2022年6月20日発売
1953年、スターリンが死んだ。神のような指導者の突然の死が、国土を震撼させる。ラーゲリ(強制労働収容所)からは何百万もの人びとがぞくぞく出所してきた。 主人公イワン・グリゴーリエヴィチは自由を擁護する発言を密告され、29年間、囚人であった。かつて家族の希望の星だった青年は、老人となって社会に戻った。 地方都市でささやかな職を得たイワンは、白髪が目立つが美しい女性アンナと愛しあうようになる。彼女には、ウクライナで農民から穀物を収奪し飢饉に追い込んだ30年代の党の政策に、活動家として従事した過去があった。 生涯で一番大事なことを語りあうふたり。しかし……。 帝政ロシアと農奴制に抗した多様な結社からレーニンの十月革命へ、スターリン体制へと至った激動のロシア革命史が想起される。物語とドキュメンタリー風回想と哲学的洞察が小説を織りなす。 作家グロスマンが死の床でも手離さなかった渾身の遺作。「自由の意味を語ることができるのは、自由の恐ろしさを知る者だけである。この認識でグロスマンはドストエフスキーに近づく」(亀山郁夫)
「もっと早く相談すればよかった……!!」 身近な暮らしに潜む、詐欺・離婚・借金・任意整理・労災・不当逮捕──。 個人では解決できない、企業犯罪・公害・住民訴訟まで──。 もちこまれる数々の「難事件」を、霧山昴弁護士が解決する。 知られざる弁護士の日常としごと。裁判のクライマックス・「証人尋問」のコツも伝授! プロローグ 弁護士になる 事件ファイル1 霊感商法 閑話休題◎日本の女性は今も昔も強い 事件ファイル2 子どもを取り戻す(親権者の変更) 閑話休題◎証人尋問 事件ファイル3 借金相談の現場 事件ファイル4 ポスター貼り不当逮捕事件 事件ファイル5 労働災害 事件ファイル6 有明鉱火災裁判 事件ファイル7 区画整理(住民訴訟) 閑話休題◎公事師 事件ファイル8 地場スーパーの閉店・任意整理 閑話休題◎アイちゃんと前川喜平氏 事件ファイル9 先物取引被害と弁護士の懲戒
★第9回日本翻訳大賞受賞 愛と憂鬱の〈ユートピア〉。ロシア文学の肥沃な森に残された最後の傑作、本邦初訳。 革命後に生の意味を問いつづける孤高の魂。「翻訳不可能」といわれた20世紀小説の最高峰のひとつが、〈ロシア的憂愁(タスカー)〉の霧の中からついに全貌を現した!--沼野恭子 わたしもプラトーノフのようになれたらーーピエル・パオロ・パゾリーニ(映画監督・詩人) 20世紀には、重要な作家が3人いたーーベケット、カフカ、そしてプラトーノフだーースラヴォイ・ジジェク(哲学者) 死への興味が嵩じて湖に自ら身を投げだした父親の息子アレクサンドル(サーシャ)は、ドヴァーノフ夫妻に引き取られて生活するようになり、やがて、ボリシェヴィキとして、彼の同伴者であり親友のコピョンキンとともに共産主義を探して県域を放浪し、共産主義が完成した理想郷チェヴェングールを見出すーー。 「もっとも謎めいて、もっとも正統的でないロシア作家」とも称されるプラトーノフの代表作にして生前に完成した唯一の長篇小説。ロシア文学の肥沃な森に残された最後の傑作、本邦初訳。 「『チェヴェングール』は、[……]世界史的な規模のインパクトをもった第一次世界大戦やロシア革命を念頭におきながら、現実を逆転させたような事柄を描いた挿話に溢れている。それらを通して〈あるいはそうであったかもしれないロシア革命〉が描き出されている。」(本書「解説」より) ◎解説=古川哲「あるいはそうであったかもしれないロシア革命」 ◎付録=P・P・パゾリーニ「アンドレイ・プラトーノフの『チェヴェングール』」+関連地図+主な登場人物
1巻大重版&コミカライズ絶賛連載中! 「私達は恋・愛・結・婚!」 愛する恋人と共に"妖精姫聖女化計画"をぶち壊せ! 大人気恋愛ファンタジー第7弾! 巻末に、書き下ろし番外編&コミカライズ第3話を豪華収録!
【シリーズ累計30万部突破!(電子書籍含む)】 「あなたにも、よい一日を!」 コミカライズスピンオフ企画進行中! 寄り添う気持ちが絆になる、臆病な魔獣使いとゆるかわスライムの愛され癒し系サバイバルファンタジー第7弾! 書き下ろし番外編収録!
「これからが本番でしてよ?」 目指すは、犯罪組織のトップの座!? 元娼婦の令嬢が悪で正義を貫く、痛快ラブファンタジー! シリーズ重版!コミカライズ4月連載開始!
