2023年1月26日発売
祖父の自死をきっかけに実家のある地元に帰った美術家の私。祖父が日本の植民地だった戦前の台湾に生まれ育った「湾生」と呼ばれる子どもだったことを知る。日本統治下の台湾について調べ、台湾人の知人梅さんに誘われるまま台湾を訪れる。梅さんに導かれ地方色豊かな当地の葬儀に参列し、日本とは全く違う台湾の風景、死生観、儀礼に触れていく。
留学先の日本から、サウスカロライナに帰郷したラッセル。葛の繁茂した庭、南部ならではの湿気、耳に届く哀切な音楽ー青年は、遠くイランからこの地に根を下ろした父の来し方に想いを馳せる。言語と自己のはざまの揺らぎを描き、京都文学賞で鮮烈なデビューを飾った著者の最新刊。第168回芥川賞候補作。
通称:令和反逆六法。ミステリー界の新星が、元弁護士で元プロ雀士という経歴を生かして仕掛ける、初のリーガルSF短編集。六つのパラレル・レイワ、六つの架空法律で、現行法と現実世界にサイドキック!
九十歳の記念に祖母が計画した、一流のフレンチシェフと一流の食材が織りなす、家族のための豪華絢爛な晩餐会。そこに秘められた、十六歳の日のある出会いと別れの記憶。一人の命が今ここに在ることの奇跡が胸に響く感動長編!
虚構と現実のあわいに君臨する異能の作家!!「人形は死を告げる」「つなわたりの密室」「殺人者」「殺しの時間」「わたしはふたつの死に憑かれ」「恐ろしく奇妙な夜」の6編を収録した、『赤い右手』の作者ジョエル・タウンズリー・ロジャーズによる中短編傑作集。
本書は、明治時代に冒険小説というジャンルの先駆者として活躍し、日本SFの祖とされた押川春浪の作品から、とくに幽霊を題材にしたものを集めた。本書に収めた作品は「万国幽霊怪話」「幽霊旅館」「黄金の腕輪」「南極の怪事」「幽霊小家」の5篇。西洋趣味と怪奇趣味が散りばめられたキッチュな味わいに明治文化の一面をみることができる。巻末に押川春浪関係年譜を付す。
異世界転生した元社畜のユーキ。神様のミスで桁違いの魔力を授かった彼は、最強待ったなし!と冒険者になることを勧められるも、前世の経験から今世は『まったりのんびり生きる』を目標に錬金術師を目指す。さっそくポーション作りを始めたところ、尋常じゃない速さでレベルアップしていくユーキ。また、素材集めのためSランク冒険者たちを雇ってダンジョンに挑戦すると、幻のスキルが覚醒して彼らを圧倒してしまう。「本当に人間か?」「ダンジョンの申し子では?」「もしや神様の生まれ変わり…?」周囲が驚愕するなか、さらに“万物創造”まで授かったユーキは、自分だけでなく全員がのんびり幸せな暮らしを実現できるよう、商会を立ち上げることにしてー。妖精、魔人、さらには天使までつくっちゃう!?本人も生み出すものもすべてが規格外なものづくりファンタジー、開幕!
女神のはからいで唯一無二の加護「付与魔法」を手に入れ転生した、元ブラック企業勤務のサタ。理不尽な理由で王宮魔導院をクビになるも、今度こそのんびり生きたいサタはいたって前向き。心機一転、スローライフを満喫しようと、瘴気の降りた「呪われた地」に農園を開くことに!?あらゆるものに力を付与できるという「付与魔法」を試しに使ってみると…一切植物が育たないとされている土地でも難なく野菜の収穫に成功!「ああ、スローライフって…マジ最高っ!」採れたての野菜と、美味しい料理。自分だけの空間を楽しむサタだが…いつの間にか獣人の少女・ララノや、サタを追いかけてきた魔導院での後輩・ブリジットも仲間に加わり、暮らしはなんだかにぎやかに!?一級品のサタの野菜を卸したいと農園は大人気になる一方で、魔導院ではサタを追放した元上司・ラインハルトが大目玉を食らったようで…。お人好しチート付与師が繰り広げる、のんびりにぎやか農園スローライフ!
フリーライターの今村が謎の音源を残して姿を消した。彼の行方を追う同業の樫村勝平は拉致され、焼却炉に突き落とされる。闇から湧き出る男たち。政官財と赤い国の外交官…浮かび上がったのは、チェルノブイリ原発事故を背景にした国際汚職疑惑だった。1986年チェルノブイリ原発事故から福島原発につながる30年の物語。佐藤究「Q JKJQ」と62回江戸川乱歩賞を争った「映画がなければ生きていけない」の筆者が、フレンチ・ノアールと日活ムードアクションにオマージュを捧げたハードボイルド長編!!