2022年2月28日発売
空間魔法を使って資産を築いたクレトは異世界ではじめての秋を堪能していた。そして季節は移り、冬になる。自宅の入浴設備が故障してしまったクレトはメイドたちを連れて温泉街ーーお湯の都ユーステリアへと出かけていくのだったーー。 異世界の秋から冬を描いた二拠点生活、第三弾!
実家で虐げられていたシシリアは、婚約者を義妹に寝取られ、脂肪の塊のような胸を見せつけられる。結局男は身体なのだと、お兄様と慕う王弟・アガートに色気を身に着けるため愛人契約先を探してもらおうとするが、なかなか紹介してもらえない。焦れたシシリアはあろうことか怪しげな仮面舞踏会に参加してしまい、危機一髪のところをアガートに助けられ「私の愛人になりなさい」と提案される。優しく愛撫され次第にアガートに気持ちが動いていくが、“愛人契約”のはずなのにデートをしたり贈り物をされたりと溺愛され、さらには彼女の知らないところで実は“婚約”に向けた動きが進んでいてー?歳の差“お兄様”の大人の愛に包まれて不遇の令嬢が幸せを掴み取る、ざまあ溺愛ストーリー!
エリスはある日、精霊に常時発動の「魅了」の術をかけられてしまう。そのせいで日常生活を送れなくなったエリスは国一番の魔術師であるカイルに助けを求めるが、その解術方法が「誰かに純潔を捧げること」だと知り大パニック!カイルの邸に住み込みで働き、その他の方法を探すことに。一方、自身の見た目や爵位しか見ない女性に辟易としていたカイルも、「異性はこりごり」という同じ悩みを持つエリスと互いに助け合う同居生活に満足していた。しかし二人で生活を送るうち、その関係に変化がー?女嫌いで堅物な最強魔術師と世間知らずで純情な少女が、お互いに『好きになってはいけない』と思いつつも惹かれ合う…。ピュアなキュンが詰まった異世界ラブファンタジー!2021eロマンスロイヤルピーチ賞受賞作品!!
可愛くて最強な幼女召喚獣ダリアをパートナーとしたダイキは、観光したり、密林でクエストをこなしたりしつつ、現実世界ではダリアに作ってあげたいご飯の研究をしたりと『Frontier World Online』を満喫していた。そして再びの大型イベント“海底邪竜デルグブルー復活”に参加を決めたダイキ達は、初の大人数レイド戦に挑むことに。しかし参加したレイドは皆が皆、自由に攻撃をするだけでまったく連携がとれていない!さすがのダリアの火力をもってしても窮地に立たされてしまいー!?WEB連載で人気の“紋章”ギルドメンバーも登場!幼女召喚獣とほのぼの満喫プレイする第2弾!
