2021年発売
薬屋を営む娘、シルル=ベディートには、他人の頭上にいろんな色の線が見えている。 それを見ればその人の気持ちも未来も知ることができる。白い髪に赤い目という容姿も相まって町で噂の「占い師」扱いされることも多い。だから、巷で一番の美男子で恋多き男、『花の騎士』と謳われるエクトル=アルデルデが、『蝶々さん』と呼ぶ彼の取り巻きの誰にも、実は恋などしていないこと、それどころか女嫌いであるらしいということを知っている。ところが、偶然彼の頭上に不吉な色を見てしまい、思わず助けたことから興味を持たれてしまい、エクトルがシルルの店にお忍びで通ってくるようになる。華やかな顔の陰で、エクトルが実は大きな秘密を抱えていることを知ってしまったシルルは、ある事情により他人と距離を取って生きてきたにも関わらず興味を覚え始める。そんなある日、エクトルの頭上に“恋”の色を見つけてしまう。しかもそれはーー。 占い師と麗しき騎士の不器用な “初恋”ファンタジー!
モノローグテキストとイラストでニジガクメンバーの日常を描写。フォトエッセイシリーズ第2弾。
行き場のない少女は、カーテン越しに世界に触れる。デビュー作『祐介』以来、4年半ぶり初の文芸誌掲載中篇。小学校でも友だちをつくれず、居場所のない少女は、母親の勤めるマッサージ店の片隅で息を潜めている。お客さんの「こわれたところを直している」お母さんは、日に日に苦しそうになっていく。カーテンの向こうの母親が見えない。少女は願う。「もうこれ以上お母さんの変がどこにも行かないように」。
大河ドラマ「青天を衝け」完全小説版、渋沢栄一の青春時代を描く第1巻いよいよ刊行! 「虐げられる身分のままでは終われない。俺は、武士になる!」 武蔵国血洗島村(現・埼玉県深谷市)、藍染めの原料となる藍玉作りと養蚕を営む富農の家に生まれた主人公・渋沢栄一は、頭の回転は早いが、大人や権力に物おじしない“やんちゃ坊主”に育つ。商才に長けた父の背中に学び、商売のおもしろさに目覚めていく栄一だったが、17歳の頃、人生を変える最初の事件が起こるーー。 幕末から明治へ、時代に翻弄され挫折を繰り返しながらも、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢栄一の、熱き青春の日々がここに始まる!
そこは、「常識」という名の数多のルールに縛られた世界。いつだって真面目に、謙虚に、礼儀正しく、愛と思いやりの心をもたなければならないーそんな面倒な「人間の世界」に誤って生まれてしまった、不運な受精卵。人として生きるものの、的外れで常識がなく、型にはまらない彼らは、「大人」になりきれず、そもそも「こども」の域にも達することができない、「受精卵」レベルの未熟な人間ー。そんな彼らの奇妙な巡り合わせを、アイロニックに鮮やかなタッチで描き出す痛快ドラマ。
「因果」は連鎖し、「狂気」は増殖する。日常に潜む非日常への扉を開く奇妙でシュールな短編小説3篇。-あの時のお金だ!実家の古いタンスの裏から手に入れた大金をきっかけに、小さな善意が思わぬ運命をもたらしていく。(『ホースディアーだけのチケット』)毎日どこかで、「だれか」が「だれか」に殺されるー。「悪意」がもたらす不幸の連鎖。(『間接殺人』)とある寂れた町のレストラン。だれもが絶賛する味の秘密が明かされるや、町中が戦慄するーあなたの周り、最近妙に穏やかではありませんか?(『ホシのレストラン』)
霧の中、家路を辿っていた仲間朋代は不穏な気配を感じ、逃げようとする。もうダメだと思った瞬間、偶然いあわせた亜由美の恋人、谷山によって助けられる。これをきっかけに朋代と谷山は急接近し、なんと結婚することに。失恋した亜由美は傷を癒そうと旅に出るが、そこでもトラブルに巻き込まれー。花嫁シリーズ第34弾。表題作のほか「カリスマ花嫁の誇り」収録。
