小説むすび | 2020年3月発売

2020年3月発売

アウステルリッツ(新装版)アウステルリッツ(新装版)

全米批評家協会賞ほか、多数受賞の最高傑作  ウェールズの建築史家アウステルリッツは、帝国主義の遺物である駅舎、裁判所、要塞、病院、監獄の建物に興味をひかれ、ヨーロッパ諸都市を巡っている。そして、彼の話の聞き手であり、本書の語り手である〈私〉にむかって、博識を開陳する。それは近代における暴力と権力の歴史とも重なり合っていく。  歴史との対峙は、まぎれもなくアウステルリッツ自身の身にも起こっていた。彼は自分でもしかとわからない理由から、どこにいても、だれといても心の安らぎを得られなかった。彼も実は、戦禍により幼くして名前と故郷と言語を喪失した存在なのだ。自らの過去を探す旅を続けるアウステルリッツ。建物や風景を目にした瞬間に、フラッシュバックのようによみがえる、封印され、忘却された記憶……それは個人と歴史の深みへと降りていく旅だった……。  多くの写真を挿み、小説とも、エッセイとも、旅行記とも、回想録ともつかない、独自の世界が創造される。全米批評家協会賞、ハイネ賞、ブレーメン文学賞など多数受賞、「二十世紀が遺した最後の偉大な作家」による最高傑作。  多和田葉子氏の解説「異言語のメランコリー」を巻末に収録。

発注いただきました!発注いただきました!

出版社

集英社

発売日

2020年3月5日 発売

『桐島、部活やめるってよ』でのデビューから十年。森永製菓、ディオール、JT、JRA、アサヒビール、サッポロビール、資生堂、JA共済など、様々な企業からの原稿依頼があった。原稿枚数や登場人物、物語のシチュエーションなど、小説誌ではあまり例を見ないような制約、お題が与えられるなか、著者はどのように応えてきたのか!? 「キャラメルが登場する小説」「人生の相棒をテーマにする短編」「ウイスキーにまつわる小説」「20を題材にした小説」など、短編小説十四本、エッセイ六本。 普段は明かされることのない原稿依頼内容と、書き終えての自作解説も収録された一冊。十周年に合わせて依頼された新作小説も収録。 【はじめに(本文より)】 ある日、某人気ミュージシャンが、「企業や番組とのタイアップのために書き下ろした楽曲のみが収録されているアルバムを発売した」というニュースを見つけた。そのとき、私の頭の中を、大変がめつい考えがぱらぱらと過った。 自分も、企業とのタイアップや他の作品とコラボして書いた文章を根こそぎ集めれば、一冊分になるのではないか……!? それを実現するのは、デビュー十周年のタイミングしかないのではないか……!? 後ろ暗い思考を駆け抜けていったがめつい座流星群は、その後も輝きを失わず、私の頭の中でちかちか光り続けた。その結果完成したのが、この本でございます。 ただ、先述したように、作品をそのままずらりとコレクションしただけではあまりに詐欺めいているので、それぞれ、【(1)どんな発注を受けて書いた作品なのかを提示(テーマ、枚数など)】→【(2)作品】→【(3)発注にどう応えたのか、答え合わせ】という順番で掲載すれば、全体の構造として(主に私が)より楽しめるのではないか、と考えた。この一冊を読み終えたころには、皆さまにも、タイアップ作品二十本ノックをやり終えた感覚を味わっていただけることだろう。そもそも味わいたいかどうかは別にして。 (中略) ごちゃごちゃ書いたが、いろいろ書いたのにキャンペーン終了と共に葬られちゃうのはもったいない! という私のがめつさが生んだ一冊であることは間違いない。それでは、お楽しみくださいませ。 【著者略歴】 朝井リョウ(あさい・リョウ) 1989年、岐阜県生まれ。小説家。2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。13年『何者』で第148回直木賞、14年『世界地図の下書き』で第29回坪田譲治文学賞を受賞。 他の小説作品に『チア男子!!』、『星やどりの声』、『もういちど生まれる』、『少女は卒業しない』、『スペードの3』、『武道館』、『世にも奇妙な君物語』、『ままならないから私とあなた』、『何様』、『死にがいを求めて生きているの』、『どうしても生きてる』、エッセイ集に『時をかけるゆとり』、『風と共にゆとりぬ』がある。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP