2023年1月発売
通称:令和反逆六法ーー 六つのパラレル・レイワ、六つの架空法律で、現行法と現実世界にサイドキック! 「命権擁護」の時代を揺さぶる被告・ボノボの性行動、「自家醸造」の強要が助長する家父長制と女たちの秘密、「労働コンプライアンス」の眩しい正義に潜む闇……。 痛烈で愉快で洗練された、仕掛けだらけのリーガルSF短編集。 【収録短編および各話の架空法律】 ◇第一話 動物裁判 礼和四年「動物福祉法」及び「動物虐待の防止等に関する法律」 ◇第二話 自家醸造の女 麗和六年「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達(通称:どぶろく通達)」 ◇第三話 シレーナの大冒険 冷和二十五年「南極条約の取扱いに関する議定書(通称:南極議定書)」 ◇第四話 健康なまま死んでくれ 隷和五年「労働者保護法」あるいは「アンバーシップ・コード」 ◇第五話 最後のYUKICHI 零和十年「通貨の単位及び電子決済等に関する法律(通称:電子通貨法)」 ◇第六話 接待麻雀士 例和三年「健全な麻雀賭博に関する法律(通称:健雀法)」 【著者略歴】 新川帆立(しんかわ・ほたて) 1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に『元彼の遺言状』でデビュー。他の著書に『剣持麗子のワンナイト推理』『競争の番人』『先祖探偵』などがある。
九十歳の記念に祖母が計画した、一流のフレンチシェフと一流の食材が織りなす、家族のための豪華絢爛な晩餐会。そこに秘められた、十六歳の日のある出会いと別れの記憶。一人の命が今ここに在ることの奇跡が胸に響く感動長編!
「虚構と現実のあわいに君臨する異能の作家。」(山口雅也) 「人形は死を告げる」「つなわたりの密室」「殺人者」「殺しの時間」「わたしはふたつの死に憑かれ」「恐ろしく奇妙な夜」の6編を収録した、『赤い右手』の作者ジョエル・タウンズリー・ロジャーズによる中短編傑作集。 【アラート】ネタバレの恐れがあるのであらすじ等は一切書きません。 《目次》 【炉辺談話】 『恐ろしく奇妙な夜』(山口雅也) 人形は死を告げる つなわたりの密室 殺人者 殺しの時間 わたしはふたつの死に憑かれ 恐ろしく奇妙な夜 【炉辺談話】 『恐ろしく奇妙な夜』(山口雅也) 人形は死を告げる つなわたりの密室 殺人者 殺しの時間 わたしはふたつの死に憑かれ 恐ろしく奇妙な夜
本書は、明治時代に冒険小説というジャンルの先駆者として活躍し、日本SFの祖とされた押川春浪の作品から、とくに幽霊を題材にしたものを集めた。本書に収めた作品は「万国幽霊怪話」「幽霊旅館」「黄金の腕輪」「南極の怪事」「幽霊小家」の5篇。西洋趣味と怪奇趣味が散りばめられたキッチュな味わいに明治文化の一面をみることができる。巻末に押川春浪関係年譜を付す。
異世界転生した元社畜のユーキ。神様のミスで桁違いの魔力を授かった彼は、最強待ったなし!と冒険者になることを勧められるも、前世の経験から今世は『まったりのんびり生きる』を目標に錬金術師を目指す。さっそくポーション作りを始めたところ、尋常じゃない速さでレベルアップしていくユーキ。また、素材集めのためSランク冒険者たちを雇ってダンジョンに挑戦すると、幻のスキルが覚醒して彼らを圧倒してしまう。「本当に人間か?」「ダンジョンの申し子では?」「もしや神様の生まれ変わり…?」周囲が驚愕するなか、さらに“万物創造”まで授かったユーキは、自分だけでなく全員がのんびり幸せな暮らしを実現できるよう、商会を立ち上げることにしてー。妖精、魔人、さらには天使までつくっちゃう!?本人も生み出すものもすべてが規格外なものづくりファンタジー、開幕!
