2019年5月発売
1996年2月、ストックホルム。シンクタンクで働くマックスは、音信不通になった恋人パシーの身を案じていた。彼はパシーの住むサンクトペテルブルクへ飛び、そこで、彼女がロシアで急成長している携帯電話会社の技術について情報収集をしていたことを知る。この企業とパシーの失踪には何かかかわりがあるのか?ソ連崩壊直後のロシアと第二次世界大戦末期のスウェーデンを舞台に繰りひろげられるサスペンス長篇、開幕!
失踪した恋人のパシーを捜しに、サンクトペテルブルクへ飛んだマックス。わずかな手がかりを頼りに彼女の足跡を追ううち、とある人物の影に気付く。巨万の富と権力を用いてロシア裏社会で暗躍するこの男は、ソ連の復活を目論んでいた!この男がパシーを捕らえているのか?彼女は無事なのか?さらに彼はマックス自身の出自にまつわる謎を解く鍵も握っていた…二つの都市と時代を繋ぐ一気読み必至のサスペンス大作。
1922年、モスクワ。革命政府に無期限の軟禁刑を下されたロストフ伯爵。高級ホテルのスイートに住んでいたが、これからはその屋根裏で暮らさねばならない。ホテルを一歩出れば銃殺刑が待っている。そんな不遇を乗り切るために彼が選んだのは、紳士の流儀を貫くこと。人をもてなし、身のまわりを整え、人生を投げ出さない。やがて彼は宿泊客や従業員たちと友情を深めるが…。いまも世界中の名士から愛されるホテル、メトロポールを舞台に上流社会のドラマを描く、陶酔と哀愁に満ちた長篇小説。全米で140万部突破、“ワシントン・ポスト”など8紙誌の年間ベストブックに選出。
それは、世界各地に出現した。それは、全ての動植物を喰らった。それは、地球人類の絶望となった。日本では対馬に現れた、それーIAS。陸上自衛隊による奪還作戦は失敗し、多くの自衛官と住民が殺戮される…。空前の脅威に為す術もない日本政府は、同島の完全封鎖を決定するがー。地球の未来を指し示す、人類生存の黙示録。
無事に進級を遂げた俺の背後席には、相変わらず涼宮ハルヒが鎮座していた。古泉曰く、春休み最終日に中学時代の俺の友人・佐々木に出会ってから閉鎖空間の出現頻度が高まっているらしい。そしてとある土曜日の朝、SOS団と待ち合わせ中の俺の前に佐々木が再び現れたわけだが、その両脇に随伴していた二人の少女が問題だった。それは二月に朝比奈さんを攫った誘拐犯と正体不明の謎女で!?
新年度第一回不思議探索パトロール後に伏せってしまった長門。病の原因はどうやら、佐々木に随行していた宇宙人別バージョンこと周防九曜にあるらしい。長門不在のピンチの中、迫り来る周防の魔の手から俺を救ってくれたのは、二度と会うことはないはずの女ー朝倉涼子だった。一方SOS団にはハルヒ自作のとんでも入団試験をクリアし、団員候補となった風変わりな一年生が現れ…!?待望のシリーズ第10巻!
「何事もないのが一番いい。そのためならどんなこともする」。日本の誇る情報機関、その組織には名前すらない。平和にまどろむ日本が一日も長く続くよう、戦う無名の猟犬たち。とある事情から猟犬となった“外国人”がいた。男は情報と軽武装を頼りに、盗聴・買収・尾行・脅迫を駆使し、ヤクザを操り、公安を出し抜き、日本の“敵”を潰す。良心をすり減らして生きる男の今日の仕事は?他に類のないスパイ小説!
ナチス政権下のドイツ、ハンブルク。軍需会社経営者である父を持つ、15歳の少女エディが熱狂しているのは、敵性音楽の“スウィング”だ。歌い踊り、天才的な即興に驚嘆する。ゲシュタポの手入れを逃れるのもお手のものだ。だが音楽に彩られた日々にも、戦況の悪化が不穏な影を落とし始める…。権力と暴力に蹂躙されながらも、自分らしく生きようと闘う人々の姿を、ジャズのナンバーとともに描きあげる、魂を震わせる物語。
売れない作家の大久保のもとに、大学からの腐れ縁で、今は新聞記者の関が訪ねてきた。「怖がり役」として、怪談集めを手伝ってほしいという。嫌々ながら協力することになった大久保だが、先々で出遭ったのは、なぜか顔を思い出せない美しい婦人や、夜な夜な持ち主に近づいて来る市松人形など、哀しい人間の“業”にからめとられた、あやかし達だったー。西へ東へ、帝都に潜む怪異を集める、腐れ縁コンビのあやかし巡り!
