2019年5月15日発売
金融会社社長が政界へ流す裏金11億円を、社長運転手の根津謙治が周到な計画の末、強奪する。事件への関与を疑われた謙治だが、アリバイ工作が奏功、逮捕に至らず、実業家として成功を収める。時効直前、かつての謙治の暴挙が綻びとして不穏な影を落とす。昭和の時代と風俗を克明に描く「戦後ノワール」巨編!
仙台の下級藩士の家に生まれ、江戸で学問を積むためには、逐電するしかなかった玉虫左太夫。やがて頭角をあらわし、勝海舟、坂本龍馬との知己を得る。列強の圧力の中、米国へ向けた使節団がポーハタン号で、品川沖を出発。新見豊前守の従者として乗り込んだ左太夫は、見知ったことを懸命に記録していった。
繁栄する米国と欧州列強に屈したアジア、アフリカをその目に焼き付けた玉虫左太夫。だが帰国後にその経験を生かすのは難しかった。郷里仙台に戻れば、下級藩士に戻る左太夫。だが倒幕のうねりは、いよいよ奥州に迫り来た。新政府軍からも列強からも奥州は守らねばならぬ。奥州を一つに!左太夫は奔走する。
香港で仕事をする島田文子のもとに男が現れた。島田が真賀田研究所にいた頃に起きた飛行機事故について質問があるという。その日、走るトラムの中で殺人が起き、死者の手に「χ」の文字が遺される。乗客として警察の捜査に応じた島田だったが、そこである交換条件を持ちかけられ…。Gシリーズ後期三部作開幕。
桜宮市で実家の鉄工所に勤める平沼平介のもとに旧友の久光穣治が現れ、バブル期に桜宮水族館に設置された「黄金地球儀」を強奪しようという。ちょうどそのころ、市の管財課は黄金地球儀の警備システムの一部を平沼鉄工所に委託しようとしていたが、そこにはある企みがあった。市役所vs.町工場、痛快コンゲーム!
京都でテーラーを営む曽根俊也。自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。それは日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。一方、大日新聞の記者、阿久津英士も、この未解決事件を追い始めー。圧倒的リアリティで衝撃の「真実」を捉えた傑作。
「最近仕事がうまくいかなくなってきた」「婚約者が自分の家族の話を避けている」「彼との婚前旅行のはずが一人旅になった」「結婚十五年。妻に別の男ができた」切実で誰にも起こりうる人生の重大事。あの一日の出会いが悩みや哀しみを軽やかなものにしてくれる。前を向いて生きていきたくなる心の栄養六編。
騙して、化かし、また騙す。策士・真田昌幸。武田家滅亡後、織田、北条、上杉という大大名に囲まれながら、策謀をめぐらし、裏切りを繰り返して天下をうかがう。昌幸の前に立ちはだかるのは名将徳川家康と大軍勢。あまりに巨大な敵に、どう挑むのか。戦乱を変幻自在に立ち回る小国の武将を描く傑作歴史小説。
長引く低金利時代にメガバンクはのたうちまわっている。富裕層を相手にするPBの旗手・高梨優。シングルマザーのFA南野治子。リーマン・ショックに揺れる東西銀行で、対照的な二人の銀行員が出会ったことで、新たな鉱脈は見つかるのか。激動の新時代に、生き残りをかけるバンカーたち!
東京からの訳あり転校生・水里あかね。のどかな温泉街の実予で出会ったのは、新しい親友と不思議な教師と、いまどき陰陽師の小諸るいか。その出会いを機にあかねは、百鬼夜行や鬼女に襲われ始める。その呪いは遂に学校爆破事件と生徒飛び降り事件に発展しー陰陽少女が論理を紡ぐ新感覚ミステリー、開幕!!
本土防衛決戦が目前に迫る晩秋、トップチーム内にスパイが存在するとの極秘情報が「須佐乃男」操縦班を震撼させる。一〇〇万を超う氾=エウロペ連合軍との決戦で数十年分の肉体年齢を失うタツオたち訓練生の運命と決戦の行方は…。祖国防衛か、それとも植民地化かー近未来青春アクション巨編ついに完結!
警察組織を監視するはずの監察官がコンパニオンを揚げての不祥事を起こす。警察トップは対策に、アメリカ諜報企業・リスクヘッジ社を、組織全体を監視する第三者機関として採用。警察内部の不正を先に発見するのは!諜報企業vs.監察官のバトルー単行本『もみ消しはスピーティーに』改題のニューウェーブ警察小説!
秋の気配と共に「三茶のプラネタリウム」へ過去からの亡霊たちが訪れる。元恋人、死んだ仲間、そして宿敵の姿をとって…和真と創馬はひとり娘・月子の幸せを願って、それぞれの過去と対峙する。星座館の仲間の祈りは星に届くのか。大切な人に読み継ぎたい、星と家族の人生讃歌物語、感動のフィナーレ。
警視庁捜査一課の田島慎吾は、自衛官の死亡事故現場に別の自衛官がおり、事故後すぐに現場から逃走していたことを知って怪しむ。すぐに朝霞駐屯地へ聴き取りに行くも、体よく追い出され真相に迫れない。その事故が隠そうとする闇とは。無口な潔癖刑事と、お喋りな天然刑事がコンビを組んだ“相棒”シリーズ第一弾!
若き戯作者閻魔堂赤鬼こと青山麟太郎は今日もひょうひょうと事件を追う。直参旗本の悪事を暴いて人気の柳亭馬風。地本問屋「蔦屋」の二代目お蔦に、書き掛けの原稿を預けたあと、馬風は和泉橋の袂で血塗れで見つかった。秘密を暴かれたくないのは誰か?そして人気戯作者の隠された顔とは!?
川辺で生きるホームレスの望太と、都会の闇に溺れゆく孤独な少女・絵里。誰の人生にも、冷酷な人間の心の闇に触れて絶望するときがあれば、人と出会い、深く語り通じ合い、光に満ちた美しい瞬間もある。絶望と希望。死とエロス。プリズムのようにきらめく、ふたりの“生きる”物語。世の中の片隅で懸命に生きる人々の傍らに立つドリアン助川が、魂を込めて描く、人生の再構築。
大晦日、実家に帰ると母がいなかった。息子の泉は、夜の公園でブランコに乗った母・百合子を見つける。それは母が息子を忘れていく、始まりの日だった。認知症と診断され、徐々に息子を忘れていく母を介護しながら、泉は母との思い出を蘇らせていく。ふたりで生きてきた親子には、どうしても消し去ることができない“事件”があった。母の記憶が失われていくなかで、泉は思い出す。あのとき「一度、母を失った」ことを。泉は封印されていた過去に、手をのばすー。現代において、失われていくもの、残り続けるものとは何か。すべてを忘れていく母が、思い出させてくれたこととは何か。