2021年12月24日発売
「叔父さん、ぼくを猿と結婚させるなんてひどいよ!」紅顔の美少年が口にしたその言葉が、幼き花嫁ベスの心をえぐった。訳もわからず父に手を引かれて祭壇に連れてこられただけなのに…。少年の名はドルー。将来、高貴な伯爵家の跡を継ぐ、若き花婿だ。ベスは泣きながら結婚したくないと訴えたが、結局儀式は行われた。しかし、まもなくしてドルーは妻を置いて去っていった。歳月が過ぎ、ベスは外出先でばったり再会したー10年ぶりに、夫と。誰もが振り返るその美貌は以前と変わらず、すぐに彼とわかった。だがドルーのほうは、目の前にいるのが妻のベスとはわからぬ様子で、彼女のうなじに唇を寄せ、囁いた。「美しい妖精さん、きみの名は?」
かつてフランスのリヨン郊外にあったスラム街“シャアバ”。幼少時にマグレブから移住してきた少年は、貧しい家庭から勉学によって立身出世し、大臣にまで登りつめ作家となった…。作家自身が体験した青春時代を描きだした代表作。
冷戦時代、ソ連の全住民を瞬時に天国の救済へと送る“音響麻酔兵器”がアメリカで開発され…。平和な最終兵器をめぐる応酬をコミカルに描く表題作ほか、モスクワ・コンセプチュアリズムのアーティストにして小説家による、性愛の快楽と宇宙の虚無を讃え、忙しない資本主義社会を忘れて心地よい赤子の眠りに還る、優しいロシア・ポストモダン短編小説七編。
戦闘スキルを持たないせいで無能のレッテルを貼られ、荷物持ちとして生きるセラ。しかし13歳の誕生日、セラのジョブ“魔導錬成師”が覚醒!修理や改造など、規格外のスキルを手に入れる。しかも体には桁違いの力がみなぎっていて…!?チート級の魔導具を作り出し、瞬く間にケガを治療し、さらに自身も圧倒的な強さで周囲を無双していく。仲間を得た彼は、自由を手に入れるために冒険者として成り上がっていきー。底辺から這い上がった少年が送る、常識をくつがえす圧倒的異世界無双譚!
ごくごく平凡な少年が、規格外のスキルで世界最強にー!何のスキルも持たない平凡な少年・エルビスはある日突然『回復の泉』の中に転生させられてしまう。苦しくても死ねない地獄を味わうも、目が覚めたとき、エルビスは規格外のスキルを手にしていて…!?「お前は一体何者なんだ…!?」剣術の達人だけが習得できる剣圧ー触れたものすべてを崩壊させる破壊属性ー強壮な冒険者や英雄をも唸らすチート能力を授かったエルビス。大切な人を守るため強くなると誓ったエルビスは、敵を次々と無双し、世界最強への道を駆け上る!最悪から始まる最強冒険譚、ここに開幕。
日本人である私は、占領下の上海で快適な暮らしを楽しんできた。 そのことに矛盾を感じてこなかっただろうか。 戦争そのものに対する私の態度は、これまでずっと曖昧だった。 =============== 戦局の悪化にともない、窮乏していく上海での生活。 それでも、一人の日本人女性が家族を守り、 異国の人々と友情をはぐくみながら、 力強く生きる姿を活写した日記小説。 本書は、イギリス在中の歴史家でもある著者が、母親の4年余りの上海での生活をもとに作り上げた小説である。史実ではすくい取れない、知られざる歴史がつづられている。 第一部 一九四二年一月一五日〜一九四四年三月三一日 第二部 一九四四年四月三日〜一九四六年三月二八日 結び 一九四六年四月九日、夙川 訳者解説 麻生えりか