2019年2月8日発売
越後岩船藩の江戸中屋敷に新蔵は疾る。十歳の志保姫を国許に連れ戻すために。街道筋には見張りがいる。巡礼の親子に扮し、旅が始まった。逃走劇の根底には江戸表と国許の確執があった。間道を選んで進む道中に追っ手は翻弄される。ところが新たな追っ手が行手を阻み、山火事が迫る中、強敵との死闘が待つ。姫を連れて戻れるのか?冒険小説の旗手シミタツならではの痛快時代エンタメ長篇!
更屋恭一郎は、造園業を営む祖父の家で生まれた。夫を亡くした母が実家に戻ったからだ。この家には、祖母と母の妹たちー歯科医と結婚した次女、骨董屋を営み、双子兄弟と結婚した双子の三女四女、数学教師になった五女、電機メーカーの御曹司と結婚した六女、水商売をしていた七女。画家になった八女ーと、住み込みで働く男たちもいる。恭一郎が見た、この大家族の悲喜交々とは?
斎乱之介は料理茶屋の板前に身をやつしながら、養父を刑死へと追いやった目付の鳥居耀蔵への復讐を胸に秘めていた。料理茶屋自体が天保世直党の隠れ蓑でもあった。隠密廻り方同心が読売屋を使嗾して執拗に乱之介の出自を探っていた。その秘密が、陸奥笠原家のお家騒動に頼む意外な事実とともに明らかになったとき、新たな敵が牙を剥いて乱之介たちに襲いかかった。長篇時代剣戟。
九州豊前、小竹藩の勘定奉行・澤井家の志桜里は嫁いで三年、子供が出来ず、実家に戻されていた。ある日、隣家に「抜かずの半五郎」と呼ばれる藩士が越してくる。太刀の鍔と栗形を紐で結び封印していた。澤井家の中庭の辛夷の花をめぐり、半五郎と志桜里の心が通う。折しも小竹藩では、藩主と家老三家の間で主導権争いが激化していた。大切な人を守るため、抜かずの半五郎が太刀を抜く!
事業の失敗によりIT企業の社長から無職へ転落した三津間宗近。傷心を紛らわすつもりで帰省した奈良で幼馴染の溝部俊平に優しく迎え入れられるが、獣医師である俊平の周辺ではペットが誘拐される事件が起きていた。俊平の元には犯人から殺戮写真と犯行予告メールが届き、宗近と俊平の医院に出入りする動物好きの少年・颯太が捜索に乗り出すが、事態はペットのみならず殺人事件へ発展した。初の書下し長篇ミステリー。
半地下の部屋で一日中パンを作らされている俺たちには、毎朝やってくる小間使いターニャの存在だけが希望の光だった。だが、伊達男の登場で…。底辺で生きる男たちの哀歓を歌った表題作、港町のアウトローの郷愁と矜持を生き生きと描いた「チェルカッシ」など、初期・中期の4篇。
ネット放送の『あやかしTV』は、現代にも残る不可思議な現象やスポットを徹底調査していく番組。アシスタントディレクターの香月都は、オカルト否定論者のディレクター・倉橋匠とともに、各地を飛び回る毎日だ。“不思議”の謎を解き明かすうち、その向こうに見えてくる人々の切実な想いとは?せつなくて心温まる連作ミステリー。文庫書下ろし&オリジナル。シリーズ第一弾!
ワシントンDCの国防総省では、米日安保条約の“解消”に関する秘密会議が開かれていた。一方東京では、防衛大臣に暗殺の魔手が伸び、更に第一回世界情報平和会議の会場で、米中露、各国要人の命を狙う一大事件が発生!内閣総理大臣から超法規的権限を与えられ、大国間の策謀渦巻く闘いの場に一人立つ「高級秘密情報官」とは!?日本へ迫る危機を看破する戦慄の問題作!迫真のスーパー・サスペンス!!文庫書下ろし&オリジナル。
高級秘密情報官・朝倉一矢は、何者かに射殺された盟友・芳元英雄の実家で、朝倉のオフィスを襲撃した謎の美女の写真を発見。写真には中国国家安全部のエージェントと記されー。衝撃を受ける朝倉へ、米国大統領から、世界情報平和会議で凶弾を放った犯人検挙への協力要請が来る。そして北京の国家主席執務室には驚天動地の報告が!闇に蠢く『活動家X』の狙いは!?迫真のインテリジェンス・サスペンス!!文庫書下ろし&オリジナル。
大阪あいりん地区のロッカー屋から届いた宅配便。古ぼけた鞄に入っていた手紙にある山本という名に、竹花は覚えがなかった。中身はガラクタのようなものだったが、鞄を引き取りたいと申し出る男が現れた。そして、山本の娘だという女優・清香から依頼を受け、竹花は大阪へ向かう。地元の探偵・明珍を相棒にして調査を進めると…。鞄の中身に秘められた謎とは!?
