2021年8月発売
お下がりのウエディングドレスをまとい、ザラは祭壇に向かっていた。 こんなのってないわ……美しい姉の身代わりに花嫁になるなんて。 気まぐれでわがままな姉は、挙式当日に姿をくらましたのだ。 結婚相手は、見も知らぬ億万長者、チェイス・ウィテカー。 祭壇の前で待つ彼の、空のように青く美しい瞳も、 新婦が別人とわかれば、怒りの炎を燃やすにちがいないわ。 それでも、この政略結婚を悲願とする父の命に背くことなどできず、 ザラは震えながら新郎のもとへ一歩一歩進んでいった。 ところが、チェイスは花嫁のすり替えに気づいても無言を貫き、 それどころか、あまりにも情熱的な誓いのキスをしてきて……。 幼い頃からつねに美しい姉と比較され、日陰で生きてきたザラは、これまでずっと父にとって期待はずれの娘でした。そんな彼女が突如結婚することになったチェイスには、“道具”として花嫁を利用するある思惑があり……。内気で心優しいザラの運命は!?
恋人はおろか、愛人にもなれない。 ましてや、彼の妻になど。 家庭教師のフランシスは自らを戒めていた。彼に惹かれてはいけない。 初仕事として派遣されたのは、遠く離れたスコットランドの領主の館。 主であるラクランに、ロンドン社交界の作法を教えることだった。 伯爵令嬢の婚約者がいながら、貴族のしきたりには無関心な彼を、 ダンスや求愛のレッスンを通して完璧な紳士に仕立てあげるのだ。 若い女教師の指図などおとなしく聞くはずもない傲慢な領主は、 フランシスと踊りながらも投げやりで、誘惑的な冗談でからかってくる。 野性的な美貌を持つこの男性に、軟弱なワルツなど似合わないーー 彼には、情熱的な愛こそふさわしい。握られた手を強く意識しながら、 フランシスの胸は疼いた。それを私が知ることは、決してないけれど。 ミシェル・ウィリンガムのすばらしいデビュー作をお届けします! 悲しい過去を乗り越えるため、男爵の娘ながら家庭教師として身を立てる健気なヒロインと、氏族のために伯爵令嬢を妻に迎えることが決まっている領主の許されぬ愛。圧巻の読み応えをお約束します。
18世紀ベネチア。街じゅうが祭り気分に浮かれるこの地に、母を捨てた父を捜しにやってきた17歳のキアラ。手持ちの金が乏しくなり、やむなく得意の占いで小銭を稼いでいると、怪しげな男たちにつかまって賭博の館へと連れ去られてしまった。そこで奴隷として扱われ、占いのみならず夜伽まで強いられそうになり、キアラは絶体絶命の窮地に陥った。彼女が館から逃げようとしたとき、一人のベネチア貴族が目に留まったー彼は、妹を手籠めにした悪魔!しかし、抗いがたい魅力で人を虜にするその美男ルカは光にあふれ、なぜかその背後に見える黒い幻に邪悪なオーラが取り巻いて見える。ルカが言った。「ぼくがその娘を買おう。美しい女の奴隷を」
日本に忍び寄る西洋列強の影。そして一大州構想「ホルチスヤマト」とは。洋学が解禁され始めた時代、国内外に噴出する矛盾と危機感。長崎、江戸、京、対馬を舞台に、直面する様々な難題に立ち向う人々の姿を描いた異色歴史小説。日本の近代化に大きく貢献したオランダ通詞や蘭学者たちの活躍を新たな視点で描く連作長篇小説の第二弾。
ギルドを追い出されたガニアンだったが、貴族令嬢ラフィーの誘いに乗って、新天地で新たな研究を始めた。これまでに溜まったアイデアをすべてつぎ込むことで、画期的な魔石の精製法に辿り着く。ラフィーだけでなく、ご奉仕大好きな美女たちと共に、ギルドの成長とハーレムを楽しむことに!
