2019年9月発売
中学三年生の緒方櫂は復讐心をたぎらせていた。従弟が上級生たちから凄絶ないじめに遭った末に意識不明の重体に。その妹も同じ連中に性的暴行を受けたのだ。自殺願望を持つ同級生・高橋文稀が櫂の復讐の相棒となることを承諾。二人は予行演習として、少年法に守られて罰せられない犯罪者たちを次々と襲い始める。エスカレートする制裁の果てに待つ衝撃の運命とは?
「不倫」「呪われた土地」「オカルト」…。埼玉県の山間部、熊代町で起こった一家六人殺傷事件。「週刊超真相」の編集者・佐久間は、事件を煽情的な記事に仕立て上げた。すると、編集部に一本の電話が。「本当のことが知りたい」。大怪我を負いながら唯一生き残った長女からの訴えだった。佐久間は、記者と共に現場に向かう!凶行の裏側に隠された驚愕の真相とは!?
ある冬の日曜日、推理作家・泉川ミカ江女史の許にかかって来た殺害予告の脅迫電話。誰の仕業か判らず仕事も手につかない。だが、恐怖と憤りを酒に紛らすうちに職業的好奇心が芽生え、女史は脅迫者についての考察を始めた…。純粋推理を実践した表題作のほか、古き良きパリの街を舞台にした中編など、ミステリーの粋を凝らした傑作全八編、すべてが文庫初収録!
三沢順子は、大学卒業後R新聞社に入り、資料調査部に配属された。記事や写真などを整備しておく縁の下の力持ち的な部署である。その日、ある人物の写真を求められ、すぐに渡したのだが、何と別人のものだった。このミスが波紋を呼び、上役が左遷される事態を招いてしまうがー。男たちの野望や策略を目の当たりにした、一人の女性の心情を描き出す傑作小説。
鮎川哲也が推理雑誌に発表した短編“死者を笞打て”に盗作の疑いがかかった!?十年ほど前に石本峯子なる作家が書いた“未完の手記”と内容が同じだと批評家から指摘を受けたのだ。早速、新聞社が取材に訪れ、出版社からは刊行中止の連絡があった。作家生命の危機にさらされた鮎川は、自ら真相究明に乗り出したが…。巨匠の異色作に加え、激レアな短編も併録!
東京地検特捜部の鬼検事が何者かに惨殺された。究明を依頼された、元刑事で私立探偵の見城豪は調査を始める。ある日、都内の高級住宅地・成城と白金、田園調布が『コヨーテ』と名乗るテロ集団に占拠された。見城の恋人も監禁され、焦る見城は恋人の救出を試みるが、テロ集団に捕まってしまう。見城の命運はー。甘く鮮烈なハードサスペンスシリーズ、震撼の第三弾。
クリニックはいつになく混んでいる。心理的なストレスが引き金になって身体に症状が現れた人が殺到しているのだ。予想外の状況に、テンゴ先生もパンク寸前。そんなときに現れたのは、幼なじみの嵩生兄ちゃん。そのストレートで強力なアタックに押され気味の亜月だったが、その存在に違和感を覚えてしまい…。ついにテンゴ先生が亜月への思いを語り出す!
「お武家さまは、和泉屋の者かえ」と経帷子に能面をつけた女に声をかけられた直後、勢四郎は鎖鎌を持った男に襲われた。巷を騒がす「幽霊女」だと言われ、件の和泉屋からその正体探しを依頼されるも、襲ってきた男とのかかわりも含め、なかなかつかめない。手がかりもないまま商売敵の店を当たり始めたところ、老舗の辻屋に不審なものを感じたのだがー!
