2019年7月29日発売
駆出しの作家だった頃の私が取り組み、完成できなかったノンフィクション。それは、ある忘れられた柔道家の型破りな半生を追ったものだった。だが、彼に寄り添う女、高校時代の恩師など、取材を進める毎にその実像はぼやけていく。一方、私と本人の間には、取材対象と取材者の垣根を越えた感情のさざ波が立ち始めー相対する二つの魂の闘争と交歓を描く。
東日本大震災の翌年、僕は京都から上京した。大学のキャンパスで出会った君は独り政治活動を行い、浮きまくっていた。啄木の歌を愛し、諳んじる僕はアニメ研究会に引きずり込まれ、ヲタと二次元の洗礼を受けつつ君に惹かれ、身を投じていく。生きにくさと時代閉塞を打破するコミカルでシリアス、一途な平成meets Revolution!平成の終わりに恋と革命に萌えた若き命。
「賜物」(1938)。フョードルはロシアからベルリンに亡命し、初の詩集を出版したばかりの文学青年。家庭教師で糊口をしのぎつつ、文学サロンに顔を出し、作家修行に励むのだが、詩集の反応は薄く、父の伝記を書こうとしては断念する。しかし転居を機に下宿先の娘ジーナと恋仲になり、19世紀の急進的思想家、チェルヌィシェフスキーの評伝に取りかかる。ナボコフの自伝的要素を含んだ、ロシア語時代の集大成となる「芸術家小説」。「父の蝶」。「賜物」の主人公フョードルが語り手となり、鱗翅学者としての父親の功績を偲ぶ、なかばエッセイのような短篇小説。父が編纂した蝶類図鑑の理想的なまでの魅力を語り、父が提唱した新たな分類学の理論を解読しながら、フョードルは亡き父の像を浮かび上がらせてゆく。「賜物」の単行本に並録する予定で執筆されたという見方が有力だが、未完成のまま遺され、ナボコフの死後、息子のドミートリイによって発表された。
過労死してしまった青年が異世界に転生。そこは魔術が存在する世界であった。双子の弟カイル、そして幼馴染の少女ルイズと共に王都の魔術学院へと入学したアインは、前世の知識を活かし新たな魔術を開発する日々を送っていた。惜しげもなく魔術を公開するアイン。しかしそれは、アインの知らないところで謎の組織の誕生へとつながっていく。そして出会う新たな人々。アインは化学の知識を活かし、異世界の流通に革命を起こしていくー。「小説家になろう」発、大人気ヒューマンファンタジー第2弾!!
異世界転生した40歳の男がなりたかったものとはなんでしょう?勇者様でしょうか?魔王様でしょうか?それともハーレムを作ること…?いいえ、男が、何がなんでもなりたかったものーそれは異世界イチの、害虫ハンターだったのです!ゴキブリもヒトデもどんと来い!全部まとめて駆除対象だぁぁぁぁ!!!エロ面白くて、ちょっぴりだけ役に立つ(?)害虫駆除ファンタジー!
かつてのパーティ仲間で恋人でもあるエルフのフィル、その妹のティル、美少女歌人のルーナ、ラルズール王国のお姫様のセレネと新たにパーティを組み、最強の冒険者をめざす中年、ユーヤ。高難易度のダンジョンに挑み、ボスモンスターを倒し、さらにレベルアップしたユーヤたちは、いよいよラルズール王国に足を踏み入れる。王国では、優勝者に王位が与えられる「継承の儀」が始まろうとしていたー。
両親に失踪され、東京の立川市にある学生寮の管理人をすることになった僕。建物はボロボロ、寮生は奇人変人だらけ、幽霊が出る噂まであったその寮は、なんとダンジョンとつながっていた!クラスに友達は一人もいないけど、ダンジョンに行けば、モンスターを倒してレベルアップできる。スライムや女騎士、女魔法使いの友達もできた。かくして今日も放課後の異世界冒険部がはじまる!!
小説と人形と。まず山尾悠子による「小鳥たち」という掌篇が書かれ、登場する小鳥たちを人形作家の中川多理が創作した。それを受け『夜想#中川多理ー物語の中の少女』に続編「小鳥たち、その春の廃園の」が書かれ、再び呼応して新たな人形が作られた。さらに、最終章「小鳥の葬送」が書き下ろされ…。母、娘、そして侍女…風景も時間も揺らぎながら紡がれていく、芳しく神々しい幻想譚。