2021年8月12日発売
読書メーター 読みたい本ランキング 第1位!! (単行本部門 週間 2021/6/29〜7/5調べ) ☆ ☆ ☆ 今までの自分をきれいさっぱり捨て去って生まれ変わることができたら、どんなに幸せだろうかーー。 誰もが一度は思うこと、その願いへのひとつの答えがここにある。 自分に何の期待もできず、自堕落な生活を送る大学生の敷石和也(たかなり)。 ある日突然、全く知らない子どもの姿となって目覚める。目の前には、小学生時代の自分が。 なんと「赤の他人」として10年前にタイムスリップしてしまった……! 大人びた優等生のクラスメイト・渡来凛、いつも一緒だった友達の飯塚正人と田島拓郎。 その中にあって小学生時代の自分を客観的に見つめる和也。 果たして和也は自分の身に起こった、この奇妙な奇跡とどう向き合っていくのか? デビュー作『晴れ、時々くらげを呼ぶ』が4刷の大反響、鯨井あめが紡ぐ最新作!
うまくて、泣ける。 子ども食堂を取り巻くひとたちの生きづらさと希望を描く、老若男女群像劇。 「この本は私にホッとする明かりを灯してくれました。子ども食堂は人の数だけ人生があり、その人生がつながっていく場所。分断を迫られている今、ぜひこの本を読んでもらいたいです。私はもう続編を期待しています」--はるな愛 午後5時開店、午後8時閉店。 亡き夫との思い出をきっかけに松井波子が開いた「クロード子ども食堂」。 スタッフは、夫とうまくいかない近所の主婦や、就活のアピール目的の大学生。 お客さんは、デートに向かうお母さんに置いていかれる小学生や、 娘と絶縁し孤独に暮らすおじいさん。 みんないろいろあるけれど、あたたかいごはんを食べれば、きっと元気になれるはず。 やさしくって、おいしくって、心にしみる。 子どもも大人もお年寄りも、みんなまとめていらっしゃい。 午後四時 こんにちは 松井波子 午後四時半 おつかれさま 木戸凪穂 午後五時 いただきます 森下牧斗 午後五時半 ごちそうさま 岡田千亜 午後五十五分 お元気で 白岩鈴彦 午後六時 さようなら 森下貴紗 午後六時半 ごめんなさい 松井航大 午後七時 ありがとう 石上久恵 午後七時半 また明日 宮本良作 午後八時 初めまして 松井波子
太平洋戦争のさなかに書かれた一家族の物語 「中隊長殿……いっぱい、いかがでありますか」伸太郎は腰の瓢箪をとった。微笑をふくんでさしだした。別盃のつもりであった。 「ありがとう」礼三はうけとって、瓢箪に口をつけたーー。 とある商家・高木家の三代目・伸太郎は、初代・友之丞から受け継いだ乃木希典の赤瓢箪を懐に、中国戦線からフィリピンへと転戦。そこへ偶然にも養子に出ていた実弟の礼三が上官として赴任してくる。久しぶりの再会を喜び合う二人だが、間もなく米軍との戦闘は激しさを増していき……。 自らの戦争体験や従軍作家としての経験を生かして、末端の兵士の姿を活写した戦争文学の極致。
1986年以降に発表された10作品を収録する“無頼派作家”最晩年の短編小説集。作者以上の無頼派である棋士・芹沢博文との交流と最期を綴った「男の花道」、中年男が嫁探しをする悲喜劇「男の十字路」、あるいは亡くなり、あるいは落ちぶれてしまったかつてのギャンブル仲間の姿を描いた「男の旅路」、無口だが芯のある男らしい男を描出した遺作「オールドボーイ」といった“男シリーズ”のほか、単行本未収録作品である「赤い靴」「青年」「蜘蛛太夫」「道路の虹」などをまとめた、色川ファン垂涎の一冊。
元自衛官の村主は、残虐な殺人事件により恋人の雪乃とその家族を失った。犯人は二十歳の男で、危険運転を咎められたゆえの身勝手な犯行だった。村主の怒りは、犯人、その妻、そして彼らの一歳の息子へと向けられる。第5回草思社・文芸社W出版賞金賞受賞作品。
過去のトラウマでお菓子と男性に恐怖を覚える華乃子は、なぜか甘党である上司、高倉恭平のスイーツ巡りにリハビリ代わりに付き合うことに。彼だけは一緒にいても怖さを感じず、お菓子も美味しく食べられる。どんどん恭平に惹かれていく華乃子。「すごく綺麗だ。真っ白で、柔らかそうで」過去と向き合うと決めた彼女を恭平は甘〜く溺愛してきて…!?
信州から満州、明治から今日までを舞台に、戦争と激動の時を越え、愛と不屈の精神が織りなす人間讃歌。そして今、若者たちの「武器よさらば!」の歌声が響く。元特攻志願少年、米寿を迎える著者渾身の「遺言書」。
現代日本の「子どもの文学」をいろどった作家、作品の魅力を探る、第二弾! 石井桃子、宮沢賢治、金子みすゞから、打木村治、詩人の永瀬清子、絵本作家の中谷千代子、赤羽末吉、林明子、ベートーヴェンの伝記まで、作家と作品を幅広く紹介。 また、「動物」を切り口にした独自の視点での作品論も自由に展開! * * * この本は現代日本児童文学への視点を示したものです。まず石井桃子、そして宮沢賢治、金子みすゞへとやや広がって行き、さらに詩人の永瀬清子、小説家の打木村治へと広がって行きます。児童文学論の本になぜ永瀬や打木を取り上げるのかと不思議に思う人がいるかもしれません。打木は調べればわかります。永瀬は詩人ですが、この本で述べることは彼女の詩の中に児童文学的要素が色濃くあるからです。 終わりは二本。ベートーヴェンについての伝記二冊、そして馬に関する絵本を数冊取り上げています。児童文学に関わりをもって長い間過ごしてきたわたくしは、人間よりも動物の方に興味関心を持つようになりました。 まずは猫です。漱石の『吾輩は猫である』ではありません。石井桃子の『山のトムさん』です。そして、『おひとよしのりゅう』の竜です。『なめとこ山の熊』の熊です。最後の第十一章に出てくる三匹の馬です。動物の登場するこれらの作品を読んでいたら、児童文学とは子どもばかりが登場する作品ではなく、動物の好きな大人読者が夢中になる「動物主体の作品」なのかなと思うようになりました。 石井桃子の『山のトムさん』を読んでいると、まさに猫好きになります。それから、第五章の中谷千代子の絵本『くいしんぼうのはなこさん』の文章は石井桃子が書いています。牛のハナコは大威張りのわんぱく娘で、とても愉快です。そして、宮沢賢治の『なめとこ山の熊』は母熊と子熊のほのぼのとした風景を浮かび上がらせますし、片や金子みすゞの詩「町の馬」は叱られ叱られ荷物のお魚を曳いて町へ帰って行きます。 ベートーヴェンの伝記が出てくるのは突発的で、まさに火山の噴火が起きたようで読者は「あれっ!」と驚くでしょう。読者の皆さんも大好きな音楽家の話です。ベートーヴェンの音楽はよく聴くが、彼の伝記は知らないという子どもがいるのではないでしょうか。そのためにこの本でベートーヴェンの生涯を学んでください。 最終は馬に関する絵本のことです。堀内誠一の馬の絵本は「まぼろしの絵本」です。いったい、どのようなものでしょうか? 期待を込めてぜひ、この本を読んでください。そうすると、「まぼろしの馬」が皆さんの夢の中にきっと出てくるでしょう。 (「はじめに」より) * * *