数々の公儀の密命を果たしてきた旗本集団「影廻衆」。その影廻衆と将軍の寵臣を繋いできた連絡役の行平斗真が何者かに殺害された。影廻衆の一人で、斗真の盟友でもある高鳥三郎太は斗真の仇を追う。その後も襲われる影廻衆。三郎太たちを未曽有の窮地に追い込む敵の正体とは。そして、その狙いとはー。三郎太の怒りの剣が爆発する!シリーズ史上最高傑作の第三弾。
南町奉行・筒井和泉守の引きで南町奉行所に戻り、“隠密”となった沢村伝次郎は、町廻りの途中、何者かに襲われた。意識が戻った伝次郎の目の前には、見知らぬ男の死体が。町方から疑いをかけられた伝次郎は窮地に陥る。はたして伝次郎は、自らにかけられた疑いを晴らすことができるのか。そして、真の下手人とはー。ますます絶好調の人気シリーズ、衝撃の第三弾!
デビュー作にして5冠達成! 待望の文庫化!! 21世紀最高の大型新人による前代未聞のクローズド・サークル 豪華キャストによる映画化! 監督:木村ひさし 脚本:蒔田光治 出演:神木隆之介 浜辺美波 中村倫也ほか 2019年全国東宝系にて公開 神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通うもう一人の名探偵、剣崎比留子と共に曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、ペンション紫湛荘を訪れる。初日の夜、彼らは想像だになかった事態に見舞われ荘内に籠城を余儀なくされるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。たった一時間半で世界は一変した。数々のミステリランキングで1位に輝いた第27回鮎川哲也賞受賞作!
激動のカタルーニャ現代史の中で、いま蘇る、ムンサラット・ロッチの文学と思想 戦後世代のフェミニストとしてスペイン内戦、第二次世界大戦、フランコ独裁期前後に変遷する カタルーニャの、そして、女性たちのアイデンティティを問い続けた作家、 ムンサラット・ロッチの文学と思想を紹介 スペインで再び台頭するカタルーニャ主義…… 5つの長編から明らかになる、「女性としてカタルーニャ人として」の強いアイデンティティ 『さらばラモーナ』(1972)、『さくらんぼの実るころ』(1976)、『すみれ色の時刻』(1980)、『日常オペラ』(1982)、『妙なる調べ』(1987) スペインのバルセロナなどで話されている言語、カタルーニャ語。しかし、この言語は、フランコ独裁政権下で使用が制限され公の場での使用が禁じられていた歴史を持つ。1946年生まれの女性作家、ムンサラット・ロッチは、創作にカタルーニャ語を用い、フェミニスト的な視点から、戦争中(バルセロナ空爆)、スペイン内戦、そしてフランコ政権によるカタルーニャ抑圧とその解放後に、女性たちがどのような人生を歩いたのかを、同じ登場人物が登場する複数の長編小説の中で描き出した。本書は東京外国語大学提出の博士論文をもとに、日本ではまだ知られていない、カタルーニャ言語作家の作品像を明らかにする。 ◆書評・記事情報◆ 図書新聞(3434号2020年2月8日) 序章 カタルーニャの歴史と言語 第一章 カタルーニャの女の「内ー歴史」--伝統に生きる女たち 第二章 自由獲得の戦いーームンサラット・ロッチにおける内戦の位置付け 第三章 後退ー敗戦後のカタルーニャ 第四章 抵抗・挫折・解放ーームンサラット・ロッチ世代のカタルーニャ
ロジックの名手、新境地へー!ドイルとホームズ。クリスティーとポアロ。そして法月綸太郎と法月綸太郎ー。作家と名探偵、そのスリリングな関係に切り込み、本格ミステリの新たな地平を見出す華麗なる作品集!
