるため、彼との思い出を売るひまり。しかし、2人にとって大事な出来事の記憶まで失い、陸斗とすれちがっていく…!? ・・・あの日、かわした言葉も、君がむけてくれた笑顔も、わずかにふれた指先のぬくもりも。 君とすごしたすべての一瞬は、大切な宝物。どの思い出も、手ばなしたくない。 でも、君のためなら、それさえもーー。
明治三十年代、女学生・塔子は、気鬱を晴らそうと人気のない道を歩きながら考えを巡らせていた。道中、松岡と田山と名乗る二人の男と出会う。彼らは、ある幻の書店を探しているという。古今東西の凡百書物が揃い、迷える人々が探し求める本を引き合わせる“書楼弔堂"--。一人の女学生と詩人の松岡國男(柳田國男)を中心に、田山花袋、添田唖蝉坊、福来友吉、平塚らいてう等の実在する多くの著名人が交わり、激動の明治時代を生きる人々の姿、文化模様を浮かび上がらせる。待望のシリーズ第二弾。 【著者略歴】 京極 夏彦(キョウゴク ナツヒコ) 1963年北海道小樽市生まれ。94年『姑獲鳥の夏』で小説家デビュー。 96年『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞(長編部門)、97年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞受賞。 2003年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で第130回直木賞受賞、11年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞受賞。16年遠野文化賞受賞。
大切な人の死を忘れられない男と、恋の仕方を知らない女。 欠けた心を抱えたふたりが出会い、お互いを知らないまま、少しずつ歩み寄っていく道のり。 変化し続ける人生のなかで、他者と共に生きることの温かみに触れる長編小説。 【著者着歴】 窪美澄(くぼ・みすみ) 1965年東京生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年「ミクマリ」で女による女のためのR18文学賞大賞を受賞。受賞作を所収したデビュー作『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞を受賞。12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を受賞。他の著書に『さよならニルヴァーナ』『アカガミ』『すみなれたからだで』『トリニティ』『いるいないみらい』など。
それは地元出身のアイドル・キリモエが一日署長を務めるというイベント当日。賀江出署副署長の脇坂に思いも寄らぬ報告が上がった。 病欠していた若い巡査部長・鈴本が、事故現場から逃走した……? ただでさえマスコミの注目が集まる大事な一日。そんな日に、あってはならぬ身内の不祥事か、それとも……? 収拾を一任された脇坂だが、捜査を進める内に、誰も予想し得ない事態に次々と直面する。 一方で、脇坂自身の家庭内でも、前夜から妻と息子の双方に不可解な行動があり、それに気付いた娘・由希子から想定外の連絡が続いていた。 職場も家庭も、どちらを見ても謎ばかり。同時多発する出来事に、休む間も無くひとり立ち向かわざるを得ない脇坂。 生粋の警察官として職務を全うする脇坂が最後に辿り着く、複雑極まりない事の真相とは……? 緻密にして奇想溢れる、唯一無二の真保裕一ワールド。読み始めると止まらない、分刻みノンストップ・ミステリー! ! 【著者略歴】 真保裕一(しんぽ ゆういち) 1961年生まれ。アニメーション製作に携わった後、91年『連鎖』で第37回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。96年『ホワイトアウト』で第17回吉川英治文学新人賞、97年『奪取』で第10回山本周五郎賞と第50回日本推理作家協会賞、2006年『灰色の北壁』で第25回新田次郎文学賞を受賞。ミステリーを書き続ける一方、『覇王の番人』『天魔ゆく空』『猫背の虎 動乱始末』などの歴史時代小説も執筆し、読者層を広げる。近著は『レオナルドの扉』『赤毛のアンナ』などがある。
