2019年発売
怪僧隆光の権勢が強まるにつれて、厳しさを増していく生類憐みの令。度重なる発令によって、三つ姫さまの命をつなぐ新鮮な鯛の入手を危ぶんだ川田久保家の家老稲葉主膳は、御納屋奉行の鮎貝伝八郎にまたしても高難度の課題を与える。そんな中、かつて伝八郎が暮らしていた長屋の腕白“あぶ”こと文吉に犬殺しの疑いがかけられたとの知らせが舞い込んだ。文吉の身を案じた伝八郎は本所に駆けつけるが…。さまざまな難局に立ち向かう若侍の活躍を爽快に描く、好評書き下ろしシリーズ第二弾。
神田鍋町の飯屋の看板娘・おはるは頑固一徹な料理人の父と二人暮らし。うどんに鱈鍋、いなり寿司。父の料理は素朴だが、不思議と毎日食べても飽きないのが売りで、店は常連客で賑わっている。千客万来ー店にはおかしな事件や揉め事も舞い込んでくるけど、亡き母に教わった笑顔の大切さを胸に、ともすれば顔を出す短気や弱気をおさえ込んで元気一杯に前を向く。注目の書き下ろし新シリーズ、開店!
奇跡が起きなくても、人生は続いていくから。 『大人は泣かないと思っていた』で話題沸騰の著者が贈る感動作! 大阪市近郊にある暁町。閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきんが突然失踪した。かと思いきや、町のあちこちに出没し、人助けをしているという。いったいなぜーー? さまざまな葛藤を抱えながら今日も頑張る人たちに寄りそう、心にやさしい明かりをともす13の物語。
日本(ひのもと)一の武士(もののふ)、大友の宿将・戸次(べっき)鑑連(あきつら)(後の立花道雪)。 鬼と呼ばれた男の凄烈な運命と愛。無名にして最強。 『大友二階崩れ』で颯爽とデビューした著者の、魂ふるえる最高傑作。(書き下ろし) 戸次(べっき)鑑連(あきつら)(後の立花道雪)は、父・親家(ちかいえ)が主君の怒りを買い、 その責を負って切腹し果てた母から生まれた。 新たに主君となった大友義鑑(よしあき)に認められた鑑連は、 次々と戦功をあげ、多くの家臣に慕われて、大友最強の将と称えられた。 ついには幼馴染で永年想い続けていた重臣入田(にゅうた)家の娘・お道と結ばれ、 評判のおしどり夫婦となったのだが……
八朔の日、亥の刻。芝湊町の土蔵に、見知らぬ者の文で呼び出された男たちが、密かに集まってきた。 骨董商の仁吉、役者の銀蔵、寄木細工職人の和太郎、浪人の右近、板前の壱助。文の差出人は果たして誰なのか? 五人が呼び出された真の理由とは? 一方、虚の一味、初谷男吏と榊惣一郎は仕事をしくじり、高尾山から江戸市中に戻ってきた。 めくるめく展開に一瞬も目が離せない。まさかのラストに、驚愕すること間違いなし。 最強の決闘あり、ミステリーあり、人情あり……無敵のエンターテインメント時代小説、熱望の書き下ろし第四弾。
駅伝の魅力って?仲間の頑張りを信じ、想像することさー。修学院大学陸上競技部に駅伝選手として入部した走水剛の目標は、「オリンピックで金メダルを取ること」。とはいえ精鋭が集まる陸上部では、タイムも実績もチームメイトに及ばなくて…。破天荒でまっすぐな主人公が、仲間とともに箱根駅伝で襷をつなぐ。三ヵ月連続刊行スタート!
日本橋北詰の魚河岸のほど近く、「丸九」という小さな一膳めし屋がある。 うまいものを知る客たちにも愛される繁盛店だ。たまのごちそうより日々のめしが体をつくるという、 この店を開いた父の教えを守りながら店を切り盛りするのは、今年二十九となったおかみのお高。 たとえばある日の膳は、千住ねぎと薄揚げの熱々のみそ汁、いわしの生姜煮、たくわん漬け、そして温かいひと口汁粉。 さあ、今日の献立は? しあわせは、うまい汁とめし、そしてほんの少しの甘いもの。 おいしくて、にぎやかで、温かい人情派時代小説。
ミートソース、トリッパ、赤牛のロースト、鶏バター、アンチョビトースト…… 美味しい料理で人気の目黒の小さなイタリアン「食堂メッシタ」。 満希がひとりで営む、財布にも優しいお店だ。ライターの笙子は母親を突然亡くし、 落ち込んでいた時に、満希の料理に出会い、生きる力を取り戻した。 そんなある日、満希が、お店を閉めると宣言し……。 続々重版の大人気シリーズ「食堂のおばちゃん」の著者が放つ、料理と愛の物語。
総統ヒトラーは強国の復権を謳い、ベルサイユ条約の破棄を一方的に宣言。 イギリスとフランスは事なかれ主義に終始し、ヒトラーの増長を招く。 第三帝国による世界制覇を目論むヒトラーは1939年、ソ連と共謀してポーランドに侵攻して 分割占領に成功、フランス軍も撃破する。1941年にはイギリス全土を制圧し、アメリカ本土を 標的に定めたヒトラーは、防共協定を結んでいた日本に対米戦への参戦を迫る……。 日の丸を背負った海軍軍人三兄弟が激動の戦場を駆け抜け、米英仏のはみ出し者パイロットが ドイツの野望に立ち向かうーー新感覚で描く戦記ノベルスの誕生!