昭和39年、東北の小さな町。叔父が月賦でカラーテレビを買い、民子も家族も大興奮。学校では憧れの夏美のグループに誘われ天にも昇る思いだったが、クラスで爪弾きにされているるみ子の存在が気になっていた。彼女が東京に転校する日、「友だち」だと言われ、民子は思わず涙をこぼす。顔なじみの町内に起きる、悲喜こもごもな出来事。テレビの映像は東京オリンピックの開会式。時代が変わっても懐かしい「昭和お茶の間」物語。
小江戸川越の喫茶店『くろき』。スタッフはイケメン揃いだが、その正体は猫!毒舌美青年(黒猫)の店長ボウに、副店長の胡桃(人間)は翻弄される日々。家具店の広報室で編集者としても働く胡桃は、会社の“カフェ経営”に協力することに。社運を懸けたこの新事業、失敗すれば広報室がなくなって胡桃もクビ!?さらに、喫茶店オーナーからも、突然閉店の提案が…。2つの職を同時に失う胡桃のピンチに、猫たちが立ち上がる!
2020年、研究者の工藤賢は死者を人工知能化するプロジェクトに参加する。モデルは美貌のゲームクリエイター、水科晴。晴は“ゾンビを撃ち殺す”ゲームのなかで、自らを標的にすることで自殺していた。人工知能の完成に向け調べていくうちに、工藤は彼女に共鳴し、惹かれていく。晴に“雨”という恋人がいたことを突き止めるが、何者かから調査を止めなければ殺す、という脅迫を受けてー。第36回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
「そうですね。その河童がーー誰かと云うことです」 「河童が誰かって、中禅寺さんあんた」 小山田は顔を顰めた。 昭和29年、夏。 複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。 3体目発見の報せを受けた科学雑誌「稀譚月報」の記者・中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田が調査中の模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。 第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪研究家・多々良勝五郎らと共に怪事件の謎に迫るがーー。 山奥を流れる、美しく澄んだ川で巻き起こった惨劇と悲劇の真相とは。 百鬼夜行シリーズ待望の長編!
双貌塔イゼルマに住む究極の美を持つとされる黄金姫・白銀姫。二人のお披露目パーティーに、エルメロイ2世の義妹であるライネス・エルメロイ・アーチゾルテが出席することになった。2世の弟子グレイをボディガードとして伴い、訪れた双貌塔でライネスを待ち受けていたのは、「時計塔」に影響力を持つ三大貴族の派閥抗争と、冠位の魔術師、そして予期せぬ殺人事件だった。魔術と美、幻想と陰謀が交錯する魔術推理劇第二幕。
「怪異が潜むのは、『日常』と『日常』の隙間にある『非日常』だよ」-怪異収集家の准教授・高槻と、嘘を聞き分ける耳を持つ大学生・尚哉の下に、小学校で噂のコックリさんの調査依頼が。「あなたは誰?」という質問の答えは、かつてそのクラスにいた児童の名でー。ほか、尚哉の耳に異変が起こる中、有名女優から幽霊相談が持ち込まれて…!?高槻の謎めいた過去も語られ、ますます目が離せない、大人気民俗学ミステリ第2弾!
遅めの桜が咲き始め、ようやく春が訪れた北海道。お互いの思いを再確認した千春とユウだったが、千春の帰任期限は刻一刻と迫っていた。このまま札幌で転職してユウとずっと一緒に暮らすか、それとも遠距離恋愛か。自分が本当にやりたいことは何か悩む千春に、ユウがお弁当に込めたメッセージとは?そして最終的に千春が選んだ生き方は?北海道の旬の幸がたっぷり味わえる、ほっこりお弁当ものがたり第5弾!
グルメ界隈で噂の店、歌舞伎町にある「美食亭グストー」を訪れた大学生の一条刀馬は、悪魔のような料理長・荒神羊一にはめられて地下の特別室「怪食亭グストー」で下働きをすることになる。真珠を作る牡蛎に、昭和の美食家が書き遺した幻の熟成肉、思い出の味通りのすっぽんのスープと、店に来る客のオーダーは一風変わったものばかり。彼らの注文と、その裏に隠された秘密に向き合ううちに、刀馬は荒神の過去に迫るー。
不老不死の一族の末裔としてただひとり強大な力を受け継ぎ、現代の都会でひっそりと暮らす御先(みさき)の前に同じ力を持つ青年・四(よん)が現れた。彼らは性別を持たず、治癒能力があり老いることもない。少女のような外見のまま150年以上の時を過ごす御先は、自分の体質を恐れ逃げるように生きてきた四と行動を共にするうちに、自らが過去に里で犯した罪と向き合いはじめる。 「わたしは誰かを愛せるのか」。時代を超えた、愛と命の物語。