2020年8月27日発売
ー負けました。これをいうのは人生で何度目だろう。将棋に魅入られ、頂点を目指し、深みへ潜ってしまった男。消えた棋士の行方と魔の図式の謎を追って、北海道の廃坑から地下神殿の対局室まで旅が始まる。芥川賞作家が描く傑作将棋エンタテインメント。
1930年代末、アメリカ南部の町に聾唖の男が現れた。大不況、経済格差、黒人差別…。カフェに集う人々の苦しみをその男だけが、いつも静かに受け止めてくれた。-村上春樹が「最後のとっておき」にしていた古典的名作、新訳で復活!
いとこのサブリナの葬儀の前、美容部員のコリーナに祖母は言った。「あんたがメイクしてやりなさい」-サブリナは、黒髪に淡いブルーの瞳のとびきりの美人。なのになぜ、一族の悲運に連なるように、死を選ばなければならなかったのか。女たちは若くして妊娠し、男たちは身勝手に姿をくらます。だが一族の絆は固く、知恵のある祖母が、しばしば娘と孫を助ける。コロラド州デンバーのヒスパニック系コミュニティで、やるせない日常を生きるさまざまな世代の女たち。アメリカ建国以前からこの地に根ざしながら、非白人として疎外される痛みと苛立ちを描いて、一躍注目を集めたデビュー短篇集。2019年、全米図書賞最終候補作。
身長、寿命、インターネット、XVideos-21世紀、ピークに達したかに見える人間の能力と文化。だが、それはまだ前戯にすぎなかった。画期的人類史観を打ち立てる表題作はじめ長編3編を1冊に収録。
本番当日に失踪した舞台女優と数年ぶりに再会した脚本家の心に去来したもの(「不在の百合」)。かつての仕事仲間の訃報を私に告げた、意外な人物(「隠したこと」)。自堕落な生活を続ける後輩との会食で、私がとったある行動(「反復」)…。都会の片隅で生きる人々の埋もれた「真実」が明かされるとき、過去の重みが忍び寄る。佐々木譲が贈る渾身の人間ドラマ、全13篇。
それでも私たちは生きて、ゆっくりと消滅していくだろう。母と子、妻と夫、恋人、同僚、同級生…人々は親切に、礼儀正しく傷つけあう。「私たちの“ここ”と“今日”を記録する作家」が贈る、希望も絶望も消費する時代の生活の鎮魂歌。
「俺のユフィは世界一可愛い。虫除けはしっかりやっておかないと」素敵な恋に憧れるお年頃のユフィは、伯爵家の一人娘。なのに、いつも妹大好きな兄のネイトに婚活の邪魔をされてばかり。血の繋がりはないけど、剣の腕前は騎士団一!その上たぐいまれなる美貌!非の打ち所のない兄だが、シスコンこじらせまくりのせいで、ユフィには縁談もやってこない。そんな時、侯爵令嬢の誘拐未遂事件が勃発。護衛となったネイトと共に騒動に巻き込まれ!?
王太子からの婚約破棄を快諾し、無駄に有り余った魔力を駆使してスローライフを楽しむ元悪役令嬢シルヴィ。現在は魔物に襲撃された町を復興させるべく、前世の記憶をもとに新たな特産品やコンセプトカフェの展開を計画中。だがそれを引き金に隣国の陰謀に巻き込まれ、ついにはシルヴィ自身がエセ側妃として後宮に嫁ぎ潜入捜査をすることに!彼女に想いを寄せつつもしがらみ故に自分を抑える第二王子・エドガーとしてはモヤモヤが止まらない!?
「男はね。女に上に立たれるのが嫌なんだよ」特例で女公爵になった途端、そんな理由で男から婚約破棄を申し込まれたルナータ。キレた彼女はこっちこそお断りだととっちめ、領地に引きこもり独身生活を謳歌することに。そんな中、森の小さな城で眠る麗しき青年を発見。目覚めた彼は何と突然ルナータの唇を奪ってきて!?実は百年前に魔法で眠らされた王だという彼の妙な距離の近さに戸惑いつつも、一緒に暮らすうちに頑なな彼女の心は和らぎ始め…