2022年10月発売
基礎魔法すら使えないという理由から、勇者パーティーを追放された魔術師のオリオン。途方にくれていたオリオンは偶然、魔物に襲われそうになっていた少女アリスを助ける。彼女は魔術の天才だと称されるほどの魔法使いであったが、彼女を助ける際にオリオンが放った魔法に圧倒され弟子入りを決意。戸惑うオリオンと行動をともにするのだった。一方、オリオンを追放した勇者パーティーは弱体化し没落をはじめるー。
観光で松本を訪れていた男が、泊まっている宿の名前も場所もわからないと、交番に保護された。自分の名前すら思い出せないという。その男に放火の容疑がかかった。市内の住宅街で白昼起こった火災現場近くの防犯カメラによく似た男が映っていたのだ。松本署・道原伝吉の捜査の結果、静岡市清水区に住む味川星之助と判明するが、味川は認知症を発症しており何も覚えていないという。やがて、日本平で味川の刺殺体が発見され、事件は予想外の展開を見せ始めた…。会心の書下し長篇旅情推理!
『五年の梅』で山本周五郎賞(2001年)『生きる』で直木三十五賞(02年)、『武家用心集』で中山義秀文学賞(04年)、『脊梁山脈』で大佛次郎賞(13年)、『太陽は気を失う』で芸術選奨文部科学大臣賞(16年)、『ロゴスの市』で島清恋愛文学賞を受賞(17年)など、幾多の文学賞を受賞した実力派の作家・乙川優三郎が、真っ向から挑む書くことをテーマに一人の男の魂の変遷を描く力作。 あまたの文学賞を受賞した作家が古稀を目前に挑んだ力作。テーマは書くことの意味。 書くことへの飽くなき飢えを貫いたひとりの男。昭和生まれの男が辿る平成、令和までの魂の変遷。コピーライター、作詞家、小説家へ、書くことのひりつくまでの希求は清々しくも感動的な物語となっている。 昭和三十年代、中央高速が走る信州の小さな街。野心を抱いた二人の青年は、上京を夢見る。畳屋のせがれ・相良は最初、広告代理店にもぐり込み、コピーライターとして、一歩を踏み出す。母子家庭の大庭は俳優を目指す。共同生活が始まり、大庭は俳優として屈指の劇団に合格。夢の実現への開始である。 相良は入社後10年、応募したコピーが宣伝会議賞を受賞した。コピーライターとして大きな賞もとったが、一行の表現からはみ出してしまう思いが募り、作詞の世界に自分の挑戦を見出す。そして、作詞の世界でも地歩を築きつつあったが、本や映画、ライブスポットに栄養補給を求めた。ハーフのジャズ歌手ロッティに恋し、結婚生活が始まった。 作詞家としても仕事に油の載ってきた時期、子どもが誕生し、命の連鎖を実感した。 しかし、妻のロッティが娘のジェニィを連れて母親の住む西海岸に出かけた不在時に大庭の元恋人陽子と再会。親密な関係が続いた。 やがて、娘のジェニィはロスに進学することになり、ロッティは、娘と一緒に暮らすという。離ればなれの家族の隙間を埋める愛は続くのか。 相良は妻と娘のジェニィの暮らすロスへ赴く。久しぶりに会った娘は美しく成長していたが、ロッティとの距離は埋まらないままだった。 作詞家から、小説へ創作の重点を移しつつあった頃、故郷の寺を継いだ友人・保科正道の訃報が届く。相良は小説が完成すると、宇田川陽子に送り、20年来のなじみのレストランで、向かい合う。陽子からの核心をついた感想は貴重なことばであった。 作詞家から作家へ、新人賞への応募から始めた。そして受賞、夢は…。
「すごいな、ラビ!新しい力を使えるようになったんだ」ダグラスが最盛期の力を取り戻したことに加え…養女のラビが魔法の特殊能力に目覚めた!?しかし、最強の親子を召し抱えようとするリース王国に軟禁されてしまう。自由な暮らしを望み固辞するダグラスだが、国王は諦めようとしない。「…俺とラビを引き離す、だと?」さらにラビが人質になる恐れまで出て、怒ったダグラスは行動を開始する。かつて交流した仲間の協力を得て、王宮中を巻き込んだ大脱走を敢行!!「ラビ、しっかり掴まっていてくれ!!」ダグラスとラビは、二人だけのスローライフを取り戻すことが出来るか?
恋の記憶、家族の記憶、残酷で美しい春の記憶。 ソ・ユミは、私たち自身の傷と記憶を呼び覚まし、 時の流れとは何かを伝えようとする。 私たちはいつだって、人生の新しい章を始められるのだ。 ーー櫻木みわ(小説家) 1970年代生まれの韓国女性作家、チョ・ナムジュ、ファン・ジョンウンなどと並び、 韓国文学界を背負う一人であるソ・ユミ、待望の初邦訳 2022年10月上旬全国書店にて発売予定。 <あらすじ> 末期がんで苦しむ母の看病、妻との離婚を目前にし、幼いころの父の死が亡霊のように付きまとうヨンム。夫とはすれ違い、愛を渇望するも満たされず、若い男とのひとときの恋に走るヨンムの妻・ヨジン。貧困の連鎖から逃れられず、社会に出てもバイトを転々とし、恋人との環境の違いに悩むヨンムの部下ソジョンの物語とが交錯する。 「甘ったるい春夜の空気を物悲しく」感じる人々のストーリーは不幸という共通分母の中で一つになり、三人の人物が感じる「静かにうごめく喪失感」が小説の根底に流れている。それぞれがその喪失感を乗り越え、成長していく四月の物語を、やさしい視点で描き出す。 <訳者あとがきより> 「連合ニュース」はこの小説を「成長の物語」と評し、毎日経済は「別れの傷を癒やす間、桜は散り、五月の新芽が出る。作家は『終わりはついにやってきた新しい始まり』だと淡々と証言するのだ」と解釈した。本書は別れと喪失の物語であると同時に希望の物語でもある。原書の解説で小説家イ・スンウはこう述べている。「『切られた傷の上に貼るバンドエイド』のような小説だ。(中略)本書は貧しく疎外された人々の悲惨な現実を暴露し、貧しさが世襲される資本主義社会の構造的矛盾を批判するために声を上げる代わりに、彼らが作り出すぎこちない笑顔に注目する」。誰もが経験する恋人との別れ、家族の闘病や死、そしてそれを乗り越えようと必死でほほ笑む人々の健気さに引き込まれてしまう。
十一代将軍家斉の徳川幕府爛熟の時世に、こともあろうに中山道の大宮宿に「ラスベガス」が出現した。公儀にとっては由々しき事態で、一刀流免許皆伝である青年旗本・桂主水介が歓楽の驕りを成敗するべく大宮宿に立ち向かった。
神域となった自宅で、隣神さんたちと田舎でのんびり暮らす楠木湊。またもや山神の気まぐれで、一足早めにお庭が夏仕様に。そこには大物神様までもがふらっと訪れてきて!?(もちろん、お土産持参で)力を遣って縮んだ山神を戻そうと奮闘したり、加護で宝くじを当ててしまったり、相変わらず騒がしくも楽し毎日です。さらに、山神のライバルー隣町の稲荷神社の天狐までもがやってきて…!?お隣のモフモフ神様とのスローライフ、第三弾!
少年時代へと“時魔術”でタイムリープし、幼馴染の少女二人の運命を救った世界最強の時魔術士・クロム。彼は次なる「やり直したい過去」のために、幼馴染のエルとともに王都へと向かう。そう、彼は未来の知識により既に知っていた。この王都に、未来を破滅に導いた元凶・『十二賢者』の一人が潜んでいることをー。その十二賢者の名は、メモリア・ロストメモリー。記憶を操る魔女。彼女のもたらす最悪の未来を回避すべく、未来の知識を活かして行動を開始するクロムだが…。「-クロム様。私のことは忘れてください」最悪の存在が、過去“未来”の最愛の女性だということを思い出したクロムはー。すべてを救うためにタイムリープした最強の魔術士は、『魔王』すらも救い出すのか?最強タイムリープ・ファンタジー、感動の第2弾!
