2022年発売
流行作家・瀬戸内晴美は、なぜ51歳で出家し、寂聴になる道を選んだのか。 血縁関係にあり、長年、秘書として瀬戸内文学に仕えた著者による渾身の一冊。 「晴美」として半世紀を過ごし、「寂聴」になった「はあちゃん」。 従妹とその娘が見た瀬戸内寂聴の「生」とは……。 長年、秘書として瀬戸内文学に仕えた筆者が瀬戸内寂聴の出家の謎に迫る評伝小説。 装画は横尾忠則のオリジナルイラスト。 はあちゃんのこと 本郷ハウス 一九七三年秋 母・恭子の記憶 はあちゃんと恭子 一九七〇年の引っ越しの日 一九七三年 現生を捨てる 大工町 一九三六年 終の棲家 書き続けたいもの 中尊寺 一九七三年十一月十四日 一九七二年 恭子の回想 得度前夜 瀬戸内晴美の回想 得度式 十一月十四日 恭子の回想 終わらせ方 一九七三年夏 出家の理由 小説を書き続けるための芯 スプリングボード 私の瀬戸内寂聴 玲子の回想 手伝いはじめ 一九七〇年 はあちゃん倒れる 一九七五年 寂庵での手伝いが始まる 一九七八年 寂庵源氏誕生 一九九二年 戯曲への挑戦 二〇〇〇年 晴美と寂聴 念願の個人全集刊行 二〇〇一年 広がる創作のジャンル 手元不如意 書くことだけでなく 法話 寂庵 天台寺 戦争反対 教育 敦賀女子短期大学学長 文学塾塾長 徳島県立文学書道館 今度はいけない気がする 二〇二一年
武田晴信は、今川義元の臣・太原雪斎からの提案に驚愕した! 両上杉に古河公方、今川勢に武田を加え、北条大包囲網を敷こうというのだ。その戦略は現実のものとなり、いまや北条の河越城は8万の敵に囲まれている。 氏康の命運尽きたと誰もが思ったその時、10倍もの敵の目を眩ませる小太郎の奇策が発動する! 〈北条氏康シリーズ〉第三弾は緊迫の展開。
「屍体の重量がずしりと腕先にきたとき、はじめて私に任務らしい感情が充実しました」--。国民作家が終生描き続けた「組織・社会と個人との葛藤」をテーマに、これまで単著・全集未収録だった短篇小説を精選。自身の体験を反映した戦争小説から実在の事件をモデルにした小説まで、巨匠のエッセンスを凝縮した全十篇。没後三十年記念企画第二弾。 【目次】 任務(1955) 危険な広告(1954) 筆記原稿(1957) 鮎返り(1955) 女に憑かれた男(1956) 悲運の落手(1957) 秘壺(1960) 電筆(1961) 特派員(1979) 雑草の実(1976) 解説:権田萬治
江戸はいかにして東京になったのか? 戊辰戦争から江戸城無血開城、そして上野戦争ーー下町娘と“宮さま”の出会いが江戸の運命を変える! 明治十五年、新政府は維新において功績のあった者たちに報告書を出すよう求めたが、上野戦争で死んだ者の菩提を弔うための寺を作ろうとしている山岡鉄舟はどこ吹く風。剣弟子の香川善治郎は、すでに詳細な書面を出した勝海舟に江戸城の無血開城はじめすべての功績が奪われるのではないかと気が気ではないが、他人のメンツをつぶすような野暮を嫌う江戸っ子の鉄舟は、手柄は勝のものでよいと言って取り合わない。それでも江戸の町を戦火から守り、東京の礎を築いたのは師匠であると信じて疑わない香川は、書面の代筆を願い出る。そう思いつめる香川に鉄舟は、なぜ江戸が東京になりえたのか真実が知りたかったら「この町そのものである女」佐絵の話を聞くがよいと紹介状を書く。 下町の名物湯屋「越前屋」の娘・佐絵と上野寛永寺の若き輪王寺宮の間には知られざる深い絆があったーー。 「すぐに、出立しようーー江戸の民を、守るのだ」 江戸を壊滅させようと迫りくる官軍をかき分け、駿府城の総督府へと向かう輪王寺宮の思いとは?
ひとつだけ、過去を「再上映」できるとしたら。今だから気付けることがあるーー思い出とは、未来へ一歩踏み出す自分を支えてくれるもの。 思い出をひとつだけ「再上映」してくれる不思議な存在、映人。 過去を変えることはできないが、今の自分の視点でもう一度過去を見直すことができる。 幸せだった頃を取り戻したい人、後悔にけりをつけたい人……映人に再上映を依頼する理由は様々だが、受けるか受けないかは映人なりの基準があったーー。 幸せなものでも、苦しいものでも、自分にとって価値があって大切なものだと心から思えたら、きっと「これから」が変わっていく。 思い出を再体験した依頼人たちは、何を得るのか。 そして、映人の正体と目的とは。
「私のいる場所が正義だなんて誰が言った」 5人の刑事の最低な1日の、最悪な選択。 「彼は法を破ってでも、君を救ってくれるのか?」 違法捜査 昇任試験 監察官室 追跡 6億3000万円 小心者 人質家族 逃走経路 管理官 埼玉県警武南警察署 警視庁捜査一課特殊犯捜査…… 正義と悪の狭間を行く5人の刑事の行き着く先は……!? 誰も見たことのない、衝撃の警察小説誕生!
