2022年4月7日発売
東城萌絵の将来の夢は、実家の「トージョー電器」をもっと大きな店にして、父親のような誰からも愛される電器屋になることだった。だが、父が交通事故で重傷を負い、店は閉店に追い込まれてしまう。「トージョー電器」を復活させるためには、私が力を付ければよいのではないか。そう思って、全国チェーンの家電量販店「R電器」に入社した萌絵は、役職者でありながら、売り場で立っているだけの係長・水上と出会い…。衝撃の裏側×衝撃のラスト!元家電量販店社員の筆者が実話をもとに描くお仕事ミステリー!
日本人離れした灰色の髪と瞳をもつ水上久遠(みなかみ・くおん)は、久しぶりに亡き母の故郷である羽葉木に向かっていた。 そこは日本の秘境とも呼ばれる風光明媚な田舎でありながら生活は豊かで先進的、とくに冠城本家と呼ばれる地主一族の男性は、目を見張る美形ぞろいという不思議な土地だ。 久遠は一族の間にときどき出現するという吉兆のしるし「先祖返り」の外見を持って生まれたために、本家の要請をうけて冠城のもとへ来たのだった。 遠縁でありながら本家に近い姿の久遠は「灰色頭(シンデレラ)」のごとく微妙な扱いを受けるが、ある日、蔵の中から出てきた外国風の短剣を手にした瞬間、時空を超えて異世界へと飛ばされてしまう。 気がつけば、久遠は森の中にいた。そこで偶然出会った狼氏族の神官・ドーシャが、久遠を保護してくれるのだが、彼らの間には説明のつかない繋がりがあるようで……? 運命の相手とめぐりあう、異世界転移ファンタジー、ここに開幕!
『商う狼』で新田次郎賞をはじめ数多くの文学賞を受賞。 大注目の作家が紡ぐ、知られざる鎌倉時代を生きた女性たちの物語。 「大仏は眼が入って初めて仏となるのです。男たちが戦で彫り上げた国の形に、玉眼を入れるのは、女人であろうと私は思うのですよ」 建久六年(1195年)。京の六条殿に仕える女房・周子は、宮中掌握の一手として、源頼朝と北条政子の娘・大姫を入内させるという命を受けて鎌倉へ入る。気鬱の病を抱え、繊細な心を持つ大姫と、大きな野望を抱き、それゆえ娘への強い圧力となる政子。二人のことを探る周子が辿り着いた、母子の間に横たわる悲しき過去とはーー。 「鎌倉幕府最大の失策」と呼ばれる謎多き事件・大姫入内。 その背後には、政治の実権をめぐる女たちの戦いと、わかり合えない母と娘の物語があった。
宇宙を、異世界を旅し、ヤマネコが歴史を見つめ、世界は彩りを失い/取り戻し、しがないおじさんはミニブラックホールにダイブし、植物状態の少女がVR世界を駆け抜けるーー いま最前線で活躍している中国の女性SF作家14人の傑作短篇で紡ぐ、変幻自在のアンソロジー!
ある日突然、平凡な学生に権力が牙を剥いた。日本が戦争に向かう暗い時代、現実を直視する「生活図画」により、思想犯に仕立て上げられた旭川の教師と学生たち。極寒の地を舞台にした理不尽な取り調べと監獄での過酷な日々は、無垢の若者たちにどんな傷跡を残したのかー忘れることのできない事件から、悪法が跋扈した時代を描く。
キリストの誕生を告げる星を追って、小さな王は祖国を旅立った。すべての贈り物を苦しむ人々に差し出し、長い年月を費やして、たどりついたのはエルサレムー戦時中ナチス・ドイツとソビエト連邦から死刑を宣告され、亡命先で強制送還の危機に陥った著者の壮絶な体験に根差した物語。