2020年2月28日発売
大手ゼネコン鬼束建設の新井は、国内外で数々の工事を成功させてきたが、3年前の談合事件以降、現場を外され閑職に追いやられていた。そんななか、日本初の統合型リゾート(IR)の工事責任者を任され、汚名返上のチャンスと意気込む新井だったが、かつての部下、根元からの不穏な電話に不安を覚える。同じ頃、中央新聞の那智は、伝説の調査報道記者と呼ばれ、病に倒れた伯父が残した謎の建設工事資料の解明に取り組んでいた。次第に明らかになるゼネコンの闇と、政財界を巻き込む大きな陰謀。国家プロジェクトとなったIR建設をめぐり、新たな事件が起ころうとしていたー。
同級生の長野くんに誘われて野球観戦に来た愛里。二人の前には大声でヤジを飛ばす男がいて…。(「梅雨明けヤジオ」)。バンドでリードギターを降格された悠太が初デートで訪れたのは“ツリー”ではなく“タワー”だった。(「逆にタワー」)。思いもよらない偶然を重ねて出会った駿作と那美は、その時が来るのを待つ。(「君を待つ」)。ほか、全10編。
耐えがたい苦痛と絶望に苦しむ終末期の患者に尊厳ある死を迎えさせるー。積極的安楽死が認められているスイスで、若き医師、絵里香・シュタイナーは、自殺幇助団体“ヒュプノス”のメンバーとして活動していた。絵里香は東京で、高齢の癌患者が何者かに青酸カリでの自殺幇助を受けて亡くなったというニュースを目にする。この事件にかつて“ヒュプノス”にいた日本人医師・神永が関わっている可能性があると聞いた絵里香は、その真相を確かめるため、日本へ渡る。だが、“ミトリ”を名乗る人物による連続自殺幇助事件が発生し…。読む者の倫理と感情を揺さぶる究極のミステリサスペンス。
自由自在に時空をまたいで進む物語は、100人以上の登場人物の日常が織り込まれたタペストリーのよう。覗いているうちに、読者もまた、著者の作り出す世界の住人になってしまう。そして、思いもよらぬ地平へと連れてゆかれる。江國香織小説のエッセンスが最大限に味わえるファン待望の一冊です。
黒船来航の翌年、この国を次々と災厄が襲った。異人憎しの声が高まる中、伊豆国戸田村の船大工・平蔵は、難破したおろしあ人の船の造船世話係補佐役を命じられる。平蔵もまた彼らを忌避していたが、おろしあの人々の温かい心に触れ、次第にその考えを改めていく。だがその一方で、異人を斬って攘夷を成そうとする志士たちが、暗躍し始めていた。そこには、二十年前に生き別れになった平蔵の幼なじみ・士郎の姿があった。交わらぬ道を歩む二人が再会するとき、彼らの運命はー。己の信念を貫き、恐れず生きるとはどういうことか。今の世を生きる我々の明日をも照らし出す、傑作時代小説!
罪を犯し投獄されたのち、一年前へと時が巻き戻った公爵令嬢ヴィオレット。今度は間違わない。誰の邪魔もせず、平凡に地味に目立たず生きようと彼女は決意した。ヴァーハン公爵家というヴィオレットを縛るものに酷く傷つけられながらも、幼馴染のユランやメイドのマリンの優しさが支えとなっていた。そんな折、思いもかけない人がヴィオレットの前に…?「小説家になろう」書籍化第2弾!!書き下ろし番外編「異国から来た王子様」収録。
国民服を着た、丸刈りの女の死体。なぜ男装していたのか、殺害現場はどこなのか、そしてこの女は何者なのか。一切が五里霧中のまま、同じ方法で殺害された別の死体が発見された…。一九四四年、戦争のため五名にまで人員を削減された警視庁特別捜査隊は、特高や軍、果ては空襲に邪魔されながら、真実を求めて懸命に捜査を続ける。特捜隊隊長、仙石が最後に目の当たりにした異形の真相とは?実力派が贈る戦時下警察小説の傑作、登場。
死にたがりの僕を変えたのは、太陽のように明るくて、ランプのように儚い彼女だったー。事故で両親を失って以来、無気力になっている悠生。海に飛び込もうとしたところを、クラスメイトの玲奈に止められる。なにかと絡んでくる玲奈を煙たがる悠生だが、ある一言から彼女に振り回されることに。「私、このランプの炎が消えたら死ぬ病気なの」それ以来、謎の記憶と玲奈が重なるようになる。「悠生くん、本当のことを思い出して」すべての真実を知った時、切なすぎる運命がふたりを待ち構えるー。ふたりの強い思いが起こす予想外の結末に、涙が止まらない!!