2022年10月19日発売
リモートワークを言い訳に引きこもっていた僕はある日、ずぶ濡れの女の子を拾った。1980年代からタイムスリップしてきたらしい彼女は、僕の大切な人の命を奪った少女誘拐事件に関係しているのか…。散りばめられた伏線が回収される時、現代と過去が繋がるー。時空を超えたミステリー!
印刷所の女工として働く23歳のハルは、路傍でキリスト教の伝道をする青年に出会い、信仰への道へ。彼こそ、のちに生涯の伴侶となる賀川豊彦だった。貧困、病気、暴力、人身売買…、神戸のスラム街で幾多の苦難に直面しながらも、豊彦とハルは貧しい人たちを支え続けた。二人の働きは、労働運動、協同組合運動、婦人解放運動、そして関東大震災での救援活動とつながり、時代のうねりを創り出すー。
親に偽装転入させられ、進学率の高いチョンミン洞の中学校に通うカンイ、裕福な家庭でモデルを目指すリーダー格のソヨン、チョンミン洞の貧民街に住むアラム。3人は家出を企て、ソウルに辿り着く。しかし、路上生活は厳しいもので、身も心も疲弊した少女たちは家に戻る。その後、自分が頂点に立つために人を貶めるソヨンの態度に、3人の関係は壊れていく。いじめは暴力にエスカレートし、やり場のない感情は暴走の果てにー格差、搾取など大人の加虐に晒されてきた少女たちは、痛ましい選択を繰り返す。最善を望んで最悪をたぐり寄せた、壮絶なる青春群像物語。第4回韓国文学トンネ大学小説賞受賞。
憧れの職場にいたのは、迷惑行為に無自覚な勘違い男。盗難騒ぎにストーカー、突き落とし。次々起こる事件を、コイツに解決できるはずがない!戦う女性に贈る、爽快ミステリ!
遠くない未来。残酷な格差と棄民により退嬰と衰亡に苦しむ、とある日本。瀬戸内の孤島にある「桜瀬女子高校」は今夜、伝統ある卒業の儀式を迎えていた。卒業生が夜を徹し友や海や孤島と語らう「卒業夜祭」の儀式を。真夜中の篝火と桜花の中、ひとり、またひとりと灯を掲げ校舎を離れゆく卒業生。だが校長と政府以外誰も知らない。この卒業夜祭の壮絶な真実を。卒業生のうち選ばれた7人だけが今夜、滅びゆく日本を、世界をそしてヒトを救う「侵略者」となることを。何も知らぬまま神と対峙させられる7人の少女らは、今夜を、世界を生き残ることができるのか?総伏線主義の正統派ロジック本格、至極の最終章。
埼玉県の大家族で育った日村天使は、生活保護を受け自堕落な生活を送ってきた。大家族ファミリーとしてテレビにも出ていたが、16歳で家を出て、大宮のキャバクラ「マヤカシ」に勤める。そこでビルのオーナー綾小路光子と知り合った。数年後、訳あり老人が長逗留する古びたビジネスホテルにひっそりと暮らす光子と再会する。天使は、投資家だという光子の指南で、生きるノウハウを学ぶことになるが…。
ある家庭教師の見た情景ー苛烈な家庭教育、歪んだ親子関係の実態を描く衝撃の家族小説。過熱する学歴社会に翻弄される親と子。教育の意味と本質を問いかける、台湾で大きな話題を呼んだベストセラー小説。
生きている安吾は、愉快で、切なくて、底知れない。心優しいガキ大将だった炳五少年が、いかにして作家坂口安吾となったか。Web連載「小説坂口炳五」に大幅増補、ビルドゥングス・ロマンの傑作誕生!
中には、見たこともないような鳥がいた。羽根はすべて純金で、目はろうそくの炎のようだ。「わが不死鳥だ」と、獣医は言った。「あまり近づかないようにな。凶暴なのだ」…「ルビーが詰まった脚」。競売で手に入れた書類箱には目に見えない仔犬の幽霊が入っていた。可愛い幽霊犬をめぐる心温まる話…「ハンブルパピー」。ガーディアン賞、エドガー賞受賞の著者による不気味で可愛い作品10編を収めた短編集。
魔を祓う力を持つ討魔師となった慶次は、恋人兼相棒の有生とバディを解消し、別々の相手と組んで仕事をする日々。だが2人の交際は順調で、人目を憚らずキスされたりとラブラブだけど、未だに慶次の家族の反対で同棲できない。ある日、慶次が憧れる有生の兄・耀司に子狼を預かってほしいと頼まれる。見習い眷属の子狼を全力子育てすることを約束した慶次。そして子育て中に慶次が新しい隣人と仲良くしていることが面白くない有生。そんな時、有生の能力が欲しい敵の一族の魔の手が…!?
第65回現代歌人協会賞を受賞した歌集『Lilith』など、そのみずみずしい才能でいま最も注目される歌人・作家、川野芽生。『無垢なる花たちのためのユートピア』以前の初期作品を中心に、「ねむらない樹」川野芽生特集で話題となった「蟲科病院」、書き下ろしの「天屍節」など全51編を収録した待望の初掌編集。