初めて出会った時、君は野性的で、ココナッツの香りがしたー。流葉爽太郎の新たな仕事は、南洋の島々におけるフランスの支援活動PR。アイデアを模索する折、あるカメラマンの回顧展に赴くためシンガポールへ。そこで巡りあった少女と一枚の写真が危険に誘う。美しいモルディブを舞台にサスペンスと愛が交錯!型破りのCFディレクター・流葉が主役の大人気シリーズ!文庫書下ろし。
かつて奴隷として買われ、今では奴隷を売買する立場になったサラサ。彼女の頭を離れないのは、自分とともに売られ、行方がわからない妹アリアのことだった。その妹は、上海で、ある男に愛人として飼われていた。彼女の妊娠が発覚したことから、姉妹二人の運命は大きく動き始める。そしてサラサを襲う卑劣な罠とは?衝撃の展開から目が離せないサスペンス長編!文庫書下ろし。
都内のビル屋上で、加賀宝生流の能衣装をまとった男の死体が発見された。被害者は死ぬ前に能を舞ったらしい。近くのホテルに滞在する某国の大統領に見せるためだったと推測された。学生時代に金沢に滞在していた大統領が昔愛した女性が、二年前に失踪していたことが判明。現地で捜査を続ける十津川を待ち受けていたのは、古都に秘められた大きな陰謀だった。長編推理小説。
農林省食糧管理局長・岡村福夫は、同省の倉橋課長補佐が汚職の重要参考人になったことをうけて、視察先の札幌から深夜に呼び戻された。よけいなことをきいてはならぬのが保身の術、という哲学の総務課事務官・山田喜一郎は、ことの成り行きを、傍観者として眺めている。政権や上級官僚に翻弄される一介の役人の悲哀と、現代社会に通ずる、官庁汚職を描く。長編推理小説。
神楽坂愛里を、幼馴染の碓氷圭太が突然訪ねてきた。二人きりにさせたくない福豊颯太は、三人で学祭を回ることにしたが、立ち寄った模擬店の豚汁から食中毒が発生。ミスコン真最中の清水レイアも壇上で嘔吐して倒れてしまった。原因とされたシイタケを調べてみると…。警察も一目置くリケジョ・愛里が再び、努力を踏みにじる悪意を鮮やかに解析する!
前回の告白を受け、ようやく匡を意識するようになったミツル。「デート」の響きをくすぐったく感じながらも、温泉街で屋敷神たちの御用聞きを続けていた。あるとき、亡くなった常連客の自宅で大量の古酒が発見され、ミツルはその鑑定を任されることに。そしてミツルと匡に、結婚写真のモデル役の依頼が舞い込んできてー!?甘酸っぱいシリーズ三作目!
吉原で幇間をする絵師の暁雲(多賀朝湖/後の英一蝶)は、親しい太夫から勧められ、深川にあるという松尾芭蕉の草庵に出向く。折しも芭蕉庵では、何者かによる不穏な投げ文と、掛け軸が蛇の文様で汚された騒動に紛糾していた。琉球衣装を纏う謎の女に導かれ、暁雲は芭蕉の一番弟子の其角と共に、庵で起こる不可思議な事象を解明しようとするが…。哀切溢れる物語。
麻布谷町の山吹屋。そこは主の賢之丞の差配で、様々な求めに応じて人を斡旋する口入屋だ。武家や商家、普請場など斡旋先は多岐に亙るが、時に怪しげな依頼も混じってくる。花火師と猟師と鉄砲鍛冶を揃えてくれという浪人にきな臭さを感じた賢之丞は、読売屋や女郎、忍など多彩な仲間たちとともに、幕末の江戸を揺るがす陰謀に立ち向かう!痛快時代活劇。
「きやぁぁっ」老舗の油問屋で悲鳴が上がる。大店で知られる東海屋の主が変死した。内儀は、夫の口から牡丹の花弁が零れているのを見て失神し、女中と手代は幽霊を見たと証言した。北町奉行所の切れ者同心、木暮信次郎は探索を始めるが、事件はまたも“仇敵”遠野屋清之介に繋がっていく…。肌を焦がす緊張感が全編に溢れる、人気シリーズ待望の第七弾。