ギャラ飲み志願の女性、深夜の学校へ忍び込む高校生、寝たきりのベッドで人生を振り返る老女、親友をひそかに裏切りつづけた作家…かれらの前で世界は冷たく変貌しはじめる。これがただの悪夢ならば、目をさませば済むことなのに。感染症が爆発的流行を起こす直前、東京で6人の男女が体験する、甘美きわまる地獄めぐり。
礫投げが得意な若者・弥七は、陰と呼ばれる貧しい集落で、地を這うように生きてきた。あるとき、図らずも自らの礫で他人の命を奪ってしまったため、元盗賊のねずみという男とともに外の世界へ飛び出す。やがて弥七は、作事集団の黒鍬衆の一員として尾張国の砦造りに関わり、そこに生きがいを見出すようになる。だが、その砦に松平元康、のちの天下人・徳川家康が攻めてきたことで、弥七の運命はまたも大きく動きはじめたーアルファポリス第6回歴史・時代小説大賞特別賞受賞作。
今から1400年前、女性天皇が初めて即位した。聖徳太子を摂政に、十七条の憲法を制定、豪族たちの対立を調停して国をまとめ上げ、大国・中国とは、対等の国として相対した。この国の精神のなりたちに迫る歴史小説。
時は平安時代前期。帝の孫以降の子孫は400人に及び、京は無位無官の「王」であふれていた。桓武帝の曾孫である23歳の高望王が太政官に窮乏を訴えると、摂政右大臣が「弓で戦う衛府の武官に大刀で勝てば位官を与える」と約束する。勝負の日、修練を積んだ高望王は並み居る武官を次々に倒すが、大刀ではじいた矢が見物していた今上帝を傷つけてしまう。謀反の罪に問われた高望王は臣籍に降ろされ、平高望となって上総国に流される。長い労役のあと、朝廷奸計を知った高望は…。第13回日経小説大賞受賞。
日本漢文の粋を集め、平安期の時代思潮や美意識を知る上でも貴重な文献「本朝文粋」。その漢文の世界の深遠へと誘う格好の入門書。第七巻では、慶滋保胤、紀長谷雄による公的な文章、大江匡衡・藤原行成による書状の応酬、そして、源順による書序、大江朝綱の詩序など、全十一作品を収載、さらに作者略伝を付した。
抑圧された環境下でも協働して人間らしく生き延びようとしたアフリカン・アメリカンの歴史を、児童文学を手がかりにしてたどる。奴隷制度や人種差別の痛苦を描きながらも、そこから逆説的に浮かび上がる命の強さに焦点を当て、現代を生きる子どもに新たな視点と励ましを与える児童文学のポテンシャルを描き出す。
王国第二王子のティーリオは無能と呼ばれ、たいした期待もされない王宮生活に、それなりに満足していた。兄王子も健在であり、争いのない平和な時代だ。このままなら無事、苦労のない地位を維持できる。幼いころからずっと一緒で、面倒見のよいメイド姉のミリエもいてくれるから、それ以上の望みもない。大きな仕事はないが、騎士団での役職も無難にこなし、新しい補佐役となった女騎士グノシアとも、なんとかコミュニケーションできている。口の悪い貴族からは蔑まれても、まったく気にせず、我が道を進むナマケモノとして、理想の毎日だった。そんな彼に突然、縁談話が持ち上がる。王国が交流を再開したエルフ族からお嬢様を受け入れ、王子の許嫁とすることになったのだ。美しく、人間への好奇心旺盛な姫アマーベルは、エルフのなかでも変わり者らしい。魔術にも優れる彼女は、ティーリオに秘めたる力を感じて気に入るが、異種族婚は思いがけない波乱を呼んで…。愛する女性を護る、無能王子の真の実力とは!?
来るべき、台湾文学。 豊かな田園風景、碧い海と空、大きな太陽、賑やかな屋台ーー。 台湾の生活シーンを多様に描いた、近年の佳作十一作を収録する作品集。 陳思宏「ぺちゃんこな いびつな まっすぐな」 鍾旻瑞「プールサイド」 陳柏言「わしらのところでもクジラをとっていた」 黄麗群「海辺の部屋」 李桐豪「犬の飼い方」 方清純「鶏婆の嫁入り」 陳淑瑤「白猫公園」 呉明益「虎爺」 ワリス・ノカン「父」 川貝母「名もなき人物の旅」 甘耀明「告別式の物語 クリスマスツリーの宇宙豚」