「運命の出会い」を求め、夜の平安京をお忍びで歩くのが帝の息抜き。病気の上司にかわり、今夜は夏樹がお供を務めた。見事な藤の花が咲く家で人違いの招きを受けた帝は、夏樹の制止も聞かずに応じてしまう。そこで出逢ったのが藤香姫だった。翌日、その家は藤の木もろとも消えてしまい、夏樹は藤香を捜して都中をさまよう羽目に…。そして、春の柔らかな朧月の下、ひとりでに動き回る牛車を目撃。その直後、一条にも負けない美少年・馨が夜盗に襲われているのを助けるがー。 見事な藤の花が咲く家で帝が出会った美貌の姫君の正体とはーー。 美しくも哀しい、平安怪異譚シリーズ第5弾。 【著者略歴】 瀬川 貴次(セガワ タカツグ) 1964年生まれ。91年にスーパーファンタジー文庫よりデビュー。陰陽師もの、オカルトものを得意とし、『聖霊狩り』シリーズ、『闇に歌えば』シリーズなどコバルト文庫に著書多数。他に『怪奇編集部「トワイライト」』シリーズ (集英社オレンジ文庫)。また、瀬川ことび名義で角川ホラー文庫、トクマノベルスでも活躍。他社近刊に『化け芭蕉』(角川ホラー文庫)、「百鬼一歌」シリーズ(講談社タイガ)。
テロ、移民、スラム化した東京、菌糸の生物兵器… 2026年の“未来の歴史"を幻視せよ。 舞台は2026年東京。 放射能汚染によって隔離された被災地「島」からやってきた、天才的騎手・喜多村ヤソウ。 東京オリンピック後、スラムと化した“鷺ノ宮"を偵察する「島」生まれの喜多村サイコ。 先天性の心臓病を患う少女・谷崎ウラン。 17歳と19歳と18歳の三人が出会うとき、東京を揺るがす事態が巻き起こるーー。 日本、フランス、メキシコ、そして「島」。 遥かな未来になけなしの希望を託す、近未来長編。 【著者略歴】 古川 日出男(フルカワ ヒデオ) 1966年福島県郡山市生まれ。98年『13』でデビュー。2002年『アラビアの夜の種族』で、第55回日本推理作家協会賞と第23回日本SF大賞をダブル受賞。06年『LOVE』で三島由紀夫賞受賞。他の作品に『ベルカ、吠えないのか?』『サウンドトラック』『gift』『聖家族』『MUSIC』『ドッグマザー』『女たち三百人裏切りの書』などがある。
鉱物の魅力が満載、少年の繊細な心を鉱物の美しさになぞらえて描くシリーズ第3弾。祖父、クラスメート、そしてパートナーである石精……相手を思う心が感動を呼ぶ3話構成。 「黄鉄鉱の輝き」クラスメートの山下さんは、お祖父さんが鉱山で働いていたという。祖父との思い出の金属鉱物を大事にしたいが、黄鉄鉱は環境の変化にもろく、徐々に変質してしまう……。「瑠璃の空」樹と雫が祖父の遺品を整理していると、絵画が出て来た。そこに描かれた空は非常に印象的な青色をたたえていて……。一方、校内で出会った美術部の1年生は、進路についての夢と現実に悩んでいた。「仮晶の夢」今回土蔵から見つかったのは祖父の日記。厳粛だった祖父が自分たちにあたたかい視線を注いでくれていたことを知り、樹は改めて祖父を失った悲しみを感じる。なぐさめようとする雫だったが……。繊細な少年の心を描く、青春小説。 【著者略歴】 蒼月 海里(あおつき・かいり) 宮城県生まれ。2014年、文庫書き下ろしの『幽落町おばけ駄菓子屋』でデビュー。同シリーズのほか「華舞鬼町おばけ写真館」「幻想古書店で珈琲を」シリーズなどを次々と刊行。他の著書に『水上博物館アケローンの夜』など。
国土交通省「幽冥推進課」--国土開発の妨げになっている地縛霊などを立ち退かせる、不思議な部署。自分以外は全員妖怪、という環境のなか、臨時採用職員として日々奮闘中の夕霞。バイパス候補地に現れる地縛霊の説得に赴くことになった夕霞だが、その土地の問題は、地縛霊の存在だけでなく、「幽霊土地」……相続手続きを所有者が怠ったため、所有者が不明になっている土地であることで!?(「ちゃんともらってくださいね」)1巻発売時に毛利事務次官(当時)から直々に調査依頼をいただいた「幽霊土地」問題をはじめ、この国に暮らす人々が遺した想いを描く、笑えて泣ける心霊お仕事コメディ第4弾! 【著者略歴】 竹林 七草(タケバヤシ ナナクサ) 2012年に第6回小学館ライトノベル大賞優秀賞を受賞し、『猫にはなれないご職業』(ガガガ文庫刊)にて作家デビューする。他の著書に『お伽鬼譚 亡者と鬼哭の怪異譚』。
