2019年8月23日発売
東京駅近くのホテルで死体が見つかった。鑑識研修中の新人女性警察官・堀北恵平は、事件の報せを受け現場へ駆けつける。血の海と化した部屋の中には、体の一部を切り取られた女性の遺体が…。陰惨な事件に絶句する恵平は、青年刑事・平野と捜査に乗り出す。しかし、またも同じ部分が切除された遺体が見つかりー犯人は何のために“その部分”を持ち去ったのか?「警察官の卵」が現代の猟奇犯罪を追う、シリーズ第2弾。
河野夕夏は絶望していた。急性の脳腫瘍で倒れて入院し、医師の態度から最悪の結果を察してしまったのだ。その夜、ひとりで泣いていると、目の前に真っ黒な服をまとった不思議な青年が現れる。彼は自らを“悪魔”と名乗り、夕夏に取引を持ちかける。目覚めると、夕夏の腫瘍は良性に変わっていた。しかし彼女はここ2年間の記憶を失っていてー「私の大切なものって、何だろう…?」涙溢れる、ミステリアス・ラブストーリー。
近未来の東京。急増した身寄りのない少年たちは「ホープレス・チャイルド」と呼ばれ、彼らが巣食う東新宿はスラムと化した。「B・D・T」と呼ばれるようになった無法の街で、私立探偵ヨヨギ・ケンが依頼された仕事は失踪したホープレス出身の女性歌手の捜索だったー。彼女の足跡を追うケンの行く手に立ち塞がる、謎の殺し屋たち。やがてケンの前に、巨大な組織が正体を現す。圧倒的なスピード感で描く、冒険アクション!
戦国乱世を生き抜き、徳川の天下となったのちも、大名として、茶人として名を馳せた小堀遠州。おのれの茶を貫くために天下人に抗った千利休、古田織部とは異なり、泰平の茶を目指した遠州が辿り着いた“ひとの生きる道”とは。「白炭」「投頭巾」「泪」…茶道具にまつわる物語とともに明かされるのは、石田三成、伊達政宗、藤堂高虎など、戦国に生きた者たちによる権謀術数や、密やかな恋ー。あたたかな感動が胸を打つ歴史小説。
丸の内の巨大企業「吉原不動産」。突如、後継者候補に名乗りをあげたのは、幽霊物件再生部署、第六物件管理部部長の長崎次郎。実は御曹司であるものの、姓を変え、吉原家と距離を置いてきた彼がなぜ?部下の澪は混乱するが、先輩の高木が、「次郎は呪いの標的になろうとしているのでは」と言い出す。その呪いとは、吉原家の男性後継者は早死にする、というもの。たまらず、澪と高木は調査を開始するが…。予測不可能な第5弾!
「腑海林の仔」に囚われ停車を余儀なくされた魔眼蒐集列車内では、ヘファイスティオンの宝具で負傷したエルメロイ2世の治療が行われていた。窮地を脱するべく、グレイは代行者カラボー、自称スパイのイヴェット、そして途中乗場したメルヴィンと共に行動を開始する。未来視の魔眼を持つ者を殺した方法、7年前の事件の真相、2世を襲った英霊を召喚した人物。多くの謎を残したまま、ついに魔眼オークションが開催される。
濃密な乳白色の霧に覆われた早朝の公園で、編集者の狩岡将貴の前に、白衣のみを纏った美少女が現れた。彼女の名は白夜。一切の素性を明かさない彼女だったが、突然、狩岡の胃痛の原因を言い当てる。さらに狩岡が連れて行った高森総合病院で驚くべき診断能力を発揮。次々に誤診を指摘し、やがて白夜は病院の診断協議チーム「DCT」に抜擢される。彼女は一体何者なのか?複雑化を辿る病因を鮮やかに解決する、画期的な医療小説!
女子高生の梨乃はある日、記憶が短時間で消えてしまうことに気付く。この現象は全世界で発生し人類はパニックに陥ったー。それから数十年。記憶する能力を失った人類は、外部記憶装置なしでは生きられなくなっていた。記憶=心が切り離せるようになった世界で「わたし」は何人分もの奇妙な人生を経験する。これは本当に自分の記憶?「わたし」は一体、何者なのか…?『アリス殺し』の鬼才が贈る、予測不能のブラックSFミステリ。
18歳当時、5人の女性を強姦した上で殺し、死刑判決を受けた希代の殺人鬼・穂積壱郎。その彼を取材する事件ライターの加瀬隆史は、死を恐れないどころか超然とした雰囲気に包まれるこの男に次第にからめとられていく。そして突如、妻の隠された過去を知ることになり、獄中の穂積への復讐を決意する。拘置所の塀の向こうにいる“化け物”に復讐する術はあるのか?コンクリートの厚い壁を隔てて繰り広げられる長編サスペンス。
居酒屋「菊屋」に刑務所を出所したばかりの片桐が現れた。顔面に豹柄の刺青を入れた特異な容貌で犯罪を繰り返す友人に、店主の菊池は忸怩たる思いを持っていた。片桐が初めて逮捕されたのは菊屋で傷害事件を起こしたときだったのだ。それは暴力団員から店と菊池の妻を守るための行動だったが、それ以降、片桐は人が変わったように次々と犯罪に手を染めるようになる。男はなぜ、罪を重ねるのか?圧倒的な結末、入魂のミステリ。
天才発掘師・西原無量が所属する亀石発掘派遣事務所の所長の下に「庭から遺物が出た」と相談の連絡が入った。どうやら“出ては困るもの”らしく無量は高知へ向かうことに。銅印であることを確認すると、なんとそこには“天皇御璽”と施されていた!さらに刀を持った不気味な男に「御璽に関わるな」と襲われて!?本物でも贋物でも許されざる1つの印から因縁の渦に巻き込まれていくー。文庫書き下ろし、シリーズ第10弾!
