小説むすび | 2022年2月28日発売

2022年2月28日発売

和らぎの国 小説・推古天皇和らぎの国 小説・推古天皇

【内容紹介】 今から1400年前、史上初の女性天皇が即位した。 聖徳太子を摂政に、初の成文法・十七条の憲法を制定。 豪族たちの対立を調停して国をまとめあげ、 大国・中国とは、対等の国として相対した。 神話から歴史に移る時代、この国の精神のなりたちに迫る歴史小説。 【出版社からのコメント】 『利生の人 尊氏と正成』で日経小説大賞を受賞した天津佳之氏の受賞第一作は6世紀末に即位した史上初の女性天皇、第33代、推古天皇を主人公に、この国の精神のなりたちに迫る野心的な作品。神代から始まる『古事記』はこの推古天皇の時代で終わっており、まさに日本が神話から歴史に移る時代の物語です。 「和を以て貴しと為す」初の成文法・十七条の憲法、「日出ずる国の天子、書を日没する処の天子に致す」との国書を中国の皇帝に捧げた初の遣隋使、氏姓によらない朝廷内の官僚の序列を初めて示した「冠位十二階」……朝廷が次々と国家体制を整える改革を断行したのは、推古天皇の御代でした。摂政・聖徳太子が主導し、政治を安定させるべく仏教の興隆を進めるなか、激動する東アジアとの関係を巡って生じた軋轢をも融和させる女帝の祈りに、人々は神代の昔から続く、この国に在る真心を見ました。和らぎの国とは、はたしてーー 奇しくも昨年2021年は聖徳太子の1400年忌にあたり、この作品にも登場する聖徳太子創建の法隆寺はじめゆかりの寺院で盛大な法要が営まれ、大阪と東京の美術館・博物館では聖徳太子をめぐる特別展覧会が開かれたばかり。本作には、聖徳太子の伝説をめぐる、あっと驚く仕掛けも隠されています。 壱 道を征く者たち 弐 すめらぎたる資格 参 厳しき法 四 久遠の祈り 終 母と子

あえて無能なフリをして王宮スローライフを堪能しよう!あえて無能なフリをして王宮スローライフを堪能しよう!

王国第二王子のティーリオは無能と呼ばれ、たいした期待もされない王宮生活に、それなりに満足していた。兄王子も健在であり、争いのない平和な時代だ。このままなら無事、苦労のない地位を維持できる。幼いころからずっと一緒で、面倒見のよいメイド姉のミリエもいてくれるから、それ以上の望みもない。大きな仕事はないが、騎士団での役職も無難にこなし、新しい補佐役となった女騎士グノシアとも、なんとかコミュニケーションできている。口の悪い貴族からは蔑まれても、まったく気にせず、我が道を進むナマケモノとして、理想の毎日だった。そんな彼に突然、縁談話が持ち上がる。王国が交流を再開したエルフ族からお嬢様を受け入れ、王子の許嫁とすることになったのだ。美しく、人間への好奇心旺盛な姫アマーベルは、エルフのなかでも変わり者らしい。魔術にも優れる彼女は、ティーリオに秘めたる力を感じて気に入るが、異種族婚は思いがけない波乱を呼んで…。愛する女性を護る、無能王子の真の実力とは!?

ビトナ ソウルの空の下でビトナ ソウルの空の下で

田舎町に魚売りの娘として生まれ、ソウルにわび住まいする大学生ビトナは、病を得て外出もままならない裕福な女性に、自らが作り出したいくつもの物語を語り聞かせる役目を得る。少女の物語は、そして二人の関係は、どこに辿り着くのかーー。 ノーベル文学賞作家が描く人間の生。  サロメは「キティの話をしてよ!」と言い、「そのあとは、チョさんの鳩の話の続きをお願いね」と付け加える。  彼女はお茶をちびちびと飲む。左手が震え、右手はもう何の役にも立たないのか膝に置かれたままだ。サロメはわたしが目を凝らしているのを見てとり、ただこう言った、「これがわたしには何よりも受けいれにくいのよ」彼女はちょっと顔をゆがめて何かおもしろいことを言おうとするが、思いつかない。「毎日少しずつ死んでいくの、何かが去っていく、消えていく」  わたしは何も言わなかった、サロメのような人を慰めるのに言葉はいらない、憐れみもいらない。ただ、旅をさせるための物語があればいい。(本書より) わたしの名はビトナ。もうすぐ十八になる サロメに語られた最初の物話 二〇一六年四月 サロメは手を叩いた。目はきらきら光っていた そのころ、家の状況はさらにひどくなった サロメに語られた二つ目の物語 二〇一六年五月 午後もおそい時刻となり、日差しはもう しばらく前からサロメに会いにいっていなかった サロメに語られた三つ目の物語 二〇一六年七月 チョさんと鳩たちの物語の続き 二〇一六年八月 その話はここまで。今度はわたしの物語を話す時だ ある新米殺人者の物語 二〇一六年八月末 梅雨が突然到来して、豪雨が何度も街を通りすぎ しばらく前からサロメに会っていない、電話もしていない サロメに聴かせるチョさんの物語の結末 二〇一六年八月 梅雨のせいでサロメもわたしも疲れ果てた サロメに聴かせる女性歌手ナビの物語 二〇一六年九月 サロメに聴かせる二頭の龍の物語 二〇一六年十月末 1この日を境に、ナオミは二頭の〈龍〉のことをしきりに あのストーカーにまた会った こうした変わったできごとが次々と起きたあと レインボー橋を渡る、セヴランス病院にてサロメに聴かせる話 二〇一七年四月 わたしはビトナ、十九歳だ 訳者あとがき 語る、聴く、生きる

