2019年11月発売
男性医師が子供を宿した状態で殺された。不妊治療の名医は自らの体を実験台にしていたが、何者がどんな理由で殺害したのかー。iPS細胞、AIロボット、脳内インプラント…最先端の科学技術が絡んだ複雑怪奇な事件に、天才科学者・最上友紀子と警察庁警視正の小比類巻祐一率いる警視庁科学犯罪捜査班たちが挑む。衝撃のサイエンスミステリーシリーズ、開幕!文庫書下ろし。
古くから娯楽の中心として発展してきた映画は推理小説と相性が抜群で、『第三の男』『オリエント急行殺人事件』『薔薇の名前』『犬神家の一族』『砂の器』など、ミステリー小説が原作の名画は枚挙にいとまがありません。本書はそんな映画の世界を題材に描かれた短編を集めたミステリー・アンソロジー。十二人の名手たちによる映像を超える傑作ドラマが開幕します!
都内某所にひっそりと佇む洋館。元は名画座だった古式ゆかしき喫茶店に集うのは、珈琲と映画、そしてなにより“謎”を愛する常連たちだ。密室状態の部屋で、まるで猛獣に襲われたような痕跡を残して死んでいた男の謎(「狼が殺した」)ほか、不可思議な事件の真相を、彼らが映画への深い造詣をもとに解き明かしてゆくー。数々の名画へのオマージュに満ちた連作ミステリー。文庫書下ろし&オリジナル。
古着屋紅堂を営む新見真白の手許には、直衣姿の公達・九条實親の住まう数珠がある。長屋に住む小鉄が持ち込んだ妹・りんについての相談を聞き、實親は自身の妹のことを語り出す。何故彼は数珠に「いる」のか。そこには、妹に絡んだ悲しい因縁があった。-入内した桔梗は生霊に苦しめられていた。陰陽師が封じようとするが相手の力は強く、ついにその手は…。
時は大正時代、東京府ー。大蔵大臣・檜垣一郎太の妾の子・永人は、嫡男の“謎の失踪”を受け、急きょ跡継ぎとして名門私立千手學園に放り込まれることに。学園内では妖しげな呪いの噂が流行しており、永人は思いがけず友人たちとその解決に挑んでいく。学園に蔓延る謎を、そして義兄失踪の真相を暴くことができるか!?大正浪漫の香り漂う本格学園ミステリ、ここに開幕!文庫書下ろし。
サクラリゾート社長の有賀傑が女性タレントを次々招待しては口説いているというゴシップ記事が週刊誌に!屋敷神の双葉は憤慨し、サクラリゾートは対応に追われて大わらわ。そんななか、寿酒店に有賀と仲良くしているというモデルがやってきてー。匡との交際を父に報告するという難題を抱えるミツルは、さらに頭を悩ませることに。激動のシリーズ第4弾!!
公事宿「巴屋」に、常陸の百姓が年季証文を持ち込んだ。百姓の女房が料理屋「松葉屋」での奉公を終えているはずだが、まだ明けていないといわれたのだという。「巴屋」出入物吟味人の日暮左近が「松葉屋」の周りを調べ始めると、次々に不審な点が見つかり、背後にある藩の影が浮かんできたー。左近の無明斬刃剣が、弱き者を狙う悪を斬る!迫力と充実のシリーズ第七弾。
武田軍に攻め込まれ落城寸前の長篠城を救うため、鳥居強右衛門は城を抜け出した。その強石衛門の口から語られたのは、京の町で出会ったある女の話で…。(「長篠の蒼空」)宣教師ヴァリニャーニから織田信長に献上された弥助。信長に気に入られた弥助は、武士として信長に仕えることになるが…。(表題作)その他、感動必至の二編を収録。歴史に埋もれた愛を描く、傑作短編集。
韓国文壇界、新進気鋭の若手作家による長編小説! 日経新聞に書評掲載など、 国内でも反響の大きかった 『娘について』の著者、キム・ヘジンが、 絶望の淵に立つ男女の愛を描き出す…本邦初訳! これがどん底だと思ってるでしょ。 違うよ。底なんてない。 底まで来たと思った瞬間、 さらに下へと転げ落ちるのーー (本文より) 路上生活者となった若い男、同じく路上で暮らしながら、 毎晩、際限なく酒をあおる病気持ちの女。 ホームレスがたむろする中央駅を舞台に、 二人の運命は交錯する。『娘について』 (亜紀書房刊)を著したキム・ヘジンによる、 どん底に堕とされた男女の哀切な愛を描き出す長編小説。 現在形の直線的な文章で断崖絶壁に追い詰めては 平地に連れ戻す、この文体の力は、永きにわたり 韓国文学の財産になるであろう。 ──「第5回中央長編文学賞受賞作」審査評 愛の本質を探究しつつも、限界に達した資本主義の 影と社会の問題を見逃さない若い作家の洞察…… 作品に深みを与えるまっすぐで流麗な文章 ──中央日報 書評
湘南に住むタウン誌記者の吉岡は、古民家でケーキ屋を営む28歳の人妻・翔子に惹かれ、毎日のように店に通っていた。陽気な翔子には結子という35歳の人妻の姉がいて、同じ古民家で陶器を商っている。この店をタウン誌で取り上げたいと相談すると、結子はある条件つきで承諾してくれた。物静かで着物が似合う結子にも惹かれてゆく吉岡。そんなある日、注文していた誕生日ケーキを、翔子が家に届けてくれることに。玄関を開けると、普段の禁欲的なパティシエ姿からは想像できない大きな胸とむっちりとした太腿をあらわにした翔子の妖艶な姿が…。女の渇きと男の欲望が交差する甘く濃厚な性活がはじまる!?
