2021年7月16日発売
人脈という名の武器を使いこなし、数々の世界的偉業の裏で暗躍してきた青年ネット。しかしある日、彼は自分勝手な国王に足手まといだと判断され、勇者パーティから追放されてしまう。一から冒険者を始めることにしたネット。しかし、騎士団長から人魚族の姫まであらゆる者達から慕われ、繋がりをもつ彼の冒険者生活は、当然規格外のものでー。「この人捜しは、叡智王と大賢者から力を借りればいいか」一方、国王は思い知ることとなる。勇者パーティは、実力こそあるが、とんでもない問題児だらけで、それを制御していたのは、ネットであったということを…。こうして、他力本願をモットーとする英雄が世界を手のひらで転がす新たな物語の幕が開く。
キスクでの激動を経てファルサスに帰還し、子供用の言語教材を作成する仕事についた雫。エリクと協力して引き続き日本帰還の手立てを探り続けていたが、その鍵となるはずの外部者の呪具、秘された歴史を記した本の一冊が予想外な場所から見つかることに。 一方、もう一冊の呪具を保持する邪悪な魔法士アヴィエラは、突如として大陸全土に向けて宣戦布告する。 「私の名はアヴィエラ。七番目の魔女。時代の終わりと始まりでお前を待っている」 決戦の地は、禁呪によって異界化した亡国ヘルギニス跡地。ファルサス王ラルス率いる連合軍が結成され、呪具の片割れを所持する雫も否応なく戦いに巻き込まれていく。 神話の時代に遡る言語の由来、子供達が言葉を失う流行病、この世界を観測する外部者の存在、そして現代日本からやってきた雫が言葉を解する意味。その全ての謎が一点に収束して明かされていく。長い長い旅の果てに、少女が知る真実とはーー。 言葉と人間を巡るロードファンタジー、堂々完結。
片倉唯、40歳。趣味は節約とキルト作り。がん検診を気まぐれで受けてみたら、進行している子宮がんだと宣告される。もう頑張って生きなくていいー。ショックを受けるかと思いきや妙な安堵感に包まれつつ、病院の待合室で待っていた唯の前に、ピンク頭のスーツの男が現れ、声をかけられる。-「いきなりで悪いんだけど、お金持ってない?」感動必至の男女逆転版『プリティ・ウーマン!』
伊藤計劃+円城塔『屍者の帝国』の世界観に、ドストエフスキー『白痴』から『アルジャーノンに花束を』「ブレードランナー」までを投入した「小ねずみと童貞と復活した女」、江戸川乱歩の短篇「心理試験」とドストエフスキー『罪と罰』に、意外な符号を見出す「プシホロギーチェスキー・テスト」、佐々木淳子の時間SFコミックと、チェーホフの戯曲『桜の園』とを組み合わせた「桜の園のリディヤ」、そして、書き下ろしの「ドグラートフ・マグラノフスキー」までーロシア文学+SFの超絶リミックス全6篇。
お母さん、死んじゃったけど、心の奥にいるもん。悲しくなったらマンタのように飛んできて、ギュって包んでくれるもん。-あの場所に行けばきっと会える。母との約束をかなえる夏。2021年バレンタインプロジェクト最優秀賞受賞作品。
どこへ行けばいいかわからないとき、人はどこへ行くのだろう?退官した大学教授リヒャルトは、ベルリンに辿り着いたアフリカ難民に関心を抱く。難民たちとの交流は、次第に彼の日常生活の一部となっていくが…東ドイツの記憶と現代の難民問題を重ね合わせ、それぞれの生を繊細に描き出す。ドイツの実力派による“トーマス・マン賞”受賞作。
聖徳太子千四百年遠忌記念出版。稀代の歴史小説作家の遺作となった全集未収録長篇小説『聖徳太子』に、“悪人列伝”シリーズの劈頭を飾る「蘇我入鹿」を併録。海音寺古代史のオリジナル編集版。
[商品について] ー「一等国」となるための旅路ー 誕生してまもない明治政府が急務とすることの一つに、江戸幕府が締結した諸外国との不平等条約の撤廃があった。1871年、その始めの一歩として、条約改正の予備交渉のために、岩倉具視を全権大使とする岩倉使節団が横浜を出発した。しかし、ようやく国際舞台に飛び出したばかりの日本は、老練な諸外国の外交手腕に翻弄され、条約改正交渉は難航していく。本書は、岩倉使節団の一行が西洋世界で何を見て何を学んだのかについて、その足跡を追いながら綴った作品である。日本の外交の源流を知る上でも、格好の内容となっている。 [目次] はじめに 第一章 岩倉一行、横浜を発つ フルベッキの進言 大隈重信、大使案 岩倉具視、大使となる くやしい大隈 ほか 第二章 グラント大統領に謁見 歓迎パーティ 伊藤博文のスピーチ サンフランシスコを発つ ゴールドラッシュの村 ほか 第三章 日米会談、決裂 大久保と伊藤、日本へ 再び「ニューヨーク・タイムズ」 大久保ら、ワシントンに戻る 日米会談、決裂 ほか 第四章 ロンドンは「からっぽ」 ボストン出航 ある投書 タイムズの社説 ロンドン到着 ほか 第五章 ヴィクトリア女王に謁見 銀行倒産 留学生問題 日英会談 岩倉の人物評 ほか 第六章 フランスからオランダへ 図書館と博物館 パリの下水道 天文台 パリの裁判所 ほか 第七章 ドイツ皇帝に謁見 ベルリン市民 ドイツ皇帝に謁見 ベルリンの病院 ビスマルクの演説 ほか 第八章 イタリアをまわる 代理公使の手紙 スエーデン国王に謁見 教育と宗教 スエーデンの週刊誌 ほか 第九章 「帰国せよ」の電信 ウィーン万博 オーストリア皇帝に謁見 スイスのベルン スイス大統領に謁見 ほか 参考文献 著者略歴 [出版社からのコメント] 日本が世界の一等国の仲間入りをするには、不平等条約の撤廃だけでなく、憲法をはじめとした法律や政治体制など、近代国家としての内実を備える必要がありました。本書に登場する伊藤博文が大日本帝国憲法の制定に力を注いだように、条約改正という外交目的の点では失敗した岩倉使節団は、その後の日本の近代化の種を多く持ち帰った旅でもあったと思います。多くの方が本書が喚起する問題について、考える時間をもっていただければ嬉しく思います。 【著者プロフィール】 志岐 隆重(しき・たかしげ) 1938年生まれ。 1962年広島大学卒。 以後、長崎県立高校教諭(社会科)。 1999年退職。長崎市在住。 〈著書〉(歴史ノンフィクション) 『島原・天草の乱』葦 書 房 『天正少年使節』長崎文献社 『長崎出島四大事件』長崎新聞社 『トーマス・グラバーと倉場富三郎』長崎新聞社 『十二回の朝鮮通信使』長崎文献社 『元と高麗の侵攻』長崎文献社 『後藤象二郎と岩崎弥太郎』長崎文献社