女神のはからいで唯一無二の加護「付与魔法」を手に入れ転生した、元ブラック企業勤務のサタ。理不尽な理由で王宮魔導院をクビになるも、今度こそのんびり生きたいサタはいたって前向き。心機一転、スローライフを満喫しようと、瘴気の降りた「呪われた地」に農園を開くことに!?あらゆるものに力を付与できるという「付与魔法」を試しに使ってみると…一切植物が育たないとされている土地でも難なく野菜の収穫に成功!「ああ、スローライフって…マジ最高っ!」採れたての野菜と、美味しい料理。自分だけの空間を楽しむサタだが…いつの間にか獣人の少女・ララノや、サタを追いかけてきた魔導院での後輩・ブリジットも仲間に加わり、暮らしはなんだかにぎやかに!?一級品のサタの野菜を卸したいと農園は大人気になる一方で、魔導院ではサタを追放した元上司・ラインハルトが大目玉を食らったようで…。お人好しチート付与師が繰り広げる、のんびりにぎやか農園スローライフ!
フリーライターの今村が謎の音源を残して姿を消した。彼の行方を追う同業の樫村勝平は拉致され、焼却炉に突き落とされる。闇から湧き出る男たち。政官財と赤い国の外交官…浮かび上がったのは、チェルノブイリ原発事故を背景にした国際汚職疑惑だった。1986年チェルノブイリ原発事故から福島原発につながる30年の物語。佐藤究「Q JKJQ」と62回江戸川乱歩賞を争った「映画がなければ生きていけない」の筆者が、フレンチ・ノアールと日活ムードアクションにオマージュを捧げたハードボイルド長編!!
収録作 「泣きたくなるほどみじめな推理」 市川憂人 1995年、憧れの従姉を失った私は、彼女の痕跡を探すため東大の文芸サークルに入った。 「アスアサ五ジ ジシンアル」 伊与原 新 地震研に突然届いた1枚のはがき。虹で地震を予知したという「ムクヒラの電報」との関連は。 「東大生のウンコを見たいか?」 新川帆立 東大卒のミステリ作家・帆立は、親友リリーとともに農学部で起きたウンコ盗難事件の犯人を探す。 「片面の恋」 辻堂ゆめ 五月祭の準備中、クラスメートの熱烈な恋を一瞬にして冷めさせた「片面」の意味とは。 「いちおう東大です」 結城真一郎 美しく完璧な妻がまっさきに提示した新居の条件は、「東大が見えるところ」だった。 「テミスの逡巡」 浅野皓生 (東大生ミステリ小説コンテスト大賞受賞作) 卒業生の医師を取材した学生メディア「UTディスカバー」のもとに、彼は人殺しだという告発状が届く。
体調を崩した産科医ダンを心配し、食事に招いた助産師のジョージー。惹かれ合った二人は、帰り際のキスが高じてベッドをともにする。“妊娠の心配はない”と、ジョージーはダンに伝えた。かつて妊活を4年間続けたものの叶わなかったうえに、元夫の浮気相手の妊娠によって離婚し、自分は不妊症だと確信していた。一方、ダンは大学時代に恋人と子供を出産で失い、命を救えなかった罪悪感から産科医になったのだった。二人はその後も仕事を通じ、互いのつらい過去を知るようになっていった。そんなある日、思いもよらない事実が判明するーなんと、ジョージーのお腹に新しい命が宿っていたのだ!