江戸で人材派遣業を営む口入屋の九代目を継いだばかりの長兵衛。江戸に集まってくる人々に職を斡旋して面倒見がいいと評判だった先代のような店主を目指している。ある日、長兵衛の店で中間の世話をした友蔵が、旗本の中間部屋で賭場を開き、荒稼ぎしていると噂を耳にする。その賭場の博打で負けたと三次が店にやってきて新しい奉公先を見つけたいというが……。中間部屋を渡り歩く友蔵の裏になにかあると睨んだ長兵衛は探索に乗り出す。粋でいなせな口入屋長兵衛の活躍。文庫書き下ろし時代小説の新シリーズ。 【著者略歴】 小杉 健治(コスギ ケンジ) 1947年東京墨田区生まれ。データベース会社に勤務の傍ら執筆した『原島弁護士の処置』で第22回オール讀物推理小説新人賞、『土俵を走る殺意』で第11回吉川英治文学新人賞、『絆』で第41回推理作家協会賞を受賞。つねに社会的弱者や虐げられている人々の立場に立ち、正義感と人情味に満ちた作品を発表。ミステリーの他、時代小説の分野でも活躍。作品多数。代表作に『絆』『検察者』『宿敵』『黙秘』『贖罪』など。
魂を数値化する巨大監視ネットワーク・シビュラシステムが人々の治安を維持している近未来。変わりゆく世界で、犯罪に関する数値〈犯罪係数〉を測定する銃〈ドミネーター〉を持つ刑事たちは、犯罪を犯す前の〈潜在犯〉を追う。 2012年にスタートしたオリジナルTVアニメーション作品『PSYCHO-PASS サイコパス』の第三期シリーズとなる本作は、ふたりの新人監視官の物語。慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフは、厚生省公安局の刑事となり、変わりゆく世界で真実を求めていく。 カバーイラストはキャラクターデザイン担当の天野明が描き下ろし。 アニメはフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で2019年10月17日から放送。 【著者略歴】 吉上 亮(ヨシガミ リョウ) 2013年、『パンツァークラウン フェイセズ』でデビュー。著書に『PSYCHO-PASS GENESIS』『生存賭博』『泥の銃弾』など。脚本担当作に映画「PSYCHO-PASS│SS Case.1 罪と罰」がある。
【フランスで160万部突破の大ベストセラー日本上陸!】 【急死した天才画家が遺作に託した驚愕の真実とは!?『ブルックリンの少女』の著者ギヨーム・ミュッソが放つ待望の新作ミステリー!】 それぞれ別の目的でパリにやってきた元刑事のマデリンと人気劇作家のガスパール。 マデリンは傷心を癒すため、人間嫌いのガスパールは執筆で缶詰になるため。 この他人同士の男女は偶然、同じ不動産レンタルサイトで一件家を予約するが、当日にダブルブッキングが判明。反りの合わない2人は互いに一歩も譲らない。 だが、当の家が1年前にニューヨークで急死した天才画家ショーン・ローレンツの元アトリエと知ると、彼らは次第に画家とその作品に惹かれていき、未発見の遺作3点が存在するという情報を得て行方を探し始めるが……。 絵に隠された秘密に導かれて突き進む2人を待ち受けていた、誰にも予想できない衝撃の真実とは!? 【著者略歴】 ギヨーム・ミュッソ 1974年フランスのアンティーブ生まれ。高校卒業後にニューヨークに渡りアイスクリーム売りのアルバイトなどを経験。ニースとモンペリエの大学で経済学と社会学を学んだのち、2003年まで高校教師を務める。04年に発表された『Et après...』が大ヒットし、ベストセラー作家に。以降、毎年話題作を発表し、これまでに刊行した作品は42の言語に翻訳され、その総売り上げは3000万部を超える。現在フランスでもっとも売れている小説家。
はぐれ司祭の縁結び? 冒険者が集う街・迷宮都市レイロア。 絶えず人が集まるこの街で、ひょんなことから上級職の司祭になってしまったノエルは、奇妙な相棒達をはじめ個性豊かな仲間に恵まれ日々の冒険に勤しんでいた。 ノエル達はとある部族の秘宝をお返しする依頼を受けたり、司祭のお師匠様に弟子入りすることになったり、忙しくも充実した日々を過ごす。そんな中、便利屋仲間ヴィヴィの息子から母の結婚式を執り行って欲しいという依頼が舞い込んで? せちがらゆるく、ほっこりあったかい異世界冒険活劇第四幕、お久しぶりのはじまりはじまり! 【編集担当からのおすすめ情報】 約1年半ぶりの、担当編集的にも待望の最新刊!web連載にはない、書き下ろしエピソードも充実した一冊です!shimazaki先生が手がけるコミカライズも好評配信中のせちがら異世界冒険譚、お楽しみに!