田舎町に魚売りの娘として生まれ、ソウルにわび住まいする大学生ビトナは、病を得て外出もままならない裕福な女性に、自らが作り出したいくつもの物語を語り聞かせる役目を得る。少女の物語は、そして二人の関係は、どこに辿り着くのかーー。 ノーベル文学賞作家が描く人間の生。 サロメは「キティの話をしてよ!」と言い、「そのあとは、チョさんの鳩の話の続きをお願いね」と付け加える。 彼女はお茶をちびちびと飲む。左手が震え、右手はもう何の役にも立たないのか膝に置かれたままだ。サロメはわたしが目を凝らしているのを見てとり、ただこう言った、「これがわたしには何よりも受けいれにくいのよ」彼女はちょっと顔をゆがめて何かおもしろいことを言おうとするが、思いつかない。「毎日少しずつ死んでいくの、何かが去っていく、消えていく」 わたしは何も言わなかった、サロメのような人を慰めるのに言葉はいらない、憐れみもいらない。ただ、旅をさせるための物語があればいい。(本書より) わたしの名はビトナ。もうすぐ十八になる サロメに語られた最初の物話 二〇一六年四月 サロメは手を叩いた。目はきらきら光っていた そのころ、家の状況はさらにひどくなった サロメに語られた二つ目の物語 二〇一六年五月 午後もおそい時刻となり、日差しはもう しばらく前からサロメに会いにいっていなかった サロメに語られた三つ目の物語 二〇一六年七月 チョさんと鳩たちの物語の続き 二〇一六年八月 その話はここまで。今度はわたしの物語を話す時だ ある新米殺人者の物語 二〇一六年八月末 梅雨が突然到来して、豪雨が何度も街を通りすぎ しばらく前からサロメに会っていない、電話もしていない サロメに聴かせるチョさんの物語の結末 二〇一六年八月 梅雨のせいでサロメもわたしも疲れ果てた サロメに聴かせる女性歌手ナビの物語 二〇一六年九月 サロメに聴かせる二頭の龍の物語 二〇一六年十月末 1この日を境に、ナオミは二頭の〈龍〉のことをしきりに あのストーカーにまた会った こうした変わったできごとが次々と起きたあと レインボー橋を渡る、セヴランス病院にてサロメに聴かせる話 二〇一七年四月 わたしはビトナ、十九歳だ 訳者あとがき 語る、聴く、生きる
いまふたたび熱い注目を集める作家・都筑道夫が手がけた、翻訳にして創作“創訳”ミステリ小説3作品を一挙復刻! ・底本の書影/口絵を収録した巻頭カラー8ページ! ・底本の挿絵60点超を完全収録! ・生前の都筑道夫と親しく交流したミステリ作家・堀燐太郎によるエッセイを収録! ・ミステリ評論家・新保博久による50枚の入念な解説を収録! ・新保博久、平山雄一による詳細な註によって原書との異同を明らかにし、“ツヅキ流翻案術”を解剖する! エンタテインメント作家は、亡くなってしまうと、たちまち忘れ去られて、書店からも作品が消えてしまうのが宿命だ。(…)そんな風潮にあって近年、奇跡的なほど旧作の復刊、未刊行作品の初書籍化で快進撃を遂げているのが都筑道夫である。 (…)その二作(『魔海風雲録』『クレオパトラの眼』)以上にレアだった都筑著作は、児童向け翻訳書『銀のたばこケースの謎』『象牙のお守り』『火星のくも人間』の三冊である。それぞれ出版されたのが一回こっきり、児童書すべての常として所有者には大事に扱われず、すり切れ、棄てられ、幸運にも入手したマニアは大事がって手放さないから、古書市場にも出回らない。プレミア価格を払う覚悟を決めても、商品がないのだ。なんだ子供向けか、翻訳であってオリジナルではないんだろう、と都筑ファンであっても二の次に考えるかも知れない。だがこれらは見方を変えれば、改装版・再編集本を含めて三百冊になんなんとする都筑著作のなかでも特異というだけでなく、都筑氏本来の小説作法を窺ううえで重要な作品群なのである。 というのは、これらは翻訳といっても、横のものを縦にしただけではない。 (新保博久「解説 恐るべしツヅキ流翻案術の冴え」より) 銀のたばこケースの謎 「銀のたばこケースの謎」について 江戸川乱歩 象牙のお守り 火星のくも人間 センセーとボク 堀燐太郎 解説 恐るべしツヅキ流翻案術の冴え 新保博久