ー敗戦から戦後七十年まで激動の時代を生きた一人の人間の歩みー 本書は、著者が今まで詠んだ短歌や団体の会報などに寄稿したエッセイをまとめた「歌文集」である。日常生活を記録するように詠まれた短歌は旅行や家族が主なテーマとなっている。また後半はエッセイが記されており、高校時代の校友会誌への寄稿に始まり、同窓会の会報、機関誌への発表作、サラリーマン生活の回顧と、その時代を生きた当時の著者の言葉で書かれている。熱を持ち、訴えかけるその言葉に時の重みを感じる一冊である。 【著者紹介】 岡村隆臣(おかむら・たかおみ)
[商品について] ー馬に引かれて巡る追憶の町ー かつて、田名部の人々の大事な交通手段であった軌道馬車。 鉄道が機械化され、その姿が見られなくなっても、田名部の人々の心には残り続けている。 本書は、田名部の地で生まれ育った著者が、追憶の中の軌道馬車に乗り、時をさかのぼって古き町と人の景色をよみがえらせる昔語りである。 心地よい蹄の音と共に昔日の軌道馬車に思いを馳せ、ゆったりと流れる歴史の風景をぜひお楽しみいただきたい。 「目次] まえがき 道 順 柳町出発・地蔵町 北柳町 南柳町 南柳町 御役所辻 田町通 北本町 本町辻 明神町(田名部神社) 新開地(常念寺) 本町辻(西側) 大川橋辻 本町辻(東側) 大川橋辻 横町 迎町 迎町橋 大川橋辻 大川橋から大橋へ・古新町 古新町辻(圓通寺) 古新町辻(徳玄寺) 海老川辻・海老川町 日新町・旧海老川町 苫部野・金曲 苫部野・大曲 御役所・辻城内 大構 城内(西側) 城内(東側) 上小川町 中小川町 赤平・大平道 万人堂 古舘・代官所 神宮寺 愛宕宮 田名部の火災の歴史 参考文献 あとがき [出版社からのコメント] スピードと効率が重視される現代社会で、私たちは機械のリズムで生きています。しかし時には、人の本来のリズムの中で、ゆったりと生きてみたいと思うこともあるでしょう。本書の軌道馬車は、まさにそんな時代を人と共に歩んできた乗り物です。想像の翼を広げて、このくつろぎの旅の時間をお楽しみいただければ嬉しく思います。 【著者紹介】 川嶌 柳三(かわしま・りゅうぞう)
フリーの観光ガイド佐抜克郎は、外務省関係者から東南アジアの小国“ベサール”の王子を捜してほしいと依頼を受ける。軍事クーデターをきっかけに王族の一部が日本に逃れていたのだ。佐抜はあがり症だが、ベサール語という特技があった。相棒として紹介された元女子プロレスラーのヒナとともに、佐抜は王子の行方を求めて多国籍の外国人が暮らす「アジア団地」に足を踏み入れる。ベサールの民主化を警戒する外国勢力や日和見を決め込む外務省に翻弄されながらも、佐抜は大きな決断の舞台に近づいてゆくー。
唯一無二のホラー漫画家・楳図かずおを特集! 「恐怖漫画」の第一人者として他の追随を許さない漫画家・楳図かずおは、一九五五年に貸本漫画家としてデビューする。 六一年に短篇「口が耳までさける時」を発表して以降、次々にホラー漫画を世に送り出し、読者の背筋を凍りつかせた。 ストイックに恐怖を追求する作風は、漫画にとどまらずジャンルを超えた表現者に多大な影響を与えている。 九五年に完結した『14歳』以降、漫画執筆を休止しているものの、色あせない楳図作品は新たな読者を惹きつけ続けているのだ。 そしてこの度、初期名作を一気に味わえるホラーシリーズ「こわい本」が角川ホラー文庫から刊行開始された。 唯一無二の恐怖世界を御堪能あれ! 強力な連載陣もお見逃しなく! ●特集 楳図かずおホラーワールド 【インタビュー】激白! 楳図かずおインタビュー「楳図式ホラーの流儀」 【漫画】復刻! 「のろいの面」楳図かずお 【告知】注目! 「こわい本」刊行開始! 【寄稿】耽溺! 楳図ファンが選ぶ戦慄の一作 伊藤潤二、大槻ケンヂ、小野不由美、片岡愛之助、児嶋都、近藤ようこ、高橋葉介、ピエール瀧、ヒグチユウコ、諸星大二郎 【コラム】仰天! 楳図かずおの軌跡 【コラム】熱唱! UMEZZレコードガイド 【コラム】堪能! UMEZZ映像作品ガイド 【エッセイ】熱愛! 綾辻行人「今さら「ラブレター」なんて……」 ●小説 京極夏彦、小野不由美、有栖川有栖、山白朝子、澤村伊智、近藤史恵 ●漫画 諸星大二郎、高橋葉介、押切蓮介 ●論考/エッセイ/インタビュー 京極夏彦、荒俣宏、東雅夫、加門七海、村上健司&多田克己、鈴木優作 ●グラビア げみ、芳賀日出男、佐藤健寿、怪食巡礼 ●怪談実話 岩井志麻子、牛抱せん夏、しのはら史絵 ●お化け友の会ひろば ナカニシア由ミ、伊藤慎吾、河野隼也、岩名謙太、Apsu Shusei etc……
