2019年8月23日発売
15歳になった美しい人魚姫がはじめて海の上へと出た夜、船では美しい王子の誕生日を祝っていた。一目で恋に落ちた人魚姫は、魔女に頼み、美しい声と引き替えに人間の足を手に入れる。王子と結婚できなければ、海の泡と消えてしまう人魚姫は、王子に再会し…。幾度も涙を流しながら執筆したという表題作のほか、「親指姫」「はだかの王さま」「しっかりもののすずの兵隊」「野の白鳥」「ナイチンゲール」など、初期代表作を12話収録。
山間の街に住む高校生・相生あおい。進路を決める時期なのに大好きな音楽漬けの日々を送る。 そんな彼女を心配する姉・あかねの昔の恋人で、高校卒業後に上京したきりだった慎之介が、街に帰ってきた。 時を同じくして、あおいの前に、高校時代の姿のままの慎之介こと「しんの」が現れる! やがてあおいは、しんのに恋心を抱いていくが……。 一方、あかねと慎之介も13年ぶりに再会を果たす。 過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる。
季節が巡ってもメイド長であるベルファストは忙しい日々を送っていたーー。 新たに登場する計画艦であり給士のネプチューンとお茶会を懸けた火花を散らすパンケーキレース。花壇のお世話の途中でサフォークが記憶喪失になったり、 ベルちゃんとシェフィールドが難攻不落のオフニャハウスのお掃除に挑むことになったりして……。 そしてアイリス陣営の舞踏会に誘われたメイド隊一同。喜びもつかの間、エディンバラは苦手なダンスを克服し、ベルファストと踊ることができるのか!? 楽しい日々の中で彼女たちは新たな成長をみせる。ロイヤル陣営を舞台に描いた大人気ゲームのスピンオフ小説、第三弾!!
本を愛してやまない青年、アシタ・ユーリアス。 「一生本を読んで暮らしたい!」というアシタだったが、彼が働く本屋にはいつもひっきりなしに冒険者たちがやって来る。 理由は簡単。 彼の“知識"が欲しいのだ。 本が読めればそれでいいというアシタの想いとは裏腹に、顔馴染みの女冒険者エルシィにダンジョンへ連れて行かれたのが運の尽き。 彼の博識さがダンジョン探索の鍵になると見抜くや、エルシィは貴重な文献をエサにしてアシタを更なるダンジョン探索へ誘い……。 “最も博識"で“最も貧弱"な本屋の店員が、「帰りたい!」と嘆きながらダンジョンを駆け回る! ドタバタファンタジーコメディ!
中学1年の夏休み、アーティファクトと呼ばれる魔法の道具の争奪戦に巻き込まれた不知火真は、 パートナーとなった幼馴染の美少女・星里果菜と共に『怪盗ハテナ』となって活躍し、ようやく日常を取り戻そうとしていた。 日々の暮らしの中、果菜の知り合いだというイケメン上級生・風抜悠や、真に好意を寄せる謎の美少女・アリスとの出会いに心を揺らす真と果菜。 そんな時、町内で奇妙な事件が立て続けに起き始める。真たちは『怪盗ハテナ』として解決を試みるが、その前に自称・正義のヒーローが立ちはだかる。 両者はそれぞれの正義を真っ向からぶつけ合うが、その結末やいかにーー 恋と魔法の大イリュージョン、再始動の第1幕!!
祝・成人式! 新たな出会いでホワイト社会人邁進中!! 大プロジェクトを成功に導き、社会人として順調に成長し続けるフランツ! そんな時、たまたま捨て猫を拾ったことで思わぬ問題に直面する!? そして、ついにフランツも成人を迎える! たくさんのお祝いと盛大なパーティーに喜ぶが、夜にフランツ驚愕のムフフな儀式が! 色々な意味で立派な成人に!? さらには、同窓会で友人たちと久しぶりの交流をする中、とある問題に触れてしまう。その問題に悩むフランツに対し、ケルケルは魔界への出張を命じる。 セルリアと向かった先で破天荒な新キャラと出会う。その出会いはフランツにどんな影響を与えるのか!? 皆が羨む! 超絶ホワイトお仕事ファンタジー! 第6巻!!
学園でも一目置かれはじめた天才魔術師アベル。いまだに最強の瞳「琥珀眼」を理解できずに差別する上級生もいるものの、涼しい顔で一蹴する日々を送っている。 相変わらずアベルの弟子を自称するテッド、やたら接近してくる火の勇者マリアの子孫エリザに、全面的な好意を隠さない古代魔術研究会会長のノエルを加えた学園生活は実に騒がしい。 そんな中、バースに血を与え眷属とした張本人、上級魔族ナビルの暗躍が明らかに。計画を妨害したのがアベルだと気がついたナビルは、期末試験を終えて夏合宿を謳歌する研究会メンバーに襲いかかるーー!! 既刊全巻重版出来! 王道の学園無双魔術ファンタジー第4弾!!