妻に捨てられ子供を失い一人で暮らす老人のもとに、一匹の野良猫が現れた。病気を患う老人は医師の誤診を疑ったり、全快を期待しては落ち込む日々を繰り返す。行きつけの飲み屋で過ごす常連たちとの時間や心癒やされる猫との会話(?)を通して、年老いた男の心の内側を描いた物語。
魔境の森で突如見つかったアビスウォーカーなんとか倒したフリック達。冒険者ギルドから王国各地でアビスウォーカーの目撃情報あることを知った辺境伯ロイドはフリックに各地で目撃情報のあるアビスウォーカーの調査を依頼する。旅には辺境伯の娘で白金等級冒険者のノエリアとその従者スザーナも同行することに。フリック達はまず、目撃情報が一番新しい獣人が住む街インバハネスへ向かうことにーー。インバハネスへ向かっていると、怪我をして倒れている獣人を発見する。フリック達はその獣人を助け、一緒にインバハネスに到着したところでまさかの問題発生ーー!?そして、フリックのことが大好きなノエリアと過去の経験から女性と距離とっているフリックの関係に進展はあるのか!?「小説家になろう」発、恋の行方も気になる辺境冒険ファンタジー第2弾!
生まれ持つ紋章の優劣によって、一生の評価を左右される世界。そのなかで古くさい劣等紋を持ってしまったことで、ジェイドは生家の貴族家から見はなされたのだった。深い森にうち捨てられた彼だが、そこで幸運に恵まれる。その森は実は、歴史からはすっかり忘れられた、神々の住まう神域だったのだ。神に拾われ、その愛情を受けて育った彼は、充分な能力を持って成長することができた。そんな彼に、長老神からある仮題が出される。神々の中でも最も若い女神グルナとともに、人間社会を学んできてほしいというものだ。かつては多くの英雄たちを育てた神々も、平和な時代が続き、人間社会との接点を失いつつあった。だからこそ神々は、ジェイドに学園に入り、人間のことを学んできてほしいというのだ。ジェイドの姉を自称するグルナは、溺愛ともいえるほど可愛がってくれている。そんな彼女と一緒ならと入学を決め、ジェイドは初めて森の外へと旅立つのだった。国中の実力者が集まるという学園で冒険者を目指し、実力主義の授業をこなしていくジェイド。ひとなつっこい優等生のペルレや、彼に対抗意識を燃やすお嬢様ヴィリロスにも囲まれ始めると、グルナのエッチな導きもあって、いつのまにか学園生活はハーレム状態に!?
片山美沙は、海外日本人学校教師となった夫・翔一郎とともにその派遣先であるインドでの生活を始める。48℃を超える灼熱の夏、インド特有の常識や生活様式、日本人コミュニティ内での立ち振る舞いなど戸惑うことばかりだったが、同期の家族や、『赤毛のアン』を愛する一年先輩の北川怜子との交流をとおして美沙は少しずつこの地での暮らしを愉しんでいく。インドでの“日常”を一人の日本人女性の視点からリアルに描いた一冊。
就職を機に上京した橘子は良き先輩社員に恵まれ、消息不明だった幼馴染・清躬との再会も果たす。一方、清躬の戀人・紀理子は忽然と姿を消す。そして、橘子も謎の屋敷の者たちによって危機に陥る。「希望は蜘蛛の糸に過ぎない」と言われた橘子だったがー純真な魂を巡り策謀が渦巻く、長編ファンタジー前編。
“神秘”と呼ばれる少女を絵に描ける清躬は、その秘密を語る。その鍵を握っていたのは、幼馴染の橘子だった。謎のお屋敷では、盲目の少女たちを救い出そうと梛藝佐が動く。不可知、不可能を認めない男・神上がめぐらす策謀に、妹の詩真音もかかわるのだったがー若者や少女たちが新たな世界を開く、長編ファンタジー後編。