2022年7月11日発売
未解決事件の報奨金目当てに、多摩川の河川敷で拳銃を探す父ちゃんと、雀荘のママ鈴子さん、失恋を引きずる大学生レンアイ…はぐれものたちが集まる夏の岸辺に、記録され得ない時間が立ちあがる。多摩川の河川敷で、五歳の「わたし」の目が映す、ひと夏の奇跡。鮮烈な才能を記すデビュー作!第65回群像新人文学賞受賞作。
日本橋三越の柱に、幼い頃実家に貼ったはずのシールがあるのを見つける…。以来、狂気と現実世界が互いに浸蝕し合い、我々を想定外の領域へと運んでいく。第65回群像新人文学賞受賞。第167回芥川賞候補作。
心に沁みるハートフル童話15編……。 喜劇が悲劇に反転し、悲劇が喜劇に反転する。 読者の予想を裏切るスリリングな展開に、ページをめくる手が止まらなくなるはず……。 150歳のバッタと少女の友情の行方。 誰にでも親切な男を夫にした女の不幸。 罪を犯し路上で生活する男が起こす奇跡。 現代社会を風刺する大人のための童話集。
徳川三代(家康・秀忠・家光)を支え、江戸の繁栄を基礎づけた謎多き僧形の大軍師! 比叡山焼き討ちから、三方ヶ原の戦い、本能寺の変、小牧長久手の戦い、関ヶ原の戦いと続く戦国乱世の只中を一〇八歳まで巧妙に生き抜き、江戸二六〇年の太平を構築した無双の傑物が辿る壮大な戦国絵巻。 【書き下ろし歴史長篇小説】 2023年NHK大河ドラマ『どうする家康』関連商品! 戦国時代を終結させ、戦のない天下太平の世を築く、これは途方もないヴィジョンと思われるのだが、これを実現させた徳川家康の馬印の幟旗には「欣求浄土」の文字があった。/その家康を支えた謎の人物の姿を、一種の夢物語として楽しんでいただければ幸いだ。(著者「あとがき」より)
画(か)くよ、画くよ。素晴しいものをーー 大正ロマンの旗手が、その恋愛関係を赤裸々に綴った自伝的小説。 評伝や研究の基礎資料にもなっている重要作を、夢二自身が手掛けた 134枚の挿絵も完全収録して半世紀ぶりに復刻。ファン待望の一冊。 解説:末國善己 「なかなか画けない。こんどはすっかりモデルを使わずに、頭と感覚だけで画いて見ようとおもっているんだが、どうもやはりぼくには写実の手掛りがないと構図がつかないんだ。そう言えばぼくの生活にもその傾向があるね」 「どういうことなの」 「つまりひとりでは寂しくていられない人間なんだね」 三太郎は吉野の顔を見ないで、それを言った。吉野は黙っていた。そして、暫(しばら)くして言った。 「これからはお出来になるわ、きっと」 それは三太郎に対する愛の最初の言葉でもあり、遠く家を捨て、男の許へ身を寄せた娘の、自分に言いきかせる、誓言(せいごん)でもあった。(…) 「画くよ、画くよ。素晴しいものを」(本書より)
三従の道からの解放を自ら実践しようとして日本留学も果たした女性瓊姫は、新しい女性としての生き方を模索する「瓊姫」。白痴のように見えて実は、ある特殊な能力を持つ少年は自由を求めて危険な道に踏み出す「白痴?天才?」。金を少しでも減らしたくない男。日々寄付を求めてやってくる人々を追い返すために猟犬を飼い始める「猟犬」。死んでから天国に行くより、今のこの世でほんの少しでもいいから、よい暮らしをと願う男「人力車夫」。究極の貧しさゆえ空腹を満たすために腐ったサバを食べ食中毒をおこした息子を救おうと奔走する母親「朴〓(パクトル)の死」。厳格な舎監が夜な夜な繰り返す秘密の時間。その秘密を垣間見てしまった女学生たち「B舎監とラブレター」。朝鮮人の父と日本人の母を持つ混血の息子の葛藤と生きづらさを時代背景と共に綴る「南忠緒」。韓国最初の創作SF小説。人間の排泄物から人工肉を作る実験に明け暮れる笑えない現実「K博士の研究」。主人に絶対服従を誓って生きてきたもの言えぬ男。屋敷が火事になり、若主人の新婦を救おうと火の中に飛び込んでいく「〓の三龍」。