2020年7月28日発売
戦後すぐ(1947年)に発表されたカミュの『ペスト(La Peste)』は、新型コロナ肺炎の世界的拡大によって慌てふためく各国政府の対応や地域社会の情勢、人々の行動・心情の変化をまるで予言しているかのようです。作品では、疫病の終焉によって生まれた世界についても描かれており、コロナ禍を経験している私たちが、何を見て、何に気づき、何を思い、何を志向するべきか、そのヒントが強く示唆されているといえます。本書は小説『ペスト』を読み解きくための一冊です。
山川悠は、研修期間を終えて東国病院に勤めはじめた1年目の外科医。不慣れな手術室で一人動けず立ち尽くしたり、患者さんに舐められないようコミュニケーションをとったり、先輩医師に怒られることもしばしば。そして、ある出来事を機に、山川の頭の中に一つの考えが芽生えはじめる。
東京は桜が美しかったが、秘書のハナに眺める余裕はなかった。泣きながらCEOのアントニオとキスをし、ベッドをともにして、彼女の人生は一変したー赤ちゃんができたのだ。気づいたとき、ハナは妊娠したとアントニオに告げていた。会社にとって、重大な商談の直前に。しかし、プレイボーイの大富豪は身勝手な暴君でもあった。ハナを即座に解雇し、顔をそむけてビルの中へと消えたのだ。彼女はすべてを失った。愛する男性も、生きがいだった仕事も。心が凍えていたのは、降り出した雨のせいではなかった。
10日で終わったシチリアの恋が、 彼女に授けた秘密の宝物── 妹の結婚式のためにシチリアを訪れたオーラは、 新郎の付添人にでくわした瞬間、凍りついた。 やっぱり、彼だわ……息子の父親のトニオに間違いない。 4年前、オーラは旅先で彼と出会って恋に落ち、純潔を捧げた。 だがトニオに婚約者がいると知って、泣く泣く身を引いたのだ。 その後すぐ妊娠に気づいたが、不運にも事故で怪我をし、 今の今までトニオの美しい顔以外、すべての記憶を失っていた。 動揺するオーラと傍らの幼子を見るや、彼の目が怒りに燃えた。 「僕の子なんだな? 性悪女め、4年も僕を欺いていたとは!」 愛らしいヒロインと、傲慢なのに魅力的なヒーローを描いて人気のミシェル・スマート。今作では、貧しいながらも妹と肩を寄せ合い、懸命に生きてきたヒロインの儚い初恋が、予想だにしない展開をみせて……。“シークレットベビー”がテーマの感動作です!
憎いのは、君を愛していたから。 言えなかったのは、あなたを愛していたから。 母が家政婦をする家の主の援助で、ギリシア人の少年テオは、 貧しい生い立ちを蔑まれながらも名門校で勉学に励んでいた。 ある日、入学してきた可憐な少女ソフィアと恋におち、 夢の時を過ごすが、半年後、突如彼女は姿を消したーー。 10年後。ソフィアは花婿候補と会うため仮面舞踏会を訪れた。 だが2人めの花婿候補にも落胆したとき、現れた白い仮面の男性に 磁力で引き寄せられるように誘われ、ダンスを踊りだす。 仮面越しに見える茶色の目。まさか……テオ? あなたなの? 今や富豪となった彼の瞳にはしかし、怒りの炎が宿っていた。 今作の日本語タイトルは、ハーレクイン公式Twitter上で、読者の皆さまの投票によって決定しました。バージンヒロインのピュアな恋物語を厳選してお贈りする“〜純潔のシンデレラ〜”。あのリン・グレアムの愛弟子ピッパ・ロスコーが綴ります!
母の手術費を工面するため、ある夫妻の代理母になったポリー。しかし妊娠してまもなく、手術の甲斐なく母は亡くなり、失意の中、依頼主夫妻が手配した屋敷で出産を待つことに。そして、近くの森でひとり泣きくれていたとき、黒髪の洗練された年上の富豪、ラウル・ザフォルテサに出会い、彼の魅力の虜となる。だがやがて、彼こそが代理母の依頼主で、夫妻というのは作り話だったと知るーお腹の子の父親は、結婚せずに子供だけ欲しいと望む、身勝手な独身貴族なのだと。騙されたショックに、ポリーは逃げるように姿を消すが…。
憧れの人との忘れえぬ五夜。 授かったのは、幸せの証のはずなのに……。 初めて会った日からずっと、天才外科医マックスに憧れてきたエヴィ。 彼が1年間の海外任務に赴く直前に想いが通じ、結ばれた。 マックスの出発後、妊娠したことがわかると同時に持病が悪化し、 エヴィは闘病をつづけながら命がけで女の子を産んだ。 だが体調が急激に悪くなり、とうとう手術を受けることに。 そんなときマックスが帰ってきたが、娘の存在を告げられずにいた。 彼の両親に、息子の仕事に差し障ると、口止めされているから……。 けれども、手術の前に弱気になったエヴィは彼の励ましに胸を打たれ、 ついに娘のことを打ち明けたーーすると、マックスは豹変し、 エヴィをなじった。「きみはわざと妊娠し、ぼくを罠にかけたのか?」 やむなき事情で妊娠や出産のことをヒーローに告げられないヒロインを描く、“シークレットベビー”物語。本作はそんな切ないテーマをもとに、英国人作家C・ホークスが書き上げた感動ロマンスです。邦題はハーレクイン公式ツイッターの一般投票で選ばれました!
