2019年12月13日発売
顔よし、体よし、性格よし。そのうえ読書家。なんだか現実味のないイケメン、熊本くん。仲のよい大学生・みのりは、同級生から彼の噂を聞く。どうやら熊本くんが、ゲイ向けアダルトビデオに出ているというのだーー。
亡き夫の跡を継ぎ、浄見寺で寺子屋の師匠をしている桃。ある日、すでに大人でありながら、学問を学び直したいという春が訪ねてくる。最初は戸惑う桃だったが、春の隠れた才に次第に魅せられていく。一方、寺子屋で一番優秀な生意気娘の鈴は、春のことが面白くないようで。第11回小説現代長編新人賞受賞作。
表の顔は同心、その裏に隠された素顔は川衆頭領。川瀬若菜率いる川衆の反撃が始まる。山田正紀版ミッション・インポッシブル!
多くの別荘地を抱え、避暑地として名高いK町が記録的な大雪に見舞われた。町民や観光客、仕事のため車で訪れた人々も動きがとれない。除雪作業も追いつかず、災害救助法が適用され、自衛隊の派遣を要請する事態に。想定外の変化が引き起こした出会い、別れなどを描いた六つの物語。吉川英治文学賞受賞作。
関ヶ原の戦から十年後、三成の娘・辰姫が津軽家に嫁ぐ。藩主の信枚と睦まじい日々を送るも、その三年後に家康の養女・満天姫が正室として当主のもとへ。辰姫は上野国大舘へ移るが、のちの藩主となる長男を産むーふたりの姫による戦国時代の名残のような戦さを描く表題作ほか、乱世の終焉を描く短編も収録。
女を騙して金を巻き上げる悪党「色悪」。沙耶が「男に騙されやすい女」に見せる訓練をして、囮捜査で犯人たちを捕らえたものの、黒幕の松五郎まではいきつけなかった。その後こんどは、色悪になる方法を教える「色悪講」なるものまでできたらしい。奉行の命令で月也は商家のボンボンに扮し、色悪講に入ることになった。そして、本気で沙耶を口説きだした。二人の間にはいったい何が起こったのか!
加賀百万石の留守居役・瀬能数馬は岳父の宿老・本多政長から薫陶を受ける。各藩留守居役との駆け引きを描く好評書下ろしシリーズは、第十四巻目に突入。 加賀藩邸の不祥事を咎める評定所に臨んだ百万石の筆頭宿老・本多政長。神君家康の懐刀と言われた本多正信の血筋の登場に評定所の面々は圧倒され、本多の仇敵である老中大久保忠朝は目を剥いた。数馬も義父、政長を援護するため、江戸城を駆け巡る。政長は陪臣の矜持を保ちつつ将軍綱吉との謁見を何とか乗り切る。将軍と政長との間で交わされた話の内容がいっこうに漏れてこない。それを探る各藩留守居役との交渉をめぐり、数馬の周囲は騒然としてくる。なおも江戸に留まる政長に随伴した数馬は、本多家と吉原の累代からの関わりに驚嘆する。宿老不在の加賀でも、あらたな難題が。急遽たずねてきた越前松平家の重鎮が、予想をはるかに超える要求をつきつけてきた!
裁判員が殺人犯? 前代未聞法廷開幕! 裁判員裁判で死刑評決を受けた、犯行当時十九歳の死刑囚に死刑が執行される。綾川冤罪裁判を闘った弁護士・松岡千紗が量刑不服として再審請求する矢先だった。直後、死刑を支持した元裁判員が容疑者となる新たな殺人事件が勃発、千紗は敢然と法廷に立つ。人が人を裁く難しさを問う迫真のミステリー。『完全無罪』シリーズ第二弾。 多数決で決まる人の生死。 評決のとき、裁判員と裁判官がどれだけ悩み苦しむか考えました。 ー大門剛明
筧の部屋に入り浸り、猫のししゃもとネトゲにハマる日々の伊月。ミチルと都筑教授の親心から兵庫県監察医龍村のもとで武者修行することに。龍村の解剖マシンのような仕事ぶりに悪戦苦闘圧倒されっぱなしだが、ある赤ん坊の遺体に微かな痣の痕跡を見つけると、一転、目を見張る変貌を遂げ真相に迫っていく。
文庫書きおろしの人気シリーズが、新装版として講談社文庫から登場! 廣瀬知剛は、政治家も利用する大手病院で働く警視庁公安総務課OB。モンスターペイシェント、院内暴力、セクハラ、果ては暴力団関係者、薬物反応の出た患者の対応まで、ありとあらゆるトラブルの処理に追われている。ある日、脳梗塞で倒れた財務大臣がICUに運ばれてきた。どうやら何者かに一服盛られたらしいーー院内刑事の秘密捜査がはじまる!
