2022年12月19日発売
大正七年の秋、与謝野晶子は大阪で宙に浮かんでいた。夫である鉄幹と共に通天閣の足元に広がる遊園地「ルナパーク」を訪れたものの、夫の言葉に血がのぼり彼を置き去りにひとりでロープウェーに乗ったのだ。電飾まぶしい遊園地を見下ろし、夫婦というものの不確かさを嘆く晶子。そのとき突然ロープウェーが止まり、空中で動かなくなって……。(「夫婦たちの新世界」) 遠野には河童や山男など不思議なものがたくさん潜んでいるという。隣村を目指して朝もやの中を歩いていた花子は、「くらすとでるま…」という不思議な声を聞く。辺りを見回すと、そこには真っ赤な顔の老人がいた。かつて聞いたむかしばなしに出て来る天狗そっくりの老人から逃げ出そうとする花子だったが、今度は黒い頭巾に黒い蓑をまとった怪しい男から「面白い話を聞かせてくれないか」と尋ねられ……。(「遠野はまだ朝もやの中」) ほか全8篇。 カリーの香る探偵譚 野口英世の娘 名作の生まれる夜 都の西北、別れの歌 夫婦たちの新世界 渋谷駅の共犯者 遠野はまだ朝もやの中 姉さま人形八景
大人気短編小説集の第3弾! 杜王町在住の人気漫画家・岸辺露伴。リアリティには徹底的にこだわり、妥協なき漫画制作に取り組む男が遭遇する数々の奇譚とは……!? 最上の音楽を見出そうとした男の末路(「黄金のメロディ」。実写化を許諾したが故に起こる悲劇(「原作者 岸辺露伴」)。毎年六月に住人が蒸発する家(「5LDK〇〇つき」)。 3つの物語を収録した小説集。 【著者略歴】 荒木飛呂彦(あらき・ひろひこ) 第20回手塚賞に『武装ポーカー』で準入選し、同作で週刊少年ジャンプにてデビュー。1987年から連載を開始した『ジョジョの奇妙な冒険』は、圧倒的な人気を博している。 北國ばらっど(きたぐに・ばらっど) 第13回スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞受賞。既刊に『アプリコット・レッド』、『僕らはリア充なのでオタクな過去などありません(大嘘)』など。ノベライズ担当作品に「くしゃがら」(『岸辺露伴は叫ばない 短編小説集』収録)、『呪術廻戦 逝く夏と還る秋』など。
現役をリタイアした技術者である浅野・佐藤・林の三人は、農業・漁業・林業のスマート基盤を整備するため過疎の離島に渡る。地域経済の自立化を目指す実証実験は順調に進むが、台風とともに突然船団が襲い掛かる。先端技術を駆使して立ち向かうが。先端技術の時代でも守るべきものは何か人生の郷愁の中で問い続ける近未来SF小説。
都心の古ぼけた団地で5歳上の姉・七海と暮らすみかげ。未来に希望が持てず「死」に惹かれる彼女の前に団地警備員を名乗る老人が現れ、日常は変わり始めていく。
差別が横行し分断化の進むアメリカで 一人の女性と一人のムスリム青年が出会った。 仕事と家庭の板挟みに苦しむ、 学者で妻で母のブルーナ42歳と、20歳の教え子。 彼らの誇りと情熱がすべてを覆す。 今を生きるあなたに贈る哲学的な物語 大学で政治学とグローバリズム論を講じながら子育てをするイタリア系女性講師ブルーナは、自立心が強く進歩的だ。しかし医師である夫もその両親も保守的で差別と偏見に満ちている。両親に逆らえない夫、性同一性障害の幼い息子、仕事と家庭の板挟みになるブルーナの人生が教え子のムスリム青年の出現で覆る。そして彼の突然のISISへの出立。人種差別、性差別、移民問題……分断された現代社会で生きる彼女の人生が、現代を生きる私たちすべての人生に重なり、訴えかけてくる傑作小説!
安倍晋三元首相暗殺を予言した小説 想像しうる最悪の未来。 「本当の本音を言うと、みんな戦争がやりたいのだ」 安倍晋三元首相を「お父さま」と慕う中野正彦ーー 過激で偏った思想を持った革命家気取りのテロリストが、 一発逆転、国家転覆を目論む。 「水道橋博士のメルマ旬報」連載時から物議を醸し、 大手出版社が刊行を躊躇った未完の小説が、大幅加筆のうえ完成。 ※本書のSNSへの転載を禁じます。 ※実在する人物、団体、出来事とは一切関係ありません。 高江ヘリパッド建設、日当二万円、放射脳、金正男暗殺、森友学園、共謀罪、特定秘密保護法、サタンの母、國民の創生、在日特権、慰安婦像、南京大虐殺、テロの経済学、山口二矢、よど号ハイジャック、朝鮮人虐殺、自己責任、内乱罪、非国民、核シェルター、金正恩、Jアラート、憲法改正、美しい日本の憲法をつくる国民の会、三島由紀夫、奔馬、加計学園、マスゴミ、原発再稼働、売国奴、少年B、朝鮮人虐殺、安重根、純日本人、忠臣蔵、ドナルド・トランプ、3・11、中野、大久保。 樋口毅宏 Takehiro Higuchi 1971年、東京都豊島区雑司ヶ谷生まれ。エロ本出版社勤務の後、2009年『さらば雑司ヶ谷』で小説家デビュー。小説作品に『日本のセックス』『民宿雪国』など。新書『タモリ論』がベストセラーに。『大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた 昭和40年代男子の思い出エッセイ』などがある。
新たな怪物『妖精王』と出会い、最強にして万能な支援術士の無双が加速する!!!! 『プレイヤー』の能力を完全解放し、ルーナという怪物を従え、王国の姫とも対等に話すことができる立場を手にしたソル。 しかし、ソルを狙った教会勢力の介入がさらに過激になることは明白だった。 そのため、より自由に迷宮へ挑めるようにと、さらなる力を求めて動き出したソルは禁忌領域へと足を踏み入れる。そうして最強の支援術師は、まるで何かに誘われるようにその少女と出会う。 『囚われの妖精王 アイナノア・ラ・アヴァリル』 ルーナに続く二人目の神話の怪物が、ソルを更なる最強へと導くーー 万能支援職が創る世界最強パーティーによる圧倒的無双ファンタジー、第二弾!!
「まず連合艦隊を解散せよ!」 ──米内光政海相の許しを得て、禅の修行に出た黒島亀人は、霊場・恐山にて神の啓示を授かる。その啓示とは、亡き山本権兵衛大将の慰霊が下したお告げであった。 折しも日中戦争が勃発。支那方面艦隊の増強を迫られた米内は、軍令部の求めに応じて連合艦隊を次第に縮小、ついにはお告げ通りにその解散に踏み切ったのだった! そして日米開戦の直前に“新たな連合艦隊”が結成され、開戦劈頭の「ハワイ奇襲」は勇壮な作戦に拡大。空母9隻を従えた戦艦「大和」が、ハワイからミッドウェイへと進撃し、キンメル太平洋艦隊を追い詰めてゆく──!!