2019年5月発売
彼女を想うと、僕はいつでもはじめに、あの真っ白な月のことを思い出すーー『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』の浅原ナオトが瑞々しく描く、これ以上ない熱くて切ない、僕たちの青春。その夏、いつもブルーハーツの曲が流れていた……。 「月に人が住む王国があるの、知ってる?」--青春を無防備に過ごすヒロトの前に現れた一人の少女。何でも自分は月の王国の女王の娘で、間もなく月に帰らなければならないという。しかし、現実にはそんなことはあるはずもなく、何か事情がありそうで……。謎の少女に逆ナンされた少年と、特別な友情で結ばれた中学生たちが織りなす、卒業までの青春の熱きかけがえのないひと時。中学卒業と一緒に、僕たちは何を卒業するのだろう……。話題作『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』の浅原ナオトが描く、誰も見たことのない感動の青春群像劇。 【目次】 第一話「戦士の詩」/第二話「武闘家の詩」/第三話「魔法使いの詩」/第四話「盗賊の詩」/第五話「月姫の詩」/第六話「騎士団の詩」
フリースクール“静鈴荘”に通う岩瀬知香は、中学校への復学を強要する母親との問題に悩んでいた。彼女が学校に行けない「本当の理由」を告げられた新米教師の佐伯道成は、先輩教師の舞原杏と救済の道を探す。そして明らかになる杏に隠された『世界で一番かわいそうな夫婦』の秘密。戦後最大の未解決事件が起きた十年前に時計の針は巻き戻され、すべての罪は白日の下にさらされる。
親族に疎まれ失意のまま辺境の神学校に編入したオーランドは、この世の怪を蒐める不思議な少年と出会う。のちに日本で『怪談』を著したラフカディオ・ハーンー小泉八雲が英国で過ごしたまばゆい青春と友情の記録。日に日に恐るべき速さで成長する子どもが彼らのもとをおとずれる奇譚「名もなき残響」、姿を消した黒猫と死を呼ぶ青い蝶を巡る「Heavenly Blue Butterfly」、他一編。
フランス文学最高峰ゴンクール賞受賞作。父に捨てられた弁護士のノラ、移住先で教師の職を捨てなければならなかったファンタ、夫を失ったカディ・デンバ。悩み、悲嘆に暮れ、疑念に駆られ、騙され、無力な怒りに苛まれ、ときに辱められていく三人の女たちの絡み合う生を描く、フランス最重要作家の傑作小説。
ある日突然、魔法が普通に使われている“ファンタジー”な異世界に転移してしまった女子高生の美咲は、自分で買ったことがあるものなら呼び出せる不思議な能力と膨大にあるらしい魔力を頼りに、食堂の主人と傭兵の兼業生活を開始。美咲と同じく、気が付けばこちらの世界に転移していたという茜や広瀬、小川といった“同郷”の友人たちもでき、落ち着いた生活を送るはずが、さまざまな騒動が舞い込み!?SFは大好きだが、ファンタジーの知識はほぼない女子高生による、異世界手探りライフ!第6回ネット小説大賞期間中受賞作。
ツアーコンダクターとして15年間、国内外を旅してきた常磐万智は、義母の介護のため退職。旅先で料理について学んだ経験を生かし、義母の死去後、自宅で料理教室を営むことに。珍しい郷土料理を扱う教室には、亡き妻を偲び、あるいは両親のため、老若男女の生徒たちが通ってくる。そして万智の家庭にもある事情が。
金毛九尾の狐の物語「殺生石伝説」を下敷きにした、綺堂の長篇伝奇小説。平安朝、妖狐に憑かれ国を惑わす美女になった娘と幼なじみの若き陰陽師の悲恋を軸に、権力闘争にあけくれる殿上人や怪僧らが暗躍する。附録として短篇「狐武者」を収載。装画と口絵は山本タカトによる描き下ろし。本文には井川洗〓(がい)による挿絵を再掲。
ここは、「この世」の境が溶け出す場所ーお針子の齣江が、皮肉屋の老婆トメさん、魚屋の少年・浩三らと肩寄せ合う長屋では、押し入れの奥に遊女が現れ、正体不明の「雨降らし」が鈴を鳴らす。秘密を抱えた路地を舞台に繰り広げられる、追憶とはじまりの物語。巻末に堀江敏幸氏と著者の対談を収録。
極限の貧困の中、シベリアに売られた青年・南雲凱は帰国後、新格闘技団体に入門。自身の強靱さを武器に一攫千金を夢みる。一方、裕福な家庭に育ち空手道場に通う大学生・麻生英治郎は、流派への漠とした違和感の中、フルコンタクト空手師範の黒沢と出会うー対照的な二人の目指す先には何が待ち受けるのか。そして、「真の強さ」とは!?
