2020年7月8日発売
タイロス迷宮奥深くでの激闘で、愛するユイカを救うために石化してしまった迷宮道先案内人(ダンジョン・シェルパ)のロウ。迷宮から救出(サルベージ)されてからも長い間眠り続けたが、冒険者となった妹マリエーテの献身的な治癒と魔法の力によって、11年ぶりに目を覚ました。目を覚ましたロウの傍らにはマリエーテだけでなく、ロウが眠っていた間に誕生した息子・ミユリもいたが、ミユリの母であるユイカの姿は無かった。ロウは、優秀な魔術師となったマリエーテとミユリを連れて、ユイカを救出するための探索に出ることを決意し、王都・デュマにて新たなパーティーを組むための仲間探しを始めるのだが……。 「月刊少年シリウス」で連載中のコミック版も絶好調。迷宮探索ファンタジーの傑作、待望の第3巻!
橘樹雅は民俗学研究のテーマ「出雲」を追い、京都を訪れていた。かつて出雲族の集落があったという下鴨神社の西側には「怨霊の寺」が。遥か出雲国から都へやってきた人々がなぜ怨霊になったのか?糺の森で起きた殺人事件を機に、雅は「言霊」の真の力に気づき、出雲族等、まつろわぬ民にかけられた朝延の「呪い」の正体を明らかにする。
ゲームが趣味の高校生の俺ーー逆蒔京也は、東京で行われたトレーディングカードゲーム《クロノ・ホルダー》世界大会の予選で優勝した。国内チャンピオンの栄誉を携え、東京駅から地元に帰ろうとした、その時。乗るはずだった新幹線が突如爆発炎上。その上空には咆哮とともに火炎を吐く赤い竜。地上には人間を襲うゴブリンや魔狼が発生し、街は阿鼻叫喚のるつぼと化した。世界はそれまでの秩序を失い、MMORPG《オレクエスト・オンライン2》に塗り替えられてしまったのだ。 「……負けてたまるか。生きて、必ず運命を引き寄せてやる」 ボロボロの世界を前に決意した俺は、いつの間にか腕に装着されていた《クロノグラフ》を使い、迫りくるモンスターたちに立ち向かう。クソステすぎて苦戦する俺の前に現れたのは、数時間前にカードゲームの決勝戦で対戦した美少女・黒乃だったーー。 突如終わりを告げた世界で俺が得た《時の蒐集者(クロノ・ホルダー)》の力は、どうやら周りとはまったく違う仕様っぽい!? たった一人、別ゲーのシステムで戦う俺に明日はあるのかーーあるに決まってる! ハードモードな終末世界のバトルアクション×ボーイミーツガール!
禍々しきは、吾の出番。--妖退治屋をなりわいとする麗しき謎の男、遊斎の事件簿。 江戸時代、凶悪犯を取り締まる火附盗賊改の裏組織が存在した。 専ら人外のものを狩り鎮めるその名は、火龍改。 満開の桜の下で茶会を催していた一行から悲鳴が上がった。見れば大店のお女将の髪が逆立って、身体ごと持ち上がっていき、すっかり桜の花に隠れてしまった。見上げる者たちの顔に点々と血が振りかかり、ぞぶ、ぞぶ、ごり、という音のあと、どさり、と毛氈の上に女の首が落ちてきたーー。遊斎は、飴売りの土平、平賀源内らとともに、この怪奇な事件の謎を追う(長編「桜怪談」)。短篇「遊斎の語」「手鬼眼童」「首無し幽霊」も併録。 スカイエマの、クールで色っぽい遊斎や不思議な生き物たちのイラストが誌面を飾る。クラフト・エヴィング商會の瀟洒な装丁で、現代版の絵双紙本が誕生。 火龍改の語(こと) 遊斎の語 手鬼眼童 首無し幽霊 桜怪談
満月の夜にだけ現れる満月珈琲店では、優しい猫のマスターと星遣いの店員が、極上のスイーツやフードとドリンクで客をもてなす。スランプ中のシナリオ・ライター、不倫未遂のディレクター、恋するIT起業家……マスターは訪問客の星の動きを「詠む」。悩める人々を星はどう導くのか。美しいイラストにインスパイアされた書き下ろし小説。
ある朝、目を覚ますと手首から腕にかけて「神様当番」と太くて大きな文字が書かれていた! 突如目の前に現れた「神様」を名乗るおじいさんのお願いを叶えないと、その文字は消えないようで……? 「お当番さん、わしを楽しませて?」 幸せになる順番を待つのに疲れている印刷所の事務員、理解不能な弟にうんざりしている小学生の女の子、SNSでつながった女子にリア充と思われたい男子高校生、大学生の崩れた日本語に悩まされる外国語教師、部下が気入らないワンマン社長。 奇想天外な神様に振り回されていたはずが、いつのまにか主人公たちの悩みも解決していて……。 笑えて泣けるエンタメ小説です。 大人気ミニチュアアーティスト・田中達也さんがカバー写真を制作。 第1回宮崎本大賞を『木曜日にはココアを』で受賞した、青山美智子さんの最新作です。
好評シリーズの第四巻目! 人形を思わせる色男の岡っ引き、 佐七が次々と江戸の事件を解決していく推理劇 。 「 銭形平次 」 をはじめとする 五大捕物帳 の一つで 、 横溝自身も格別に愛着を持っていたシリーズです 。 本シリーズは研究者たちにより収集、 確定された全 180 篇をすべて収録した決定版です 。 「すっぽん政談」 「唐草権太」 「ほおずき大尽」 「小倉百人一首」 「双葉将棋」 「妙法丸」 「鶴の千番」 「半分鶴之助」 「お俊ざんげ」 「七人比丘尼」 「鼓狂言」 「お玉が池」 「百物語の夜」 「睡り鈴之助」 「団十郎びいき」 「河童の捕物」
母親を病で失い、気力を失くして会社を退職した父親と実家のある田舎へ越してきた14歳の春野暁(あかつき)。バスケットに情熱を燃やしていたものの、転校先の平川中に女子バスケット部はない。そこで暁は、学年イチの秀才で運動神経ゼロの欣子、日本に不法滞在の身でほとんど学校に来ていないタンザニア人のプミリアたちと女子バスケット部を立ち上げる。だが、暁以外は初心者でルールさえもよくわからず、練習場所にも事欠く始末。さらにそれぞれの家庭の事情にも苦しめられる。そんなとき、暁の前を華麗なフォームで長身の少女が走り抜ける。それが、暁と本田薫との出会いだった……。
<story> 駒込うらら商店街に佇む、昔ながらのパン屋さん「ベーカリー・コテン」。 あんぱん、クリームパン、チョココロネ。気取っていない顔が並んでいて、見ているだけでほっとするような、そんなお店。 一家で経営してきたコテンの未来を背負うのは、悩める三代目・和久。 商店街が寂れる中で、コテンを継ぐべきか。「自分なりのパン」を見つけないといけないのではないか。創業者のじいちゃんが亡くなって、店名の「コテン」の由来もわからない。 日々迷いながらパン生地をこねる和久のもとには、愉快なお客たちがやってくる。 ヒョウ柄のコートを着込む占い師に、就活に落ち続ける学生、肉バカの肉屋の息子。 人の悩みに寄り添うパンを焼こうと奮闘する和久が、やがて見つけた答えとはーー しぼんだ心を幸せでふっくらさせる、とびきりあったかな“縁”の物語。 <プロフィール> 冬森灯(ふゆもり・とも) 第1回おいしい文学賞にて最終候補。本作がデビュー作となる