敬史郎は支店を立て直すため旭川に単身赴任をしている。妻からは離婚を切り出され、支店の業績もあがらず鬱々とした日々を送っていた。そんなある日、会社の親睦会で支店長の家を訪れることに。出迎えてくれたのは支店長の妻・朝香。彼女はかつて秘書課にいたマドンナで敬史郎も憧れていた。親睦会中、夫に叱責されキッチンでむせび泣く朝香を見て、背後からさりげなく声をかけると、彼女は濡れた瞳で振り返った。昂る気持ちを抑えられずに激情のまま抱きしめ、いきなり唇を重ね…。
「妻よ、お前もか」 「年金分割制度」の導入で女性たちの自立への思いが解き放たれる。 家庭を顧みる暇もなく頑張ってきた男たちよ! 妻の独立宣言を受け止めるだけの勇気、そして覚悟が、あなたにあるだろうか。 男たちが夫婦の危機に直面しながら熟年期の離婚に揺れる姿を描いた物語。 第一話 焦燥 妻たちの反乱 妻よ、お前もか 眠れぬ夜 第二話 混沌 真剣だから、滑稽 年金分割制度 日本は“ふろしき”文化 第三話 深刻 弁護士の話ーー離婚相談で繁盛 アメリカの事情ーー謝罪は敗北 第四話 憂慮 後悔先に立たず 再び、眠れぬ夜 第五話 性愛 ボケないために、愛には愛を 男と女は不可解 性への関心 第六話 逃避 夫の年収と妻の満足度は反比例? 我慢、妥協、あきらめ(その一) 我慢、妥協、あきらめ(その二) 我慢、妥協、あきらめ(その三) 第七話 絶望 女子と小人は養いがたし ハムレットとオフェリア 第八話 性癖 無縁死 愚痴 男と女の性癖 妻たちのお洒落 第九話 黎明 過去・現在・未来 子供の気苦労 いたわり、うるおい、いやし
「パーク・ライフ」(芥川賞)、「東京湾景」、「最後の息子」(デビュー作)、書き下ろし「自伝小説2」、単行本未収録作など、全14作品を収録。時代が生んだ人気作家の愛蔵版コレクション!
こうして書棚の秘密は私とB、二人だけのものになったーハリウッド俳優Bの泊まった部屋からは、決まって一冊の本が抜き取られていた。Bからの無言の合図を受け取る客室係…。“移動する”六篇の物語。
捨て子という生い立ちが、美しい容貌に影を落としていたー。銀座の老舗デパート三松屋に勤める朝波香織は、高級時計を盗んだ疑いをかけられる。彼女の境遇に同情した旅行作家の茶屋次郎が容疑を晴らすべく動くと、盗難の内部調査をしていた宇垣の死体が、木曽川河畔で見つかった!茶屋は彼の足取りを追い、奈良井宿、馬籠宿など、古の情趣漂う木曽路へ。しかし、三松屋の取引先社員も紺碧の流れに浮かび…。茶屋が旅路の末に辿り着いたのは、六年前、銀座で起こった、凄惨な通り魔殺人の真相だった!
朝からゴルフ、夜まで豪遊。札束で膨らんだ“お車代”。製薬会社が医師に対し、製品を採用してもらうべく仕掛けていた過剰な接待・贈賄は、法律で禁止された。ところが皮肉にも、規制強化につけ込む裏ビジネスが生まれる。自ら“医療マフィア”と名乗る花島正輝は、製薬会社に代わって優秀な美人医療情報担当者を送り込み、医師を籠絡。巨額の報酬を懐に入れていたのだ!
放火大量殺人の実行犯を検挙した刑事隼野一成が捜査本部に帰還し、拍手で迎えられたのも束の間、犯行グループから予告状が届く。警察だけが知り得る犯人の象徴ー“蜂”の針は、現役大臣殺害を示唆していた。捜査支援分析センターの異端児天埜唯が電波傍受・映像解析で犯人特定を急ぐも、捜査は公安主導となっていく。内外で高まる圧力。やがて隼野を悪夢が襲う…。
人類は古代から恋愛に懊悩し、その苦しみや歓びを綴り不朽の名作を生みだしてきた。そこには我々が学ぶべき叡智と教訓がつまっているー紀元前から今でも使えるモテテクを伝授する『恋愛指南』、高慢ちきな女子に効く『蜻蛉日記』、不倫に悩む人に『好色五人女』、リア充が妬ましい時には『ヰタ・セクスアリス』等々。古今東西の傑作がぐっと身近に、きっと読みたくなる読書案内。