2022年11月16日発売
ガーナー郡に住む16歳のすべての少女は、危険な魔力を持つとされ、森の奥のキャンプへ一年間追放される。少女ティアニーが、謎に包まれた通過儀礼〈グレイス・イヤー〉でのサバイバルの果てに見た真実。『侍女の物語』×『蠅の王』のポスト・ディストピア小説
古書ディーラーのエメット・リーが、閉店する書店の在庫の山から偶然手にした詩集『時ありて』。凝った造本の古ぼけた詩集には、一枚の手紙が挟まれ、エジプトで書かれたと思われるその手紙には、第二次大戦下を生きた二人の男、トムとベンの人生の破片が刻まれていた。エメットはその手紙に隠された謎を追ううちに、二人の男の人生の迷宮を彷徨うことになる。英国SF界きっての技巧派として知られるマクドナルドが、歴史の襞に取り込まれた男たちの人生を綴った傑作。
オスマン帝国末期の1901年。東地中海に浮かぶミンゲル島では、ペスト流行の噂が囁かれていた。ペスト禍を抑え込むため皇帝アブデュルハミト二世の命で派遣された疫学者は、何者かの手によって惨殺される。代わりに送り込まれたヌーリー医師と、その妻、アブデュルハミト二世の姪にあたるパーキーゼ姫は、ペスト撲滅のために島に降り立つ。だが二人は秘密裡に、疫学者殺害の謎を解き明かす使命も負っていたー。トルコ初のノーベル文学賞作家、オルハン・パムクが、架空の島を舞台に人間と疫病との苛烈な闘いを克明に描く傑作歴史長篇、ついに開幕!
ミンゲル島では日に日にペスト感染が拡大し、島民は島から逃げ出そうとしていた。感染拡大を懸念し、海上封鎖を進める西欧列強諸国とイスタンブルの中央政府。そんな中、疫学者に続いて彼の助手までもが殺される。ますます孤立を深める島に取り残されてしまったパーキーゼ姫とヌーリー医師。二人が目撃する島の運命と、殺人事件の真犯人とはー?トルコ初のノーベル文学賞作家、オルハン・パムクが五年ぶりに放つ待望の新作!
医療テック企業、SME社が開発した脳内インプラント(テレパス)によって、介助用ロボットや仮想空間(Vバース)でのアバターの直接操作が可能となり、身体障害者の活動範囲が大幅に拡大した近未来。事故で脊髄を損傷しテレパスユーザーとなった脳神経外科医の牧野は、かつての恩師で、現在は同社の役員である森園からオペの代理執刀の依頼を受ける。記憶と視覚を失った少女エリカに視覚再建装置を埋め込む手術は無事成功したはずだったが、術後エリカは謎の黒い影の幻に脅かされるようになる。そして院内では新たな事件が起こり、経営陣の一人が犠牲に…。仮想と現実のはざまで少女を翻弄する幻影の、その驚愕の正体とは!?第12回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。
クリスマスにはクリスティーを! ミステリの女王アガサ・クリスティーが描く、冬にぴったりな短篇を集めた珠玉のアンソロジーが装いも新たに登場。本が好きな人に贈るクリスマス・プレゼントとして、そして自分へのご褒美としてもぴったりの豪華な函入り本。
二〇世紀半ば、複雑な国際情勢下で、日本の地位と繁栄は脅かされていた。国の安全を確保しようともがけばもがくほど、平和と安定が蝕まれていく矛盾。その中で男たちは一隻の戦艦に国の未来を託そうと考えた。その艦の名は『大和』。追い込まれるように独伊と同盟を結んだ日本は対米英戦に突入する。それは無謀な戦いだったのか?「負ける覚悟があるのか?だからこそ、勝つためになにをするか、そこに全力を尽くすのが我々軍人の使命だ」悲運の艦に関わった男たちの知られざるドラマ。その生きざま、覚悟、執念、一人ではどうにもできない歴史という潮流、そこに流れた涙と悲哀、絶叫を知る時、ノベルス界に新風が吹き込む。