絞章によって魔法の適性が決まる世界。神聖ルクシア帝国の第六皇子・アレクは七歳のとき、使えばたちまち悪魔になると言われている“闇魔法”の絞章を授かってしまう。周囲に蔑まれ、宮殿に引き篭るようになったアレクは人生の最期、一目見たいと“闇魔法”を使うが…。「俺は、悪魔にならないのか…?」アレクの絞章は、悪魔に身体を乗っ取られずに“闇魔法”を使うことができる特別な絞章だった!だが今更気づいてももう遅い…そう後悔しながらアレクは目を閉じー、目覚めると、七歳の自分に戻っていた!?「なら、やることはひとつ…この第二の人生で、“闇魔法”を極めるんだ!」あらゆる魔族を“闇魔法”で眷属にし、アレクはその最強の仲間とともに理想の国を作っていくー!嫌われ皇子による人生やりなおし・辺境開拓ファンタジー!
双六やカルタの製作販売会社・雀躍堂の前社長・戸山福太郎は、娘婿に社長を譲ってからも現役に固執して出勤し、誰彼かまわず捕まえては同じ手柄話をくり返す。彼の仲間も老害の人ばかり。素人俳句に下手な絵をそえた句集を配る吉田夫妻に、「死にたい死にたい」と言い続ける春子など、“老害五重奏”は絶好調。「もうやめてよッ」福太郎の娘・明代はある日、たまりかねて腹の中をぶちまけた。
大塩平八郎の乱で生存が不明だった格之進が、隠密廻り同心の亮之介とそっくりだったら…、そんな想像から生まれた物語。命を吹き込まれた登場人物たちの躍動感と息もつかせぬ展開に、いつしか筆者の創造した迫力ある世界に引き込まれていく。芸歴60年の役者、工藤堅太郎が描いた痛快時代小説!
愛と誓約の女神ヴィーシアに見守られし世界・ヴァイス。その世界で数々の国が乱立し、覇権を争っていた。その中の一つであるリデアが敗戦により、人質として敵国へ花嫁が送られた。その不遇な花嫁・ティナーリアは国民に憎まれ誰にも祝福されず、皇太子・キースファルトの妻となった。そんな過酷な状況の中でも、花嫁は夫のそばにいられることに幸せを感じていた。幼い頃、王女として生まれながら家族に使用人以下の扱いを受けていた彼女に、初めて笑いかけてくれた人だからーー…。しかし夫は昔の思い出も忘れた様子で、妻に「恋人がいる」と冷酷に言い放ちーー? コミカライズ「花嫁は一途に皇太子を愛す」が大ヒット中! 初恋の夫を健気に想い続ける花嫁、惹かれながらも立場上冷たい態度を取ることしかできない皇太子、周囲の策略に巻き込まれながらすれ違っていく二人の運命はーー。
ガダルカナル島上陸を果たした米海軍であったが、物資の揚陸作業の途中で、日本の駆逐艦により奇襲を受けてしまう。思わぬ妨害工作によって、島内の基地建設が進まずに苛立つ米海軍。そこへ日本海軍は追い討ちをかけるように、第七戦隊によるガダルカナル島への砲撃を開始する。潜水艦部隊が蠢動し、日米は互いに貴重な航空戦力をすり潰しながら、島をめぐる攻防戦は激化の一途をたどっていく。そんななか、ついに改造空母と新型戦闘爆撃機を擁する第一四航空戦隊に、ガダルカナル島奪取作戦の命令が下った。残存戦力を掻き集め、南洋の覇権をかけた日米の一大決戦の結末やいかに…!?