経営難のホテルチェーンを見事立て直した半沢直樹。しかし、出る杭は完膚なきまでに打たれるかのごとく、すぐさま子会社・東京セントラル証券へ出向の辞令が。出向先へ転がり込んできた、有名IT企業による買収話。難易度の高い案件ながら、もし首尾よく買収に成功すれば巨額の収益が見込まる。その利益に目を付け案件を分捕りに来たのは、まさかの親会社・東京中央銀行だった……! 能力はあるも、どこか世間を倦み、上司への失望を隠せない若いロスジェネ世代とともに、半沢は卑劣な親会社のエリートたちに戦いを挑む。人事が怖くてサラリーマンが務まるか! 大人気シリーズ第三弾。2020年TBSドラマ「半沢直樹」続編の原作。
IT企業間の大きな買収案件を落着させ、子会社・東京セントラル証券から東京中央銀行に復帰した半沢直樹。今度は、破綻寸前の錆びたナショナルフラッグ・帝国航空の立て直しを命じられる。その矢先、政府主導の再建機関から、500億円にもなる帝国航空の借金を帳消しにせよと持ち掛けられ、半沢がノーと言えば、お国からだけでなく、行内のあちこちからも睨まれ、憎まれ、脅され、四面楚歌に。そんな中、半沢はもっとも近寄ってはいけない行内のある問題に気づくが。シリーズ累計550万部突破、説明不要の「半沢直樹シリーズ」第四弾!
日露戦争終結から十一年たった、大正五年。ロシア統治下の東京で、身元不明の変死体が発見された。警視庁刑事課の特務巡査・新堂は、西神田署の巡査部長・多和田と組んで捜査を開始する。だがその矢先、警視総監直属の高等警察と、ロシア統監府保安課の介入を受ける。そして、死体の背後に、国を揺るがす陰謀が潜んでいることを知るー。警察小説の旗手として不動の人気を誇る著者が「今の日本への問題意識を示すために、この舞台を選んだ」と語る、圧巻の歴史改変警察小説。
もしも隣人が異星人だったら? もしも並行世界を行き来できたら? もしも私の好きなあの子が、未知のウイルスに侵されてしまったら……? 切なさと温かさ、不可思議と宇宙への憧れを詰め込んだ、韓国SF短編集全15編。 同性愛、フェミニズム、差別と情報統制ーーマイノリティからのまなざしを受け止めつつ、人々の挫けぬ心を繊細に描く、「いま」と未来の物語。 宇宙飛行士を志す「私」は、夜な夜な母と囲碁を打ちながら、そのための勉強と準備を着々とすすめていた。しかし試験から帰ったその日、交通事故に遭い……。(「宇宙流」) 馬山沖には、亡者の残滓が水面に浮き上がって見える場所がある。ある日台風のニュースで、行方不明者リストの中に昔好きだった女の子の名前を見つけたヒョナは……。(「馬山沖」) スジョンの住む部屋の隣には、ガマガエルのような見た目の〈彼〉が住んでいる。 ある日ひょんなことから、その〈彼〉をお茶に招くことになり……。(「となりのヨンヒさん」) 【目次】 第一部 となりのヨンヒさん デザート 宇宙流 アリスとのティータイム 養子縁組 馬山沖 帰宅 となりのヨンヒさん 最初ではないことを 雨上がり 開花 跳躍 第二部 カドゥケウスの物語 引っ越し 再会 一度の飛行 秋風 【著者について】 チョン・ソヨン ソウル大学で社会福祉学と哲学を専攻。 大学在学中、ストーリーを担当したマンガ「宇宙流」が2005年の〈科学技術創作文芸〉公募で佳作を受賞し、作家としてのスタートを切った。 小説執筆と併行して英米のフェミニズムSF小説などの翻訳も手掛けている。 2017年には他の作家とともに〈韓国SF作家連帯〉を設立し、初代代表に就任した。 社会的弱者の人権を守る弁護士としても活動中。 【訳者について】 吉川凪(よしかわ・なぎ) 大阪市生まれ。新聞社勤務を経て韓国に留学し、仁荷大学国文科大学院で韓国近代文学を専攻。文学博士。 キム・ヨンハ『殺人者の記憶法』(クオン)の翻訳で、第4回日本翻訳大賞を受賞した。 著書に『京城のダダ、東京のダダーー高漢容と仲間たち』など、訳書にチョン・セラン『アンダー、サンダー、テンダー』、崔仁勲『広場』(以上クオン)など多数。