最強にして最凶! 人類を導く侵略戦争開始 勇者と共に魔王を討伐した賢者ドワイト。世界に平和をもたらしたはずの彼らは、次代の魔王になるつもりだという疑いをかけられ、死者の谷へと突き落とされて命を落とす。 それから十年後。 肉の身体を失ったドワイトはスケルトンとなり、谷底でひっそりと生き永らえていた。深い後悔に苛まれる彼は、勇者の亡骸を抱いて自問自答する。 そして、一つの結論に達した。 「間違っているのは世界だ。私が否定しなければ」 決心したドワイトは、死者の谷の瘴気を喰らい尽くした。彼はかつての魔王を凌駕する存在となり、無数のアンデッドを率いて地上を目指す。 すべては真の世界平和のため。 ーー最強の力を得た不死の王は、人類を相手に戦争を始めるのであった。
慰謝料代わりのスキルで人生一発逆転! 30歳社畜、山田田助。 そんな俺の前に現れたのは異世界召喚を斡旋する女神様。俺の最高の異世界ライフがはじまる、かと思ったんだけど……このクソ駄女神の勘違いと手違いで、全てがご破算。 でも、そんなんで諦められるかよ。 こうなったら、慰謝料代わりにもらったチートスキルを使って、現代日本で「異世界」を堪能するのみ! この物語には召喚要素もなければ、転生要素もない。勇者もいなければ、魔王もいない。でも、ここにはダンジョンがあるーー俺だけのダンジョンが! 一発逆転自由気ままな現代ダンジョンライフ、スタート! 【編集担当からのおすすめ情報】 とにかく自由で楽しい現代ダンジョンライフがスタートします!誰にも迷惑をかけない、やりたい放題を本作でぜひ堪能してください!
100人の英雄を育成し、邪神との戦争を終わらせた預言者アイゼンは、冒険者として活動を始めた。世界を周遊しながら、英雄であり様々な要職につく弟子たちに、お忍びで挨拶をしに行くことを決めたアイゼンとその末弟子リンネ。彼らは、新たな街『交易都市』へとたどり着く。そこで冒険者として、多様な依頼をクリアしていくなか、彼の前に突然、弟子の一人であるフィーラが現れるがー!?預言者のアイゼンは旅先でも、人々を優しく助け、慕われていく!世界中の弟子達から愛され頼られまくる、最強師匠ファンタジー第2弾!!
思わぬなりゆきから箱根の関守となった若き小田原藩士・武一。彼の前には、切実な事情を抱える旅人が日々やってくる。西国へ帰る訳ありげな兄妹、江戸から夜逃げした臨月の女…やがて命を懸けて一人の男にこの国の未来を託さんとする者たちを知ったことで、武一の身にも人生最大の岐路が訪れるー!
ぞっとするほど美しく、息を呑むほど恐ろしい。恩田陸の“最新型”がここにある。とある立てこもり事件の証言をたどるうちに、驚愕の真相が明らかになって……(「ありふれた事件」)。幼なじみのバレエダンサーとの再会を通じて〈才能〉の美しさと残酷さを流麗な筆致で描く「春の祭典」、ある都市伝説を元に、世界の“裂け目〞を描出させた表題作ほか、小説の粋を全て詰め込んだ珠玉の一冊。
恋と作文に悩む九州の小学生も。夫を亡くしたおばあちゃんも。人気急上昇中の四国生まれの落語家も。東北に帰郷する激務のサラリーマンも、ポーランド育ちの関西人で熱狂的な阪神ファンも。ふとしたときに思い出す。笑ったこと、泣いたこと。恋したこと、さよならしたこと。そこにはいつも、列車があったー。読み終えたとき、きっとあなたはこう思う。明日からまたがんばろう。