2020年7月16日発売
イギリス秘密情報部(SIS)のベテラン情報部員ナットは、ロシア関連の作戦遂行で成果をあげてきたが、引退の時期が迫っていた。折しもイギリス国内はEU離脱で混乱し、ロシア情報部の脅威も増していた。彼は対ロシア活動を行なう部署の再建を打診され、やむなく承諾する。そこは、スパイの吹きだまりのようなところだった。ナットは、新興財閥(オリガルヒ)の怪しい資金の流れを探る作戦を進めるかたわら、趣味のバドミントンで、一人の若者と親しくなっていく。ほどなく、あるロシア人亡命者から緊急の連絡が入った。その人物の情報によると、ロシアの大物スパイがイギリスで活動を始めるようだ。やがて情報部は大がかりな作戦を決行する。そして、ナットは重大な決断を下すことに……。ブレグジットに揺れるイギリスを舞台に、練達のスパイの信念と誇りを描く傑作。
商家の跡取り伊勢次は、二十歳を超えても怖がりなのにー祖父の左五平が幽霊として甦った!孫の怖がる顔が可愛いようで、まいど趣向をこらして怖がらせる。ある日、町の幽霊騒動を知った左五平が、伊勢次に正体を調べるよう言いつけ…貧乏御家人の七男・文七郎が剣で成敗したい幽霊とはー祖父・十右衛門だ!が、文七郎は十右衛門に稽古もどきで打ちのめされる。町の幽霊騒動を聞きつけた十右衛門も、孫に正体を調べるよう仕向け…死んでいるのに元気すぎ、おじいちゃん幽霊が孫を困らせる、江戸の楽しい怪異譚。
両親の死を契機に、父親の謎めいた過去を調べ始めたメアリ・ジキル嬢。父の旧友ハイド氏とは何者なのか? ホームズとワトソンの助けを借りて調査するうち、彼女は科学者が狂気の研究の末に生み出した娘たちと出会い!? 19世紀ロンドンで展開するSFミステリ
会社を辞め前向きに生きる目的を失った諒と、その隣の部屋に住む百合おばさん。お節介な百合おばさんの言動によって、諒の人生に明るい兆しが見え始める。数えきれないほどの屈託の中で見つけた、本当に大切にすべきこととはー。悩める全ての読者に捧げる、モラトリアム小説。日常の中に溢れる温かな人情を繊細に描いた文芸作品。
ヴンダーカンマー(驚異の部屋)。それは近世ヨーロッパで作られていた珍奇な博物陳列室。いま、それを現代に甦らせようとする一人の少女がいた。渋谷唯香、十六歳。緻密な計算のもと、次々と集められていくおぞましきコレクション。それはいったい何のため?誰のため?最後に残された1ピースの空虚を埋めるものとは…。小説投稿サイト「エブリスタ」×竹書房が贈る禁忌のホラー、突き抜けたエグさがクセになる背徳のイヤミス!第1回最恐小説大賞受賞作。
クーデターで台湾に誕生した中華連邦は、その存在を確固とすべく、積極防衛と称して南シナ海やフィリピン北部へ侵攻した。中国製主力兵器の前に、フィリピン軍とベトナム軍は一蹴され、先島諸島にも危機が迫る。さらに増長する中華連邦は、その裏で驚愕の作戦を進めていた。日本の首都・東京空襲である。海自の八八艦隊と空自のF-35B艦載機隊は、北上する中華連邦・空母機動部隊の防壁になりうるのか!?権力欲と復讐、力を行使したいという人間の欲求が歴史を歪ませ、混沌に巻き込まれた男と女の苦悩が、悲鳴と絶叫となって空に、海に響くー。