2022年9月14日発売
嵐の山荘に潜む若き犯罪者。そして翡翠をアリバイ証人に仕立て上げる写真家。犯人たちが仕掛けた巧妙なトリックに対するのは、すべてを見通す城塚翡翠。だが、挑むような表情の翡翠の目には涙が浮かぶ。その理由とはー。ミステリランキング5冠『medium霊媒探偵城塚翡翠』、発売即重版10万部『invert城塚翡翠倒叙集』に続く待望の第3作目。犯人視点で描かれる倒叙ミステリの金字塔!
東京ティーレックスの絶対エース・矢神大、失踪ー。日本中が大騒ぎになる中、ブルペンキャッチャーの沢本拓は、わずかな手がかりを頼りにハワイへ飛び、ホームレスになっていた矢神を発見する。矢神は記憶障害に陥り、ボールの投げ方を忘れてしまっていた。何とか再起させたいと願う沢本、だが球団は矢神に戦力外を通告する。そんなある日、矢神は自宅の地下で手書きのノートを見つける。そこには自分の投球技術に関する詳細な記録と、奇妙な告白が書かれていた。矢神が昔投げて、人を殺した「消えるボール」は封印する、とー。矢神の豪速球は復活するのか。そして、殺人の告白に隠された驚くべき秘密とは。
「灰色の木を、金色に戻す薬を下さい」-約束の合言葉とともに深山木薬店にあらわれた一人の女性客。震える声で薬屋探偵に依頼した内容は、不吉な兆しといわれる「ドッペルゲンガーの謎を解明してほしい」というものだった。彼女を助けるため、リベザルは真相究明に奔走するが、「死んだはずの人間が目撃される」という不可解な事件に巻き込まれ…。待望のシリーズ最新作!!
理不尽の連鎖をこの子に残したくない。レナは20年続けた教師を辞め、フランスから遠く離れたインドに来ていた。ある日、海で溺れかけたところを少女に救われる。その子、ホーリーは、養父母の店で働かされ学校に通っていなかった。まだ十歳だ。レナ恩返しに、読み書きを教えようとする。だが「女に勉強はいらない。家のために働き、嫁にいくんだ」。因習にとらわれた養父母と村人、それに従う子供たち。これが、小さな恩人に許された唯一の人生なのか。レナは決意する。この子たちが学べる教室をつくろう。読書の喜びと、知識が世界を広げることを伝えよう。レナの小さな一歩は、村の女たちの助けも得て希望のプロジェクトにつながってゆく。『三つ編み』の著者が未来への願いを込めてつむいだ、連帯の物語。
15歳のガランスにとって、SNSは世界の全てだった。平凡な高校生だった彼女は、ハロウィーンの夜、上級生の人気グループに仲間入りを果たし、一躍スクールカーストの上位に躍り出る。だが、常に注目の的だったガランスはある日突然謎の失踪を遂げる。SNSアカウントは全て閉鎖されていた。警察が捜査に乗り出したところ、ガランスの失踪前、彼女の動画がネット上に流出していたことが判明しー。Z世代のスマホとSNSの闇を繊細な筆致で暴き出す、ル・モンド文学賞受賞のフランスの新星による激烈なデビュー作。
第二次大戦後、ギャルヴィン一家はコロラド州に移住し、12人の子宝に恵まれた。しかし子どものうち6人に異変が起きる。修道士のようにふるまう長男、自分はポール・マッカトニーだと言い張る末っ子……。彼らはなぜ統合失調症を発症したのか。家族の闇に迫る
「将軍家に尽くすべし」という会津藩『家訓』や「ならぬことはならぬものです」という『什の掟』の厳格な教え。それに従い、利代は九歳の駿が数学に打ち込みたいのを知りつつも、会津武士として厳しく育てた。やがて尊王攘夷が倒幕へと傾き、薩長が官軍と称して会津に押し寄せる中、十六になった駿は白虎隊に身を投じる。利代は駿に死ぬ覚悟をつけさせるべく、己のなぎなたで徹底して稽古をつける。藩主のために命を捨てろと、利代は心を鬼にして我が子を戦いに送り出すが…。会津に生きた母と息子の強い絆と鎮魂の物語。
虎治と光は元同級生。夫婦になり子供を持ち家族になった。言葉と体と時間を重ね、時にはぶつかりながらも同じ方向を見て進んでいると、それが夫婦だと思っていた。けれどー。息子が自分のことを「弱い」と言った時の違和感。息子がスイミングをやめると決めた時に虎治が言った「逃げるのか」という言葉への嫌悪感。新しい仕事への挑戦を夫を理由に漫然と諦めたことへの後悔。かつての仕事仲間の成功を妬む自分への苛立ち…。