2019年3月27日発売
「あなたのお兄さんって、どうして結婚しないのかしら」 17歳のルイーズは、由緒ある美しい屋敷に帰ってきたばかり。 パーティで、親友にそう問われても、彼女の心はうつろだった。 ルイーズにはショックなことがあったのだ。いつものように、 駅に迎えに来た義兄のダニエルが、今日は恋人を連れていた。 血の繋がりのない、35歳の義兄をひとすじに慕い続けてきたのに。 彼の“特別”にはなれないーー思い知った彼女は距離を置こうと、 パーティに親友と、自分に気のあるその兄を招待した。しかし、 ダニエルはルイーズにほかの男性と踊らせようとしなかった……。
アンジーの美しい妹が、半年前にギリシアで亡くなった。大富豪ニコスの屋敷のバルコニーから転落死したのだ。そのニコスが、いまアンジーを前にし、悔やみの言葉すらなく、妹が盗んだという、遺品の宝石を返すように迫っている。妹を弄び死に追いやったのに、罪の意識の欠片もないらしいー罰を与えたくて、彼女は色気のない自分との結婚を条件にした。しかも、ほかの女性との関係を禁じる屈辱的な契約書付きで。ところが、プレイボーイの彼はためらいもなく承諾したうえに、「僕の所有物になるんだ」と、アンジーの体を舐めるように見た。
度重なる、奇妙な明晰夢にソノラは悩まされていた。 青く沈む薄闇の孤独のなか、揺らぐ影の“瞳”を感じる幻覚だ。 ソノラは生まれてすぐに孤児院の前に捨てられた子だった。 いつの日か母親が迎えに来てくれると信じたこともあったがーー 思わず、自嘲めいた笑みがこぼれる。その後の人生を思い出して。 ある出来事に巻き込まれ、命を狙われ始めたソノラは、 身を隠そうと逃げ惑うなか、導かれるようにその町へ辿り着く。 夕闇に浮かんだ男性と瞳があった刹那、ソノラはよろめいた。 見紛うはずもない、幻覚で見続けた“瞳”だったから。 ソノラ・ジョーダン…………………麻薬取締局捜査官。フランクリン・ブルーキャット……ソノラの父親。ジェラルド・ミントン………………ソノラの上司。バディ・アレン………………………ソノラの元ボーイフレンド。アダム・トゥーイーグルズ…………カイオワ族のヒーラー。ミゲル・ガルシア……………………麻薬ディーラー。エミリオ・ロハス……………………ミゲルの父親の旧友。
わずか1週間で、大企業の御曹司リーと電撃結婚したシャロン。夢見心地の結婚式の直後、シャロンは残酷な事実を知らされる。身寄りのないシャロンなら面倒がないと、リーが妥協したのだと。式場で流れていた心ない噂ーそれは手酷い裏切りだった。彼のプレイボーイぶりを見かねた父親から、すぐ結婚しなければ、会社の後継者にしないと最後通牒をつきつけられたというのだ。凍りついたシャロンは、ハネムーン先のスイスでの新婚初夜に、リーを拒み、知らぬ間に悲鳴のような声をあげていた。「あなたは、お金のために私と結婚したのよ」