2022年2月18日発売
「スイ子」こと山際彗子が故郷へ帰ってきた。太陽系の果ての星を探すため、手作りで天文台を建てるというのだ。彗子に協力することとなった種村久志ら旧友たちは、28年前の青春の日々に思いを馳せる。だが、やがて高校最後の夏の真実が明らかになり…。迷える大人たちは、切ない過去と、行き詰まった日常を乗り越え、再び前進することができるのか?
書店に勤めていた妹が、ビルから飛び降りた。相談したいことがあるとメールをしてきたその日に。結婚と同時に上京し平穏に暮らしていた姉・梢子は、妹の飛び降りの理由を探るため、実家に戻り同僚たちに会いに行く。妹を追い詰めたものはなんなのか?母の過剰な期待と父の無関心、同僚からぶつけられた心ない言葉、思うようにいかない恋愛…。妹の過去を辿ることは、梢子自身の傷に向き合うことでもあってー。
猫のまたぐらよりも暑い夏の日の午後、ヒョウアザラシのヒョーの誕生パーティーの只中に、マフィアのチェレンコフとその一味が銃殺された。ひとりのこされたヒョーはチェレンコフの亡霊に促され、アザラシ用ゴルフカートで町へと繰り出す。汚染された土地、プラスチックの雨、奇妙な人々、破壊された次の地球ー。ふくざつな世界の大きなかなしみをめぐる、比類なき物語。
ふだんは消防暑で待機して、緊急通報が入ると出動する。事故現場でトリアージを行ったり、余命を肉親に譲る場に臨んだり。国家資格者として憧れの的、聖職者とも呼ばれる保管士ーそれが私のプロフェッション。肉親を前にしても同じ処置を施す自信と誇りを持っている、そんな私の存在理由を覆すような異人が眼の前に現れた…。異色のファンタジー。
どんなふうに生きてもいいはず。私はひとりしかいないのだから。なのに、なぜ、こんなにも囚われてしまっているのだろうー美しい長女、知的な次女、風変わりな三女、年の離れた末妹。母と四姉妹はどう生きてきたか。家族のなかで自分を生き抜くための物語。
幼い頃から数奇な運命に弄ばれてきた雫。そんな彼女を側で支え、愛し続けた透。つらく苦しい数々の出来事を乗り越えて、永遠を誓った二人だったがー。衝撃の青春ミステリー。
女神様の懇願に負けて彼女がお気に入りのゲームを再現した世界に転生し、美少年リアンを名乗ることになった就活生の俺。途中退場する悪役令息キャラのリアンとして、未来の英雄アルフレドを英雄様として育てるためにゲームのシナリオに沿って導くのが俺の役目。…のハズが、カッコよく成長したアルフレドになぜか迫られ、その情熱的な愛の告白に、この世界のためにはその想いに応えてはいけないと分かっていても自分の気持ちも止められず、俺は身も心もすべて受け入れてしまった…。そんなシナリオとは異なる道を選んだ俺たちに、それでも村の“災役の日”は否応なしに近づいて…アルフレドと俺は定められた運命を変えられるのかー!?
『推理ストーリー』及び『推理』に発表されたままとなっていた単行本未収録短編十作を一挙集成!そのほか、“読者への挑戦”形式の掌編三作、オランダ旅行や身辺雑記を綴ったエッセイ八篇を加え、作家・飛鳥高が遺した文筆業の全貌に迫る。巻末には長女・吉本光歩氏の書下ろしエッセイ「父 飛鳥高」を収録。
◆1922年2月2日、ジョイス40歳の誕生日に『ユリシーズ』は出版された。最新研究を踏まえた7つの精選された論考により、世界文学の金字塔を気鋭の研究者が読み解く。植民地主義・文化・教育・世界大戦との関わりなど、ダブリンを舞台に新たな地平が開かれる。作品の構造・背景を知るための初心者向け27のコラムも充実。 ◆ジョイスほどにダブリンを愛し、街路の隅々までを精細に書き遺した作家はいない。ヨーロッパの西の果ての国の都市での、人びとの日常と出来事のたった一日の記述。作者だけでなく、何人もの登場人物が、今も確かにそこにうごき存在している。《世界と世紀の創生》でもあるような「ふしぎな規模」の実験文学を読み解く。 【主な目次】まえがき(吉川信)/序にかえてーー『ユリシーズ』とアイルランド自由国の誕生(横内一雄)/ジョイス『ユリシーズ』--各挿話のあらすじと解釈のポイント(各章執筆者分担)/第一章 手紙を読む/読まないブルームを読むーー『ユリシーズ』の手引きとしての手紙(小林広直)/第二章 階級の授業ーー『ユリシーズ』第二挿話における植民地教育と社会的分断(田多良俊樹)/第三章 第四挿話と腎臓を食らう男(桃尾美佳)/第四章 『ユリシーズ』と動物の痛みーーレオポルド・ブルームの優しさについて(南谷奉良)/第五章 「セイレン」・喫煙(スモーキング)・誘惑(セダクション)(平繁佳織)/第六章 泥、肉、糞ーー戦時小説としての『ユリシーズ』(横内一雄)/第七章 パラドクシスト・スティーヴンのシェイクスピア論ーー重力、今、可能態の詩学(金井嘉彦)/附編 『ユリシーズ』を読むための二十七項(各章執筆者+コラム執筆者[戸田勉・新井智也・湯田かよこ岩下いずみ・河原真也・田中恵理・山田久美子])/フォトエッセイ[各章末]/あとがき(金井嘉彦)/執筆者紹介/索引