本名、年齢不詳。凄腕のボディガード・キリは、ニュージーランド在住のフィッシングガイド、トマス・リーから警護を依頼された。指定されたホテルに到着すると、頭上で爆発音が起こった。現場はリーと待ち合わせた二階レストラン。目の前で依頼人が爆死したのだ。そこへ大物フィクサー・睦月が現れ、リーの死の真相について調査を依頼される。リーの正体はかつて睦月のパートナーだった増本貢介で、生前「自分は呪われている」と話していたという。増本は呪殺されたのか!?ノンストップ・ハードボイルド“ボディガード・キリ”シリーズ第二弾!
深宇宙から飛来する謎の小天体群 人類の存亡は平凡な三姉妹に託された 日本をはじめとする国々が太陽系内の宇宙空間に機動都市と呼ばれる コロニーを作り、人々の故郷として暮らすようになった時代。 深宇宙よりカリポス・ベルトと呼ばれる、帯状に広がった無数の小天体が 地球に向かって飛来する。 カリポス・ベルトの到来した木星系に調査船団を派遣した国際的組織 「空間災害対策機構」はその実態を把握するが、それは小惑星をも粉砕して しまう「ルピアン」と呼ばれる謎の生命体と微小な天体の集合体だった。 人類はルピアンを迎え撃つため国際空間義勇軍を創設する。 義勇軍部隊の1つ・日本第七軍団の指揮官に選ばれたのは、機動都市・瑞穂で 生まれ育った女子高生、葦沢すばるだった。 ※この物語は、Webサイト「YOMBAN」に掲載された作品を改稿、 書き下ろしの短編「後伝初めての狩り」を加えて初書籍化したものです。
数多の戦場を駆け抜け“死に狂い”と恐れられたユキムラ・クジョウは、故郷の命により聖剣の勇者一行の魔王討伐に参加させられていた。そんなある日、魔王の軍勢を退けたところで勇者から突如としてクビを宣告されてしまう。しかし、懲りずに「さっさと大将首でも取るか」と考えたユキムラは、どこか間違った思いのまま魔王城へ単身殴り込み、勝手に魔王を討ち滅ぼしてしまった!?そして、使命を果した彼は故郷に戻らず、自由な生活を謳歌しようとするのだが…。“死に狂い”に平和など似合わない、魔王が消えた世界で新たな脅威を“斬り”拓く!
53歳の今も独身を貫く、偏屈×独善的×皮肉屋の建築士、桑野信介。まどか、有希江、早紀のこじらせ女性3人組は、そんな桑野の言動に振り回され、手を焼く日々。しかし、世間体にとらわれず、常にわが道を行く桑野が時に発する、まっすぐで胸に刺さる言動に触れるうち、それぞれの心情に微妙な変化が起きはじめる。ただの偏屈な人だと思っていたのに、なんとも言えないこの感情は果たして…!?前作から13年を経て、偏屈さにいっそう磨きがかかった独身男・桑野が選ぶ未来とは?ドラマノベライズ完結編。
20世紀文学の傑作(中の傑作)、ボルヘス『伝奇集』。この巧智あふれる書物に向き合い、その多彩な謎を鮮やかにとりだして再ー物語化しながら、虎、無限、円環、迷宮、永遠、夢といったテーマをめぐる探究を読者に誘いかける。ボルヘス流の仮構やたくらみを創造的に模倣しつつ語られた、まったく新しい画期的なボルヘス論。