小説むすび | 2022年発売

2022年発売

白い船白い船

歴史に翻弄された同胞たちが発する祖国のことばが、私を揺るがす 飢餓や植民地化した故国の圧迫から逃れるように、ロシア領へ流入した数多くの朝鮮人たち。民族と歴史、強制移住と苦難・・・・・・。 著者ユン・フミョンが1990年代にカザフスタンをたびたび訪れて現地の同胞(高麗人)に会い、彼らの話に深く揺さぶられた経験をもとに執筆した李箱文学賞受賞作(1995年)を、原文と訳文両方で味わうことができる一冊。 (原題「하얀 배」) 「かつて韓半島では日本語、中央アジアではロシア語が強制された。故国は母国語を取り戻したけれど、中央アジアの高麗語は今や消え去ろうとしている。民族と言語の葛藤は続く。少年は、ヒナゲシの咲く野原で「アンニョンハシムニカ!」と叫ぶ。「アンニョン」の漢字表記は「安寧」。もとは「安寧ですか、ご無事ですか」という意味だ。あなたは、民族は、言語は、ご無事ですか(アンニョンハシムニカ)、と少年は問う。 世界で民族と言語、アイデンティティの関係がますます複雑化している今、少年の故国、さらに東方の島国に生きる者たちにも、その問いは投げかけられているのではないだろうか」 ーー訳者解説より 【韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション】 翻訳家きむ ふなが今お勧めする作家の深い余韻と新たな発見を感じさせる短編を、日本語と韓国語の2言語で紹介するシリーズ。 韓国語の朗読をYouTubeで配信中。 CUON YouTube チャンネル https://www.youtube.com/user/cuonbooks ー「白い船」邦訳 ー 訳者解説 ー 原文「하얀 배」

モーメント・アーケードモーメント・アーケード

韓国SF 注目の作家ファン・モガ 第4回韓国科学文学賞(中短編部門)大賞受賞作 待望の邦訳。 映画化も進行中! 仮想現実空間内で他人の記憶データが売買される「モーメント・アーケード」。自分の惨めな人生と向き合いたくなかった「私」は、アーケードで他人の記憶に夢中になり、かつて誰かが感じた瞬間(モーメント)を手当り次第に疑似体験していた。 ある日「オススメ」に上がってきて何かに引き寄せられるように購入した「あなた」のモーメント。 その記憶と感覚が、次第に「私」を目覚めさせていくーー。 2021年に第8回韓国SFアワード優秀賞を受賞するなど今注目の作家ファン・モガの短編を、原文と邦訳で楽しむことができる一冊。 【韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション】 翻訳家きむ ふなが今お勧めする作家の深い余韻と新たな発見を感じさせる短編を、日本語と韓国語の2言語で紹介するシリーズ。 韓国語の朗読をYouTubeで配信中。 CUON YouTube チャンネル https://www.youtube.com/user/cuonbooks ー「モーメント・アーケード」邦訳 ー 訳者解説 ー 原文「모멘트 아케이드」

夢伝い夢伝い

出版社

集英社

発売日

2022年5月2日 発売

孤独を愛する人気作家が突然の断筆宣言。担当編集者は作家の住む地方へひとり、向かった。作家を脅かすものを探しにーー(「夢伝い」)。地球に近づいてきた惑星、現れた女遍路ーー。四国に戻って来た私は、40年前の午後を思い出していた(「送り遍路」)。自らの胎内で卵を孵すセグロウミヘビ。海洋生物マニアの男は「彼女」を手に入れてから生活が一変し……(「卵胎生」)。未知のウイルス性感染症が蔓延した後、「新しい世界」の幕が開けた。男は都心から自然豊かな土地に移住を決め、恋人とはリモートで関係を深めていたが……(「果て無き世界の果て」)など、昭和から現代までを舞台に、日常に潜む怪異や心理の歪みから生まれる怪奇を描いた全11話を収録。 宇佐美まこと(うさみ・まこと) 1957年、愛媛県生まれ。2006年「るんびにの子供」で第一回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に。『展望台のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に。他の著書に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』など多数。

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