森の中の〈村=国家=小宇宙〉に古代から伝わる神話/歴史を描く『同時代ゲーム』。ノーベル賞受賞理由のひとつ『M/Tと森のフシギの物語』〈森の神話〉。ノーベル賞受賞作家、その爆発する想像力。
とつぜん届いた犯人の手紙から、「雲蔓式」に明かされる、わたしの奇妙な過去ー読売文学賞と芸術選奨文科大臣賞を受賞した「雲をつかむ話」。レネの義兄の家を借りるためボルドーへ向かう優奈の、ひと夏の断章ードイツ語で書かれドイツで発表されたのち、自身で日本語小説に転じた「ボルドーの義兄」。各国語に翻訳され、欧米、アジアのみならず、世界中で新作が待望される日本人作家、魅惑の二長篇。
2019年4月19日公開の映画「キングダム」のノベライズ。 日本映画史上最大規模の製作費、本場中国での1カ月にわたるロケを敢行。 主演の信役に山崎賢人、エイ政役に吉沢亮、河了貂に橋本環奈、楊端和に長澤まさみ、王騎役は大沢たかお等、今をときめく俳優陣が演じる。
総理がらみの疑惑の渦中にある代議士の孫が誘拐された! 犯人の要求は前代未聞ーー「罪の自白」。 政界に激震が広がる中、代議士と家族の戦いが始まる! 「総理の友人に便宜を払うため、国交省や県に圧力をかけたのではないか」 衆議院議員の宇田清治郎は、こんな疑惑を糾弾され、連日、メディアに追われていた。その最中、三歳になる孫娘が誘拐された。 「記者会見を開いて、おまえの罪を自白しろ。今まで政治家として犯してきたすべての罪を、だ」 犯人が提示したタイムリミットは翌日の午後五時。 動機は宇田清治郎への怨恨か。それとも、総理の罪を暴くことにあるのか。 警察は、思い当たる過去の罪を事前に打ち明けてくれ、と宇田を説得する。 保身のための駆け引きに長けた「官邸サイド」と対峙するのは、宇田家・次男の晄司。 宇田一族、総理官邸、警察組織ーー。 三者の思惑が入り乱れる中、刻々とタイムリミットが迫る。 晄司たち家族の戦いが始まる! 政治家一族の身内が誘拐されるという、現実的に起こりうる危機を、圧倒的な迫力で描き出すサスペンス大作!
江戸が東京になって、日露戦争、関東大震災、東京大空襲、そして平成の終わりまで、たったひとりで生き抜いた男がいた。 男は1861年3月13日、横浜で生まれた。 とても成長の遅い子どもで、3歳になるまでまともに歩けず、ゆっくりと時間をかけて成長してからは、人並みに結婚もした。 何度も死に損なったけれど、それなりに人生を楽しんで、あらゆるものを見てきた。 五千円札の女と懇意になったり、朝鮮人狩りから少女を救ったり、ヤミ市の少年たちに自活の道を施したり、不死化細胞の研究に協力させられたり、数奇な運命とともに生きた。 この男、159年にも及ぶ人生最後の望みとは? 30歳の女性看護師に何を託すのか。 さあ、夢見るようなタイムスリップが始まる! 文壇の鬼才が世に問う、圧倒的なイマジネーションと構築力による衝撃の書。
一九七一年、大学の卒業旅行で出会った男女七人がその後も折につけ集い、旧交を温めてきた。銀行員、厚生官僚、新聞記者、商社マン、高校教師、弁護士、メーカー勤務として社会に出た彼らは五十七年後、予想だにしなかった人生を振り返ることにー。2028年の日本を予測し、団塊の世代、彼らに関わるすべての人のゆく先を示す、予測小説のパイオニア堺屋太一の真骨頂!
昨年、夫の孝之が事故死した。まるで二年前に他界した義母佳子の魂の緒に搦め捕られたように。血縁のない母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった夫。その遺品を整理するうち、私は小さな桐箱の中に乳児の骨を見つける。夫の死は本当に事故だったのか、その骨は誰の子のものなのか。猜疑心に囚われた私は…(『夫の骨』)。家族の“軋み”を鋭く捉えた九編。