都筑道夫創訳ミステリ集成都筑道夫創訳ミステリ集成

いまふたたび熱い注目を集める作家・都筑道夫が手がけた、翻訳にして創作“創訳”ミステリ小説3作品を一挙復刻! ・底本の書影/口絵を収録した巻頭カラー8ページ! ・底本の挿絵60点超を完全収録! ・生前の都筑道夫と親しく交流したミステリ作家・堀燐太郎によるエッセイを収録! ・ミステリ評論家・新保博久による50枚の入念な解説を収録! ・新保博久、平山雄一による詳細な註によって原書との異同を明らかにし、“ツヅキ流翻案術”を解剖する!  エンタテインメント作家は、亡くなってしまうと、たちまち忘れ去られて、書店からも作品が消えてしまうのが宿命だ。(…)そんな風潮にあって近年、奇跡的なほど旧作の復刊、未刊行作品の初書籍化で快進撃を遂げているのが都筑道夫である。 (…)その二作(『魔海風雲録』『クレオパトラの眼』)以上にレアだった都筑著作は、児童向け翻訳書『銀のたばこケースの謎』『象牙のお守り』『火星のくも人間』の三冊である。それぞれ出版されたのが一回こっきり、児童書すべての常として所有者には大事に扱われず、すり切れ、棄てられ、幸運にも入手したマニアは大事がって手放さないから、古書市場にも出回らない。プレミア価格を払う覚悟を決めても、商品がないのだ。なんだ子供向けか、翻訳であってオリジナルではないんだろう、と都筑ファンであっても二の次に考えるかも知れない。だがこれらは見方を変えれば、改装版・再編集本を含めて三百冊になんなんとする都筑著作のなかでも特異というだけでなく、都筑氏本来の小説作法を窺ううえで重要な作品群なのである。  というのは、これらは翻訳といっても、横のものを縦にしただけではない。 (新保博久「解説 恐るべしツヅキ流翻案術の冴え」より) 銀のたばこケースの謎 「銀のたばこケースの謎」について 江戸川乱歩 象牙のお守り 火星のくも人間 センセーとボク 堀燐太郎 解説 恐るべしツヅキ流翻案術の冴え 新保博久

若き女流詩人のバラッド若き女流詩人のバラッド

愛媛県松山市の高校に通う高校生の里美には、まだキスもしていない彼がいる。受験勉強から逃れるように彼との幼く清い恋にのめりこむ。ゲーテを愛し、恋を謳歌するも大学受験に失敗。彼は広島大学に進学し、自身は予備校に進む。彼と別れる前の日、美里は自室で彼と初めてのキスをする。どこまでも純潔で男女の愛も性も知らなかった。 予備校での授業は面白く、奥深い学問に美里は目覚める。一日11時間ほど勉強する美里。女子では一番、全体では五番以内の成績をキープする。 夏になり、一人の男子予備校生Yが現れ、美里に近づいてくる。成績は三番以内のYに対し、密かにライバル意識を持っていた美里はYとのデートをOKしてしまう。男とは意識せずに、祭りや喫茶店や公園で会う日々。Yを男友達として信用していた美里だったが、突然Yにキスされ男として認識する。そして公園でYにいきなり襲われる。大事には至らなかったものの、純潔な美里はYに対して不快な気持ちを抱く。Yは美里に謝り、手紙に男の気持ち、美里と結ばれたいのは自然な欲求だと説明してくる。美しい友情で結ばれていましょうと返事する美里。男女の愛が全くわかっていなかった。性と純潔の間で揺れる美里。苦悩する美里の将来は? 一 〜 二十一 あとがき

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