★★★★★ 五冠獲得! ★第20回本格ミステリ大賞受賞 ★このミステリーがすごい! 1位 ★本格ミステリ・ベスト10 1位 ★SRの会ミステリベスト10 1位 ★2019年ベストブック さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補! 推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒として死者の言葉を伝えることができる。しかしそこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かう。一方、巷では連続殺人鬼が人々を脅かしていた。証拠を残さない殺人鬼を追い詰められるのは、翡翠の力のみ。だが殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていたーー。 ●ミステリ作家より● ミステリ界随一の本格的な奇術家【マジシャン】でもある相沢沙呼の、巧妙にして実にイジワルな、それでいて実に胸の空【す】く一撃!/綾辻行人 この探偵のどこが凄いのかについては、読んだ人としか語り合えません。最後まで読み切った人としか……(含み笑い)。/有栖川有栖 自ら禁じ手としていた殺人事件を解禁した相沢沙呼はやはり強かった……。/青崎有吾 「全てが、伏線」の初刷帯に偽りなし。本年度の必読作です!/浅ノ宮遼 ”ちょっとばかし自信をつけたミステリ作家が格の違いを思い知らされて筆を折るレベル”の傑作でした。二度言います。傑作。/井上悠宇 帯でハードルを上げまくったのは正しかったと納得。というか感嘆。これは相沢沙呼にしか書けない傑作だと思う。/芦沢央 これはまさに超力作の傑作。僕は特殊ミステリの最新形態と呼びたいです。特殊性をああ使うとは!/今村昌弘 同年輩の本格ミステリの作家として「嫉妬」を覚えるほどの作品だった、というのが最大の褒め言葉になるのではないでしょうか。/鵜林伸也 一冊の本を書くためにここまでやるか、という……。同じ作家として、その熱意を見習わなければいけないと思いました。/岡崎琢磨 この本は「叫ぶ」だけじゃない。本格だった。純粋に「ミステリとして」おもしろかった。あと翡翠ちゃんはもちろん可愛いです。/織守きょうや 読んでいる間中翻弄され倒したのが面白かったです。翡翠ちゃん可愛い!は本当のことです。/斜線堂有紀 この作品は「2、3年後に文庫化してから」ではなく今読んだ方が絶対楽しいやつです。理由は読めば分かります!/似鳥鶏 完全に掌の上で転がされました。脱帽です。 「2019年最驚のミステリ」という惹句も絶賛の声も大げさじゃない。/葉真中顕 最後まで読んで全てにやられました……。何を言っても野暮になる。相沢さんにしかお書きになれない作品です!/降田天
幻想世界で繰り広げられる「愛と性の狂宴」 文芸誌「群像」に連載された、小島信夫の“執念の大作”第3巻。 アメリカ人の知人であるワシントンの妻・悦子との逢瀬を妄想していた作家の前田永造は、偶然に再会したワシントンと二人でボウリング場へと出かけ、あれこれボウリングの指南を受ける。だが「どうも夢くさいぞ」という永造のひと言を契機に、自宅にはワシントン夫妻を始めとして様々なゲストが往来し、さながら舞台劇のような“幻想の世界”へと突入していく。 めくるめくような狂宴が繰り広げられ、遂に永造は悦子と“夢の中での性交”へと臨むことになるのだがーー。
戦争末期の日本のカオスを丸ごと描く問題作 物語は戦争末期の昭和19年12月から始まり、無条件降伏後の20年10月で幕を下ろす。 外交官の夫を原因不明の自殺で失った石射康子は、国策通信社に勤め、深田英人枢密顧問官の秘書も務めている。一方で、米国人妻をアメリカに残して交換船で帰国したジャーナリスト・伊沢信彦とは愛人関係にあり、協力して深田の和平工作のために情報を提供していた。すでに太平洋の島々では玉砕が相次ぎ、東京爆撃も始まりつつあった。 特攻隊や学徒出陣、また逼迫する配給物資や闇取引などの過酷な現実を余すことなく丸ごと描いた問題作。
写楽絵誕生の裏側にあった慟哭と贖罪、そして救済の物語 江戸の街に忽然と現れ、わずか10か月で消え去った謎の絵師・写楽。その正体については様々な説が論じられてきた。しかし後の世に世界を瞠目させる大首絵が、いかにして生み出されたかについては誰も触れてこなかった。非番の能役者が役者絵を描くようになった経緯を翳を持つ少女との出会いに絡め、江戸の空気まで感じさせるようなリアルな世界観で活写する。「美術界最大の謎」に第4回野村胡堂文学賞受賞作家が挑んだ書き下ろし小説。