2020年8月3日発売
地獄の炎が燃え盛る地獄への扉ー『地獄門』を守護してきた一族に生まれた少年・ヴァルフレア。門を守るため、千年に一度炎へと捧げられる生贄となったヴァルフレアは親のいない自分を育ててくれた先生への感謝を胸に刻みながら死ぬーはずだった。身を焼き尽くす炎に焼かれながらも消滅を免れ、地獄の炎を吸収しつくし、肉体すらも復活させてしまう。喜んで門から出たヴァルフレアだが、暮らしていた村は廃墟になっていたー!死を悼みながらも復活を予感している、という先生の日記を読んだヴァルフレアは、残された装備を身につけ、世界は広いという先生の言葉を胸に、世界を見るために旅立つことに…したら早速、襲われる少女たちがー!?炎を操る呪術師ヴァルフレアーフレアの冒険が始まる!!
埼玉県熊谷市の農家に生まれ、定時制高校を卒業後さまざまな職業を経て、警察官採用試験に合格。本部の機動隊に勤務していたが、ある日突然、周囲の反対を尻目に辞表を出して退職。そして波乱の人生の幕が上がるー。大腸癌、膝関節症、不眠症、白内障、心気症…。次々と襲い来る病魔との訣別まで、ひとりの男の人生を追う。
原民喜が「ひどい衰弱と飢餓のなかで」「ひだるい躯を石油箱の机に鞭打ち」「赤貧と窮死に追詰めながら」書いたと記す六編の小説。静かに物語られた「稀有な体験の紀念」を、あの日から七十五年を経たいま、ていねいに読み解く。
第二次大戦を描いた最高の英国小説。カトリックの旧家出身の紳士ガイ・クラウチバックは結婚に失敗し、イタリアの別荘で隠遁生活を送っていたが、ナチス・ドイツの擡頭にヨーロッパ情勢が風雲急を告げると、今こそ大義に身を捧げる時とイギリスへ帰国する。やがて第二次世界大戦が勃発、ガイは入隊先を求めて運動するが、軍隊経験のない三十五歳の中年男を採用しようという隊はなかった。それでもなんとか伝手をたどって伝統ある連隊に見習士官として入隊し、アフリカ帰りのアプソープや年下の若者たちと共に訓練を受けることになるが…。戦争のメカニズムに巻き込まれた人々の滑稽でグロテスクな生態を、真面目な思索と辛辣な諷刺、時にスラプスティックな笑いのめまぐるしい交錯のうちに描いたイーヴリン・ウォーの名作“誉れの剣”三部作の第一巻。ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞受賞作。本邦初訳。