レオンスの娘ロゼーヌは、あと八年以内に故郷であるエルフの里の結界が壊れてしまうことが判明し、何とか海を越えてエルフの里がある島へ行けないかと焦っていた。そんな折、双子の妹ノーラが持ち前の商才を発揮し、魔界とエルフの里、そして人間界を繋ぐ貿易会社を立ち上げることに。漁村の住民たちとの対立に、ノーラの初恋にと紆余曲折ありながら、数年後いよいよ船が完成する。エルフたちを助け出すため、レオンス一家と仲間たちは船に乗り、エルフの里へと向かう。だが島にたどり着いた彼らの前に立ちはだかったのは、前の獣王である黒狼。そして悪魔が宿った最強の破壊士がいよいよ姿を現わすー!!千年もの長きにわたり続いた、転生者たちの長い戦いを終わらせるための最終決戦が、ついに始まる!!
クラッシャられるべきか、クラッシャられないべきか、それが問題だーーあのサークルクラッシャーが帰ってきた! 佐川恭一の名を世に知らしめた伝説の作品が長編小説として生まれ変わる。奇跡の童貞文学、ここに誕生。 破滅派から出た電子書籍としてもっとも読まれた『サークルクラッシャー麻紀』(2022年4月時点で累計1500部!)と佐々木敦が選ぶ今年の10冊(東京新聞・2019年)にランクインした『受賞第一作』をマッシュアップ! アンドレ・ジィド『贋金つかい』を思わせる「意外にも文学的な構造」と「下品スレスレ外角低めの文体」が織りなす佐川ワールドの新境地が誕生。 麻紀はなぜサークルをクラッシュをしたのか? 崩壊した文芸サークル「ともしび」出身で「受賞第一作」にてデビューした覆面作家の正体は? 青春の蹉跌を抱えながらサラリーマンとして生きる部長は「文学」を取り戻せるのか? 今年作家デビュー10周年を迎える佐川恭一の新しいマイルストーンがいま打ち立てられる。 【サークルクラッシャー麻紀に寄せられたコメント】 童貞は全員読んでください。童貞からのお願いです。 ーー Amazon レビュワー 予言する。佐川恭一は日本文学史に残る大作家になる。必ず。 ーー 樋口恭介(SF作家) 面白かった、かつ、ちょっといや〜な気持ちになった。 ーー ベル(文学YouTuber)
「破滅派のル=グウィン」と呼ばれるほどの実力派にして、シリコンバレーなど海外でプログラマとして働いた経験をもつ現役のソフトウェアエンジニアによるSF短編集。第3回ゲンロンSF新人賞優秀賞受賞作ほか、全四篇を収録。 【収録作】 「ギークに銃はいらない」 銃なんかなくたって、俺たちは世界を殺せる。だろ? ディランはきまってそんなふうに言った。腐ったハンバーガーみたいな青春だけど、僕たちには一つだけ救いがある。ここ、北カリフォルニアで、ギークは神だからだーーナードに位置付けられた少年たちのホワイトハッカー小説。 「眠れぬ夜のバックファイア」 家族と元恋人をめぐるトラウマから眠ることのできなくなったヨウは入眠装置In:Dreamを使って安眠を求める。スタートアップ事情を活写したリアルテック✕解毒SF。 「春を負う」/「冬を牽く」 ル=グウィン『闇の左手』を思わせる、厳しい冬が支配する《ヌビヤク》の高山地帯を舞台に、季節を運ぶ《交易びと》と祭祀長《チェギ・ルト》になることを運命づけられた少年の交流を描くスペキュレイティブ・フィクション連作。 【推薦コメント】 世界というのはいつだって理不尽で、生きるということはいつだって不如意なものだ。それはもう、そういうものなのだからしかたない。 斧田小夜の書くSFは、閉じられた世界の中で苦しさを噛みしめながら生きる人間を、いつも静かに見つめている。 閉じた世界の中にもときおり光が射すことがある。その光には世界を変えるほどの力はないかもしれないけれど、そのかすかな光の美しさを、斧田小夜は決して見逃さないのだ。 ーーpha(ブロガー・作家・元「日本一有名なニート」・「ギークハウスプロジェクト」発起人) 日本SF第七世代の牽引者となることを望みたい。 ーー大森望(翻訳家・SFアンソロジスト)※河出文庫『NOVA 2021年夏号』より 主人公のからだが血をしぼりだすようにしてまったくあらたな解決法を発見する。これはSF的なロジック、サスペンスの解決、作品の主題を同時に満足させることを目指し、じつに見事に達成した作品です。 ーー飛浩隆(作家)※第3回ゲンロンSF新人賞選評より ・ギークに銃はいらない ・眠れぬ夜のバックファイア(第3回ゲンロンSF新人賞優秀賞受賞作「バックファイア」を改題) ・春を負う ・冬を牽く