亡き姉の小さな忘れ形見。 せめて父親の名を知りたくて……。 姉を亡くして1年余り、ナタリーは遺された甥を引き取ることにした。 だが姉は未婚のまま産んだ幼子の父親が誰か明かしてくれず、 ナタリーは甥にいつか教えるためにも、まず父親捜しから始める。 わずかな手がかりをもとに、彼女は由緒ある公爵領を訪れた。 ここの葡萄園で働く誰かが、甥の父親の可能性があるのだ。 臨時の仕事に応募したナタリーは、面接官のドミニクを見て息をのんだ! 深みのある黒い瞳と黒髪が、怖いほど甥に似ている。まさか……。 でも、この公爵家出身の大富豪には、風貌のよく似た兄といとこがいて、 姉が恋におちた男性が3人のうちの誰であってもおかしくなかった。 ドミニクでありませんように。ナタリーはいつしか、そう願っていた。 大スター作家R・ウインターズが、情趣豊かな南仏プロヴァンスを舞台に、胸に響くシンデレラ・ロマンスを書き上げました! 真実がわかるまで、甥の父親捜しをしに来たことをドミニクに伝えられないナタリー。秘密を抱えたままなのに、恋心は止められず……。
雷雨の中、帰宅を急ぐサラは道に飛び出し、車に轢かれそうになった。 運転していたのは町の名士で実業家のジェイク・ホーガンで、 彼からお詫びの花束が届き、翌日にはわざわざ様子を見に来てくれた。 紳士的なジェイクに、サラは生まれて初めて胸のときめきを覚えた。 でも、私のような、幼い娘を育てている女に、彼は興味なんてないはず。 それに、私には誰にも言えない秘密が、男性と親密になったら 打ち明けないわけにはいかない秘密がある……。 恋心を止めたいサラだったが、会うごとにジェイクに惹かれ、 雷鳴に怯えていたある夜、彼になだめられるうちに一線を越えてしまう。 そして、露見したーー彼女がまだ、純潔の身だったということが! 〈薄幸のシンデレラと幼な子〉と題して、やむにやまれぬ事情で小さな子供を育てるヒロインと大富豪とのロマンスを特集します。幼い少女の“母”として生きてきたサラの秘密の真相とはーー? ベテラン作家キャサリン・ジョージの、優しくて切ない名作です。
伯爵家を継ぐ貴公子にとって、 私は不都合な花嫁でしかないのに……。 テンパーは恋多き母のせいで、上流階級の口さがない人々から、 どうせ娘も同類だろうと、いわれなき噂を立てられていた。 男性に対してトラウマのある彼女は、母とは違うのに。 ある日、テンパーは父に強いられて社交界デビューが決まり、 兄の親友で伯爵家子息のギフが護衛を務めることになった。 手が触れただけで甘い衝撃の走る彼が、そばにいるなんて……。 戸惑うテンパーだったが、舞踏会が開かれた屋敷の寝室で、 期せずしてギフと二人きりでいるところを他人に目撃され、大騒動に。 テンパーの評判を守るため、ギフはやむなく彼女に求婚した。 夫婦の契りを結ばない、白い結婚ならとテンパーは答えるがーー 妻にするなら成熟した上品で穏やかな淑女でなければならないと考えていた貴公子ギフ。それが蓋を開けてみれば、じゃじゃ馬のテンパーを娶ることに。しかも、彼女は夫となるギフに、ベッドをともにしない代わりに、よそで自由に遊んでいいと言うのでした……。
一生、一人の女に首枷をはめられるなんてごめんだー伯爵家に生まれた騎士ロビンは、次々と結婚する兄弟を見て毒づいた。あの強靭だった兄たちは今、妻の尻に敷かれ、まるで腰抜けじゃないか。一族にかけられた“結婚の呪い”なのか…。ロビンは身震いした。呪縛を解いてくれる人物を求め、たどり着いたのは女子修道院だった。すると突如、不穏な叫び声が響き、颯爽と駆けつけたロビンは、思わぬ言葉に迎えられる。「私たちを殺すつもりで、戻ってきたのね!」声の主は、透き通るような白い肌に瑞々しい唇の見習い修道女シビル。彼女の姿を目にした瞬間、ロビンは息をのみ、めまいに襲われた。この娘こそ、私を虜にし、破滅させる女…。そうはさせるか!
母親をとうの昔に亡くしているロージーは、短い間に相次いで父と祖父を失い、窮地に立たされた。祖父の遺言で、3カ月以内にロージーが結婚しなければ、400年の歴史を誇る屋敷は貪欲な親戚の手に渡ってしまうのだ。形だけの結婚相手には最高だと弁護士が白羽の矢を立てたのは、この界隈随一の富豪で、幼なじみのガードだった。何かにつけ子供扱いしてくる傲慢な彼と結婚なんてしたくない。でも、ほかに頼れる人もいない。ロージーは心を決め、ガードにプロポーズをするが…。