仕事を辞め、慣れない育児に奮闘する暁彦は、“ママじゃない”ことに限界を感じていた。そんなとき拠り所になったのが、ある育児ブログだった。育児テクニックをそこから次々取り入れる暁彦だが、妻はそれがつらいと言い…。(「わたれない」)。私たちに降りかかる「らしさ」の呪いを断ち切り、先へと進む勇気をくれる珠玉の四篇。
大戦前夜の満洲、元陸軍中将の屋敷、連続毒殺事件、「三つの太陽」、岸信介の野望ーー。 デビュー作『刀と傘』で、「ミステリが読みたい!2020年版」第1位&本格ミステリ大賞受賞! ホワイダニットの名手が贈る、昭和史×本格ミステリ! 【あらすじ】 ここは夢の楽土か、煉獄かーー。 1938年、革新官僚・岸信介の秘書が急死した。秘書は元陸軍中将・小柳津義稙の孫娘の婚約者で、小柳津邸での晩餐会で毒を盛られた疑いがあった。岸に真相究明を依頼された私立探偵・月寒三四郎は調査に乗り出すが、初対面だった秘書と参加者たちの間に因縁は見つからない。さらに、義稙宛に古い銃弾と『三つの太陽を覚へてゐるか』と書かれた脅迫状が届いていたことが分かり……。次第に月寒は、満洲の闇に足を踏み入れる。
マリが働き始めた旅館で金塊をめぐる怪しい動きが!?(「湖の底の金塊」)。「小箱」を届けるだけの楽なお仕事のはずが怪しい男に追いかけられて(「危険を運ぶ道」)。父親を捜す少女を手伝うことになったマリとポチ。調査中に死体を発見!?(「絆はどこに行った」)。病院の検査結果を待つマリとポチ。誘拐事件に、拳銃発砲…行く先々で事件に遭遇!?(「5時から7時までのマリとポチ」)。一組の男女の身分差の恋に巻き込まれてしまいー(「華やかな死神」)。マリがなりゆきで参加したオーディションで、殺人未遂事件が発生!?(「天使に賭けた命」)。天使のマリと悪魔のポチ、ふたりの珍道中は続く。
グロテスクなのになぜか心地いい。 酒テロクリエイターとして名を馳せる著者が稀有な発想力を見せつける! 初の短編小説集。 人間関係や恋愛関係。小さな困難が積み重なり、複雑に絡まり合い、いつの間にかがんじがらめになる……そんな難しさや不確かさ、孤独や絶望なんとか乗り越えているすべての方に、心地よいほろ酔いを届けます。 既婚者との関係から抜け出せない女性を救い出すために、一本の口紅が取った驚きの方法とは?(「口紅の弾丸」) ミニマリストを極めすぎた男、全てを捨てて、最後に捨てたものとは?(「 」)。 地下アイドルとして奮闘する少女を守り支える、くまのぬいぐるみの不思議な力とは? (「くまのくぅーちゃん」) 嵐の夜、偶然知ってしまった酒の味。酒を求めて人間になることを決意し、裏切りを重ねた人魚がたどり着く未来とは? (酒に溺れた人魚姫、海の仲間を食い散らかす) 最後のどんでん返しに息を呑む! 「まさかこんな展開になるなんて!」と、新鮮な驚きに包まれる! 日々の痛みを和らげる「お酒」のような恍惚と同時に、酔いが醒めたときの筋肉痛や頭痛のような痛み、それでも現実に立ち向かう一人ひとりへのエールのような余韻が残ります。 深夜のOL牛丼/フラワーボーイ/口紅の弾丸/本当にあったビデオカメラ/酒に溺れた人魚姫、海の仲間を食い散らかす/あの頃のクリームソーダ/外の世界を知らない猫 etc.
神都ディルアーゼルを支配下に置いた魔物国家エステルドバロニア。未だ残る多くの問題に頭を悩ませていた人間の王カロンのもとに、リフェリス王国より使者が神都にやって来るという報告が上がってくる。 配下のフィルミリアを使って王国との関係性を構築する策を進めていたのだが、カロンはこの世界特有の病に罹り臥せってしまう。そして魔物たちがカロンの身を案じる中、"晦冥白狐"梔子姫が治療のためにと独断でカロンを連れ去ってしまうのだった! カロンと梔子姫が行方不明になり、エステルドバロニア内部が混乱する一方で王国からは勇者の血を引く騎士ミラ・サイファーが神都に向かってきてーー!?
ケーナとオプスはそれぞれの従者達と辺境の村で安らかなひとときを楽しんでいた。ある時、ケーナは【対の瞳】という片方の眼球に見せた光景をもう一つの眼球の所持者に見せるアイテムをパワーアップさせ、より多くの村人たちに遠くの風景と音を届けようと思い立つ。 そのための専用オプションを探すため、オプス、サイレンと共にかつての仲間たちが遺した"守護者の塔"を巡っていくのだがーー。 200年後から始まるエルフの伝説、第7弾!!