ラナは朝から晩まで身を粉にして働いていた。信じていた人が勝手に彼女の名義で莫大な借金を作ったからだ。そんなある日、偶然知り合ったイタリア富豪サルヴァトーレから、ラナは耳を疑うような依頼を持ちかけられた。「つきまとう女性を退けるため、契約結婚をしてくれないか?」期間は1年間。その見返りに借金を肩代わりしてくれるという。窮地にあるラナは法外な話に不安を覚えながらも受け入れたー“彼に惹かれ、ベッドを共にするなんて絶対だめ”と自戒した上で。それなのに、ある夜、ついに愛の炎が燃え上がり身を捧げて…。
意識を取り戻したとき、アリーは見知らぬ男性の腕の中にいた。ハンサムすぎて近寄りがたいほど整った顔。セクシーな肉体。心臓がどきんと鳴った。見覚えがある気がするけれど…。「アレクサ、なぜ君がここにいるんだ?」鋭い視線を向けられ、アリーは戸惑った。アレクサ?私はアリーよ。でも…。「自分でもわからないの。思い出せないの」そこはイタリア人富豪アンジェロの所有する島だったー。アンジェロは首を傾げた。派手好きだったアレクサに瓜二つだ。なのに彼女は無垢な乙女にしか見えない。「君は僕の妻だった」
レイシーが12歳のとき、最愛の父が再婚した。金目当ての継母にとって彼女は邪魔者でしかなかったらしく、ほどなくしてレイシーは修道院の音楽学校へ預けられた。だが卒業目前になって事態が一変する。父が病に倒れると同時に事業の経営も悪化。継母から助けてほしいと泣きつかれたのだ。海運王トロイを満足させ、資金を引き出せれば父は助かるのね?レイシーにしかできないという継母の口車に乗せられ、妖艶なドレスで飾り立てられた彼女はトロイに身を投げだすが、荒々しく唇を奪った彼から思いがけない言葉をかけられる。一夜だけの相手は必要ない。結婚してほしい、と。
その夜、ローレンは愛するラモンに妊娠を伝えるつもりだった。ところが二人の将来に話を向けたとたん、衝撃の事実を告げられた。ラモンは、実は巨大コングロマリットのCEOであり、さらにはスペインの公爵家の跡取りだというのだ。いずれ貴族の血を引く“ふさわしい女性”を花嫁に迎える、とも。ローレンは、何も言えずに彼のもとを去るしかなかった。1年半後、育児と仕事に忙殺される毎日を送るローレンの前に、ラモンが再び現れて命じる。「愛人として戻ってこい」怒りと屈辱、愛し子の存在を知られる恐怖にローレンは震えた。
教師のジェマは校長に退職を迫られ、落ち込んでいた。財政難ゆえのリストラで、実家が裕福な彼女に白羽の矢が立ったのだ。教師の仕事はジェマにとって生きがいだったし、古い価値観の両親とは折り合いが悪く、実家に頼りたくなかった。そんななか兄の結婚式で帰郷したジェマは、思わぬ人物と再会する。ルーク・オウローク。十代半ばで出逢い、心の友となった年上の男性。若気の至りで「キスのしかたを教えて」と彼にお願いし、些細なことから口論になって、疎遠になってしまったけれど…。あれから10年。美しく成長したジェマと、冷酷無比な大物実業家ルーク。痛いほど胸を高鳴らせるジェマに、ルークから思わぬ申し出がーこれから2カ月間、僕のアシスタントとして働かないか、と。
過保護で過干渉な兄のもとで育った、喘息の持病があるベアトリス。年頃を過ぎても社交界デビューはおろか、結婚も出産も諦めているが、空想好きな彼女はある日、女性を愛せない友人との便宜結婚を思いつく。友人とのスキャンダルを偽装して、大勢の人に目撃されれば…結婚以外に選択肢はない。だが約束の日、現れたのはまったくの別人ーハンサムだが放蕩で悪名高い公爵ブリッグスだった。ベアトリスはパニックに陥った。転びかけ、公爵のたくましい腕に抱き止められた、まさにその瞬間ー兄が大勢の客を引き連れて現れる。なんと公爵は、いきり立った兄に妹の貞操を奪ったかどで、決闘を申し込まれてしまった!すると公爵は言った。「決闘はしないー結婚する」
エレナは親の決めた意に染まぬ結婚相手から逃れるため、出会った当初から惹かれていたキットと駆け落ち同然で結ばれた。式を挙げた直後に、彼が行方をくらましてしまうとも思わずに。ぽつんと独り屋敷に取り残されたエレナを、社交界の口さがない人々は、“捨てられた花嫁”と呼んだ。世間の陰口なんて気にしなければいいとは思っても、夫がヨーロッパでオペラ歌手と恋仲になっているという噂には傷ついた。そして失踪から5カ月後、突然、キットが姿を現す。しかしエレナは夫に打ち明けられない“秘密”を思い、切なくなった。彼がいない間に、お腹に宿っていた小さな命を失ったのだ…。