格闘技大会で勝ち続け不敗神話を作り上げる凱だが、満たされない虚しさに豪遊を繰り返す。一方「輝英塾」を立ち上げた英治郎は、弟子たちの活躍によりマスコミに「常勝軍団の総帥」と祭り上げられ、理想とは正反対の現実に苦悩する。そして、頂点を極める凱と対決し、その事態に終止符を打つことを決断する。両者激突、感動の結末!
どの被害者も顔を“壊された”状態で発見される、多摩連続殺人事件。事件を捜査する夢川時勇はある朝、自分の身体に妙な傷と痣があるのに気づく。そして殴殺魔による新たな被害者がー。「あいつがやったのか?」実は時勇は、深夜数時間だけ別人格に入れ替わるのだ。犯人は“ハイド”と名付けたこの人格なのか。その目的とは?
その執念深さで捜査一課の名物刑事と謳われた奥田が、退職直後に木曽路で失踪した。さらに実在しない奥田の娘から捜索依頼の手紙が、十津川警部のもとに届く。奥田の妻も入院先の病院で不審な焼死を遂げ、事件は混迷を深める。木曽路に向かった十津川・亀井コンビを待ち受けていたものは…!?
大力の青年・坂田公時は武士になるため都へ上る。初めて知る身分の境に戸惑う彼は、ある日「鬼」の噂を耳にする。一方、神の棲まう山・大江山では食糧たる獣たちが姿を消す。里の長である朱天は仲間たちのため、盗みを働く決断を下す。公時と朱天、都と山、人と鬼ー二つの魂が交錯する時、歴史を揺るがす戦が巻き起こる!
二番めに襲ってきたエレメントの十戒は、寄生した者を怒りと攻撃欲の虜にしてしまう戦争エレメントだった。タウレクが発見した手段により絶滅できたかに見えたのだが、一体だけ生きのこった戦争エレメントが分裂増殖したせいで銀河イーストサイドの惑星カルルジョンに住むブルー族は全員、とりつかれてしまう。そこへ、十戒の司令官と呼ぶべき“指揮エレメント”がやってきた。またの名を夢見者カッツェンカットという!
無辺の空間に茫漠とひろがるカニ星雲ーその外縁部で銀色に輝く地球の宇宙船が遭遇した漆黒の異星船は、敵か味方か?SF界の重鎮によるもっとも有名なファースト・コンタクト・テーマの決定版「最初の接触」をはじめ、『呪われた村』のジョン・ウインダムの「生存者」、奇才P・J・ファーマーの「キャプテンの娘」など、名翻訳家伊藤典夫が惚れこみ翻訳した宇宙SFの中から、SF評論の第一人者高橋良平が7篇を厳選。
不治の病を宣告された母ー母はわたしを見守り、残された時間をともに過ごすためにある選択をする。それはとてつもなく残酷で、愛に満ちた決断だった…。母と娘のかけがえのない絆を描いた美しくも切ない表題作、肉体を捨てて意識をアップロードした家族を見送った人々を描く「残されし者」など、『紙の動物園』で読書界の話題を集めた作家が贈る、第二短篇集である単行本版『母の記憶に』から9篇を収録した傑作集。
マンハッタンで発生した立てこもり事件は人質救出で解決したかに見えた。だが上層部にその後の捜査を阻まれたNY市警のブラウンは、逆に事件を追う決意をする。一方、NYに潜伏中の探偵・濱崎は、人質が旧知のヤクザの情婦だったことから裏があると睨み…人種や立場を越えて互いの正義を信じるブラウンと濱崎ーかつて東京でタッグを組んだ水と油の名バディが復活する!相棒ハードボイルド『over the edge』続篇。