2023年11月21日発売
恐竜と蟻が、現代人類社会と変わらぬ高度な文明を築き、地球を支配していたもう一つの白亜紀。恐竜は柔軟な思考力、蟻は精確な技術力で補完し合い共存していた。だが、二つの文明は深刻な対立に陥り……。種の存亡をかけた戦いを描く、劉慈欣入門に最適な中篇
ドラッグの依存症から抜け出したマロリー・クインは、新たな生活を始めるためにニュージャージー州郊外の町スプリング・ブルックのマクスウェル夫妻の元でベビーシッターとして5歳の男の子テディの面倒を見ることになった。離れを自分の部屋として与えられたマロリーは、テディの世話をしながら、おだやかな毎日を暮らすはずだった。だが、彼女はある日、テディが“奇妙な絵”をスケッチブックに描いていることに気がつく。森の中で、女の死体を引きずっている男の絵だ。それは、かつてこの地で起こった殺人事件の場面を描いたと思しきものだ。画家であった被害者の女性は、マロリーが住む部屋をアトリエとして使用していたというが…。そして、テディの絵はますます不気さを増して、5歳児の能力をはるかに超えた、リアルなスケッチとなっていく。一体テディの身に何が起こっているのか?スケッチが示す事件の真相とは?
慶長二十年、茶人の頂点にたつ男が自裁して果てた。徳川家康の命を受け、毅然と死出についた男は、古田織部の名で呼ばれていた。十八年後、織部末期の茶会記が見つかり、末尾に「遊びをせんとや」の文字が。織部はなぜ死なねばならなかったのか、師と仰ぐ毛利秀元は、その真相究明に乗り出す。驚くべき人物が浮上する中、秀元自身には、毛利本家との間で武人の誇りをかけた戦いが始まろうとしていたー人が生きる意味を問う渾身の歴史小説。
人類が地球を脱し数百年。月に住む編集者キャサリンは、"人類すべてへの贈り物となる本"を作ることに。最果ての星で"神様"が起こした奇跡を描く「守護天使」、少女が疎開先で異星人と出会う「星から来た魔女」など、宇宙に伝わるクリスマスの民話を集める
1959年ニューヨーク。ハーレムにある中古家具店で働くアフリカ系アメリカ人のレイ・カーニー。近頃、店にはガラの悪い男たちが出入りしていた。数々の罪を犯した父親とはちがい、カーニーはまっとうな人生を築くために誠実に働いた。愛する妻と娘もいる。だが、食べていくのは容易じゃない。時には、従弟のフレディがもちこむ盗品も売るしかなかった。ある日、フレディたちの起こした強盗事件にカーニーは巻き込まれる。そうしてギャングと悪徳警官が、カーニーに目を留めたのだった。妻子と自分を守るため、カーニーはならず者との裏取引を重ねていく。結局、自分も悪党なのだろうか?そのときフレディの危機を知らされ、カーニーが選んだのはー。人種、貧富、性差の問題が渦巻く街を舞台に、『地下鉄道』著者が放つエンタメ長篇!ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー、全米批評家協会賞(小説部門)最終候補。
宮中きっての和歌の名手と言われる朝児は夫を亡くしたばかり。五十も半ばを過ぎて夫の菩提を弔いながら余生を過ごそうとしていたが、ひょんなことから三条天皇の中宮姸子の女房として再び宮仕えをすることになる。朝児が目にした平安貴族たちの喜びと悲しみから生み出されたものとは。
自由が丘、マリクレール通りの裏手にあるBar D’s Graffiti.多くの客が訪れ、人生の横顔を見せていく。ある日、常連客が連れてきた女性・亜美は許されぬ恋に苦しんでいた。「次の人生では、あの人にとって無標な存在になりたい」と謎めいた言葉を呟く彼女に、なぜかマスターである“僕”の心は揺れる。