とある法律事務所の事務員・花織はある日、“おしゃべりする猫”スコティに推理合戦を仕掛けられる。「もしいま先生が殺されて、金庫の中身が盗まれたら、犯人は誰だと思う?」金庫に入っているのは5カラットのダイヤの指輪、資産家の遺言書、失踪人の詫び状、12通の不渡り手形。怪しい依頼人たちを容疑者に妄想を膨らます1人と1匹。なぜか事件が現実になりー。衝撃のどんでん返しの本格ミステリ。
さまざまな怪異が日常に潜む、“もうひとつの京都”-妖しい神社の「奇面祭」、「減らない謎」の不可解、自宅に見つかる秘密の地下室、深夜のプールで迫りくる異形の影、十二年に一度の「ねこしずめ」の日…恐怖と忘却の繰り返しの果てに、何が「私」を待ち受けるのか?本格ミステリの旗手が新境地に挑んだ無類の奇想怪談連作、ここに終幕。
警視庁の一之宮祐妃警視正が率いるマネー・ロンダリング対策室は、暴力団の資金源を断つことを目的として創設された機関。元指定暴力団員の三輪谷が経営する“アップルハウスファンド”の資金洗浄を暴くため、集められたのは「ワケあり」の元犯罪者たちだったー詐欺師の沢村、天才的オタクの光野、元傭兵の神園、そして元暴力団幹部の村越たち、下心と欲望を秘めた4人が、それぞれの特殊能力を活かして驚きの捜査を開始する。
綾瀬の入院中に彼女の高校で起きた連続落書き事件。犯人だと疑われているクラスメイトから助けを求められた綾瀬は、花穎と石漱にアドバイスを求める。綾瀬のために調査に乗り出す2人だが、花穎は福入という美術教師から、「七束琳という親戚はいないか」と尋ねられる。それは今は亡き花穎の母の名前だった。一方衣更月は、絵画のすりかえ騒動の調査中に「七束琳」という名を目にし…!?大人気上流階級ミステリ第7弾!
熱海警察署刑事課の組織暴力担当の刑事・住田航の相勤者として、県警本部から國貞智宏が赴任してきた。國貞は暴力団担当のエースであり、容姿も県警の広告に採用されるほどの男前だった。だが、なぜその國貞が冴えない住田の相方にー彼は何か密命を帯びているのか。謎多きその行動に不審を抱きながらも、彼からの情報を基に住田は老人介護施設を探り始める。そこで、闇カジノが運営されているというが…。
塾には通いながらも不登校を続ける女子高生・遙。ある日、塾付近のレンタルショップで起きたいたずら事件の犯人として疑われた彼女は、居合わせた塾講師の黒澤に助けられる。事件をきっかけに、黒澤は遙が学校へ行けない本当の理由を見抜いて…。様々な事情を抱えて塾に集まる生徒たち。不安定な心が引き起こす謎を、黒澤は受け止め、解きほぐしてゆく。青春の痛みにそっと寄り添い、前を向く力をくれるミステリー短編集。
年末のボーナスが出た日の帰り、加奈江は同僚の男性・堂島から突然平手打ちを食わされる。しかも、男はそのまま退職して行方知れずになってしまった。加奈江は悔しさのあまり、連日、堂島を探して師走の銀座を歩き回るのだった…(「越年」)。男女の複雑な心理を繊細に描いた表題作をはじめ、「金魚撩乱」「夏の夜の夢」「過去世」「老妓抄」「家霊」など、恋愛にまつわる傑作8篇を選りすぐって収録。
室町から続く能楽家に生まれた綾は、女ながら能楽師になりたいと志すかたわら女子英学塾にも学び、たぐいまれな審美眼をもつ才媛へと成長する。そんな折、綾は親友同士である魅力的な2人の学生、重光伊織と高見友則と出会う。3人での輝くような青春の日々が過ぎ、やがて綾は伊織と友則、どちらかを選ぶ時がくる。結婚、渡英、そして1920年代のパリへ。美を求め能を求めて、明治、大正、昭和を生きた女性の、華麗なる生涯。