2023年2月13日発売
チェコSF短編小説集 2(939;939)チェコSF短編小説集 2(939;939)
一九六八年のソ連軍を中心とした軍事侵攻以降、冬の時代を迎えていたチェコスロヴァキア。八〇年代、ゴルバチョフのペレストロイカが進むとSF界にも雪融けが訪れる。学生らを中心としたファンダムからは“カレル・チャペック賞”が誕生し、多くの作家がこぞって応募した。アシモフもクラークもディックも知らぬままに手探りで生み出された熱気と独創性溢れる一三編。
セーチャメ 三姉妹セーチャメ 三姉妹
一度ひとの心に植えつけられた、自分より劣った人がいるという意識は抜きがたいー。なぜこうまでして生きねばならないか?朝鮮半島南端の済州島と在日社会の戦時戦後を舞台に、放浪の巫女ミンスッから生まれた三姉妹の数奇な人生。ウォルミ、ウォルゲ、ウォリの娘たちに重くのしかかる暗い生活。その根っこにある差別が、三姉妹の自我を押しつぶしていく様を観念的に描く。済州島の習俗や、日本の植民地統治、開放、済州島四・三事件、朝鮮戦争といった時代との結びつきも織り交ぜた小説。
静かな夏静かな夏
戦前から戦後を生きた父と、戦後70〜80年代に青春時代を生きた息子。介護の現実の中でその関係を見つめ直した表題作と、「エヴァモア」「息子たちへの手紙」を合わせた本書は、著者渾身の三部作であり、同時代を生きる者たちへの応援歌とも言えるだろう。
PREV1NEXT