「孤独はわたしそのもの。孤独に動かされてわたしは書いてきた」--ジュンパ・ラヒリ。歩道で、仕事場で、本屋で、バルコニーで、ベッドで、海で、文房具店で、彼の家で、駅で……。ローマと思しき町に暮らす45歳の独身女性、身になじんだ彼女の居場所とそれぞれの場所にちりばめられた彼女の孤独、その旅立ちの物語。大好評のエッセイ『べつの言葉で』につづく、イタリア語による初の長篇小説。
元服の儀を済ませ、名実ともに当主となった林弥は、義姉への告げられない想いを募らせながら、運命の濁流に翻弄される。身分や立場の差を超えて時代を変えようとする少年剣士の友情と成長を描く、傑作青春時代小説。
友ボードレールにエドガー・ポーと音楽の世界を教えた影の男、シャルル・バルバラ。 《知られざる鬼才》による、哲学的思考と音楽的文体、科学的着想、幻想的題材が重奏をなす全5篇の物語。 * * * ヴァイオリンに取り憑かれた狂気の名演奏家のあまりにも痛ましく愛おしい生涯 「ある名演奏家の生涯の素描」 パリ河畔の奇怪な屋敷に住まう孤独な天才発明家を描く、「未来のイヴ」に先駆ける自動人形小説 「ウィティントン少佐」 ある実在の事件をモチーフにした驚愕の犯罪小説 「ロマンゾフ」 世界の無数の蝶をパリの自宅で飼育する人間嫌いの男の物語 「蝶を飼う男」 聾者たちの滑稽で哀しいすれ違いを描いた寸劇 「聾者たち(後記)」 献辞 ある名演奏家の生涯の素描 ウィティントン少佐 ロマンゾフ 蝶を飼う男 聾者たち(後記) 訳者註 参考文献 解説
20世紀文学の金字塔である、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』。 ところが、その難解さと長大さゆえに、最後まで読むのは至難の業。途中で挫折した人は数知れず。そんな難攻不落の大傑作を制覇する道しるべとなるのが本書です。 全7篇のうち、第1篇「スワン家の方へ」を丹念にひもときながら、全篇を読み通すヒントを紹介します。 『失われた時を求めて』は当初「スワン家の方へ」のみで構成しようとプルーストは考えていました。そのため、この本を読めば、プルーストの狙いや読みどころなど、完読のために必要なポイントを知ることができます。 「このくだりは退屈に感じてOK」「この描写には実はこんな意図がある」「こういう表現が出てきたら、注意深く読む」「これは伏線となる大事な箇所」など、大長編を読み通せる勘と基礎体力が身につくはず。 また、有名な「紅茶とマドレーヌ」をはじめ、『失われた時を求めて』のハイライト・シーンが多数登場する「スワン家の方へ」によって、最終篇まで到達する弾みがつくのです。 著者自身が大長編マニアにもかかわらず読み通せなかった経験を持つため、つまずきやすいポイントをおさえながら、完読へと導きます。 原典からの引用は、すべて著者訳。「鹿島版プルースト」が楽しめる一冊でもあります。母親に「おやすみのキス」をねだる少年の苦悩、紅茶にひたしたマドレーヌがよみがえらせる記憶、19世紀末パリの華麗な社交界で繰り広げられる猜疑と嫉妬に満ちた恋ーー。 挫折した人も、ゼロからの人も楽しめる、エキサイティングな読書体験! 世界的名著のエッセンスを味わえます。
別れがつらいのは、それだけ多くのものを 受け取ったから 別れた夫の思い出のみを胸に戦後を生きた女性。 その遺品の手紙が語り出す、悲しい真実とは。 イタリア人の目を通して描く、実話に基づいた「原爆と戦争」の傷跡ーー 日本人男性と結婚したイタリア人の著者は、結婚の挨拶に広島を訪れた。 義理の叔母ゆり子と話すうち、別れた夫を想い続けるゆり子に興味をひかれていく。深く愛し合っていたふたりは、なぜ引き裂かれてしまったのか。 村上春樹作品の翻訳者が綴った感涙のノンフィクション・ノベル 「二人の悲劇を歴史のせいにするのは、虫が良すぎる事だと分かっています。ですが、幸せになる事は、強い人間だけに与えられた権利なのでしょうか。」 (本文より)
翻訳も、解説も、訳注もほぼ完璧である。この作品を読まずに、もはや文学は語れない。自信をもってそう断言できることの至福の喜び……。--蓮實重彦 膨大な知の言説(ディスクール)の引用がおりなす反=小説(アンチ・ロマン)の極北が、詳細な注によってその全貌が初めて明らかに! フローベール自身は、この小説のテーマは「科学における方法の欠如について」であり、「近代のあらゆる思想を点検する」のがその野心だと述べている。これをあえて現代的なタームで言い換えてみると、十九世紀の知の言説が形づくる灰色のアーカイブに潜在的に含まれている喜劇の可能性を現勢化したのが、『ブヴァールとペキュシェ』という書物だということになろうか。……フローベールが千五百冊あまりもの本を読み、それについて逐一ノートを取りつつ、そこから拾い上げた「思想のコミック」を小説という形式にふさわしく練り上げたのが、「一種の笑劇風の批評的百科事典」なのだといってよい。それ故、ブヴァールとペキュシェの演じる一見珍妙な悲喜劇が、十九世紀という時代の直面した認識論的な諸問題を深くえぐり出していることは、実は何ら驚くべきことではない。--本書「解説」より