2021年9月1日発売
一人で暮らしはじめて、私はやっと私になれた。“しゃもじ”“コーヒー”“アボカド”…。身の回りにあるモノをみつめれば、自分をもっと好きになる。韓国で爆発的人気のイラスト“モノ”エッセイ!
アメリカを捨て日本に移り住んだ作家は、故国に残した母の死を抱えて中国の最果て、チベット高原へと赴く。一千年の祈りの地でたどる、死と再生の旅。言葉と記憶が響きあう、越境文学の達成。国と国、言葉と言葉の“間”を旅する作家がたどりついた世界の臨界点。
夢の世界「表象の森」に佇む妖しげな宿。たまたま1泊だけのつもりの旅籠になぜか連泊することになり、やがて私は…今と昔が交錯する空間で様々な幻影や鬼面たちが記憶の「思い」に語りかける幻象妖惑小説。
父子二代の記憶へ漕ぎ出す鮮烈な長篇デビュー作 台湾を代表する作家であり、世界的に注目を集める作家・呉明益の長篇デビュー作の待望の邦訳。のちに『自転車泥棒』や『歩道橋の魔術師』にもつながる原初の物語である。 台北で暮らすフリーライターの「ぼく」は、数十年に一度と言われる竹の開花を見るために陽明山に登るが、その日から睡眠のリズムに異常が起きていることに気づく。睡眠の異常に悩む「ぼく」の意識は、やがて太平洋戦争末期に神奈川県の高座海軍工廠に少年工として13歳で渡り、日本軍の戦闘機製造に従事した父・三郎の人生を追憶していく。戦後の三郎は、海軍工廠で働いた影響から難聴を患いながらも、台北に建設された中華商場で修理工として寡黙に生活を送っていた。中華商場での思い出やそこでの父の姿を振り返りながら「ぼく」は睡眠の異常の原因を探るために日本へ行くことを決意し、沈黙の下に埋もれた三郎の過去を掘り起こしていく。三郎が暮らした海軍工廠の宿舎には、勤労動員された平岡君(三島由紀夫)もいて、三郎たちにギリシア神話や自作の物語を話して聞かせるなど兄のように慕われていたが、やがて彼らは玉音放送を聴くことになるのだったーー。