ホームレスの女性が、公園で殺害されているのが発見された。犯人も動機も不明。彼女はなぜ、殺されたのか? 事件に興味をもったフリーターの女性が、不思議な縁で、被害者の人生に潜む嘘をひとつひとつ暴き、真実に近づいていく。巧妙な罠と高速で展開するストーリーに、いつの間にか目が離せなくなる。そして、ある瞬間に気づく。#さっちゃんはあなただったかもしれない #さっちゃんはわたしだったかもしれない
2023年本屋大賞ノミネート!! 似ているようでまったく違う、 新しい一日を懸命に生きるあなたへ。 最後に仕掛けられた驚きの事実と 読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、 『木曜日にはココアを』『お探し物は図書室まで』 『赤と青とエスキース』の青山美智子、最高傑作。 長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家。 つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。 月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの思いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいくーー。
運にステータス極振りしたキャラメイクをしてしまったものの、奇跡の連発とモンスターの有能さに助けられたクレハ。しかし、あまりの幸運続きでチート疑惑をかけられてしまう。クレハの“奇跡”を検証するためゲーム運営陣が生み出したのは、罠だらけの灼熱フィールド! だがクレハはそんな思惑を軽々と超えて踏破していき!? 幸運の女神、薄幸生産職、変態魔法使いの女子3人で力を合わせ、新フィールド&ボスに挑む!
大学生の凜が働く食事処は、ちょっと風変わり。「米の偉大さを知らしめる店を開く!」と宣言する、お米をこよなく愛する神さまが料理を振る舞う店だったのだ! 美味しいごはんを目当てに人間はもちろん、あやかしのお客も次々と来店。ときには厄介事を持ち込まれ、祖母の懐かしの味を記憶から再現したり、元気いっぱい子狐三兄弟にそうめんの美味しい食べ方を教えたり、大天狗が参加する酒宴の席で出す酒と肴を烏天狗と悩んだり、大忙しに……!?
「魔法のiらんど大賞2021」小説大賞 大賞受賞作品! 応募総数1,258作品の中から唯一選ばれた、大賞作。中華風の異世界を舞台に繰り広げられる、サクセスストーリー! ▼あらすじ▼ 出自を隠すため長い前髪で目を隠し、目立たぬように暮らしていた月英(げつえい)。香りで不調を治す不思議な術を使い細々と生計を立てていたが、突然宮廷に連れ去られ不眠症状を治すよう命を下される。その相手は……国の頂点に立つ皇太子!? 外界との扉を閉ざし自国の文化を守り続けてきた萬華国(ばんかこく)において、新しい医術で宮廷内の人々を癒やしていく月英は異端。しかし下民育ちの根性と、型破りな香りの医術ーー香療術の腕が、宮廷だけでなく国をも変えてゆくことに!
討伐軍とメルクリオ軍の全面戦争開幕! 闘技大会でレイが敗北したランクS冒険者ノイズが現れ、今度は制限無しの本気の戦いが始まる。レイとセトはスキル全開のチームプレイで挑むが、一歩届かない……しかし追い込まれたレイが、新たな技を覚醒させる!? 一方、最大戦力だったレイを抑えた討伐軍は、一気にメルクリオ軍を叩くべく全軍で攻撃をしかけ……? ベスティア帝国内乱編、完結!! 異世界が震撼した激戦を見届けよ!
偽聖女エルリーゼは、やれること全てを終わらせ、死んだ。 だが、歴代魔女の集合体という最強最悪の敵が、悲しみに沈む王都を襲う! 彼女の思いを無駄にしないため、誰もが死力を尽くすも全く敵わない。一方満足して死んだはずの偽聖女は、新人と『永遠の散花』でその様子を目にし……? <もし、エルリーゼに新人が転生しなかったら?>という、荒廃(とベルネルのマッチョ化)がやたら進んだ正史ルートの世界や、偽聖女姿で日本を訪問する番外編も収録の完全完結巻!
そっちはどうですか? あいかわらず最悪ですか? こっちはこっちでまぁまぁ最悪かな! 無責任な暴力、すれ違う意識、のしかかる思い込みーー 8人のきららの8つの人生が照射する 残酷でかすかにあたたかい世界の物語 人気モデル兼女優の偽物、痴漢された女子高生、特別な日を撮影するカメラマン、推しの若き死を願う会社員…… あちこちに現れて 誰かであり 誰でもない 名前のない私たちみんなが 「きらら」として生き抜いている トーチカ 積み重なる密室 スカート・デンタータ 花束 消滅 幸せな女たち 美しい死 愛情 トーチカ2
第168回芥川賞受賞! 思い出すことは、世界に出会い直すこと。 静かな感動を呼ぶ傑作小説集。 娘たちが幼い頃、よく一緒に過ごした近所のショッピングセンター。その喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。言葉にならない感情を呼びさましていく芥川賞受賞作「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。 ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦を描く「マイホーム」、父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が主人公の「キャンプ」を収録。 最初の小説集『ここはとても速い川』が、キノベス!2022年10位、野間文芸新人賞受賞。注目の新鋭がはなつ、待望の第二小説集。 二人の目にはきっと、あなたの知らない景色が広がっている。あなたは頷いた。こうして分からなかった言葉があっても、聞き返さないようになっていく。(表題作「この世の喜びよ」より)